営業電話は、新規顧客を開拓する上で欠かせない営業手法の一つです。営業電話を通じて初めて相手先と接触することもあるため、失礼だと受け止められないよう慎重に事前準備を行い、基本的なマナーを押さえておく必要があります。この記事では、営業電話における必要な準備や電話をかける流れ、基本的なマナーなどをご紹介します。
営業電話でミスしないために必要な準備
営業電話は、新規顧客を開拓する際に多く用いられる手法です。音声のみで相手との関係を構築する必要があるため、適切な電話のかけ方を心得ておくことが成功の鍵ともいえます。営業電話でミスがないよう、事前に準備しておくべきことをご紹介します。
営業電話をかける目的を明確にする
営業電話でミスしないために、まずは電話をかける目的を明確にする必要があります。例えば、商談のアポイントを獲得することを目的とする場合、初回の電話では商品やサービスを売り込む必要はありませんので、相手の興味を引くことに重きを置くことが大切です。商品やサービスの詳細を電話で長々と説明しようとすると、相手が面倒だと感じてしまい今後の接触を断られる可能性もあります。「何を目的に電話をかけるのか」を確認した上で、効果的なアプローチを考えることが大切です。
相手企業の情報を下調べする
電話をかける前に、営業先の企業について下調べしておくことが大事です。できれば、企業名や事業内容といった概要だけではなく、社員数や資本金、売上、組織形態、担当者情報といった情報も調べておくと話の幅が広がります。あらかじめ企業情報を下調べしてから営業電話に臨むことで、相手に「自社のことをよく理解している」と安心感を与える受け答えができます。
架電リストを用意する
営業電話を効率的に行うには、架電リストを用意しておくことが重要です。営業電話は複数の企業に電話をかけるため、あらかじめリストを用意することで相手先に関する下調べや次に電話をかける相手の確認がスムーズに行えます。
相手方の担当者の名刺を用意する
名刺交換済みの方に電話をかけるときは、手元に名刺を用意しておけば相手の名前や役職を間違えず、スムーズに営業トークに入れます。このとき、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」を使えば、登録された名刺がPCやスマートフォンで閲覧できます。
また、SKYPCEには登録している名刺情報に営業活動におけるアプローチの履歴を紐づけて社内で共有できる機能が搭載されています。営業電話に対する反応や会話の内容などを記録しておけば、営業活動に役立つ情報も蓄積・共有できます。詳しくはこちらをご覧ください。
机の上を片づける
電話をかける前には、机の上を片づけておくことをお勧めします。整理されていない机で必要な資料をすぐに見つけられず話が中断してしまうと、相手に不信感を抱かせることもあります。机の上を片づけたら、営業電話で必要な資料を手元に用意し、すぐに確認できるよう準備することが重要です。
メモ帳や筆記用具を用意しておく
営業電話は断られる確率も高いこともあり、メモ帳や筆記用具を用意せずに電話をかけてしまうケースも少なくありませんが、不測の事態に備えてすぐにメモができる状態にしておくことが大切です。また、顧客になる可能性がある相手の特徴や質問内容を記録しておくことで後の営業活動に役立てられます。
トークスクリプトを作成する
トークスクリプトは営業における台本のようなもので、相手との会話を効率的に進めるヒントになります。あらかじめ複数パターンのトークスクリプトを作成しておくことで、話す内容を整理しやすくなるだけでなく、相手の返答や質問に対しても素早く対応できます。
よくある質問と回答例を用意する
営業電話で失敗しないために、トークスクリプトとともに営業先などからのよくある質問とその回答例をまとめておくことをお勧めします。新規顧客開拓のための営業電話では、相手から受ける質問がある程度パターン化しています。頻繁に受ける質問と回答例を蓄積し、営業部全体で共有すれば、営業効率を高めることにつながります。
営業電話をかける手順
ここでは営業電話のかけ方をご紹介します。営業電話の基本的な流れは次のとおりです。
会社名と自分の名前を名乗る
電話をかけたとき、最初に会社名と自分の名前を名乗るのは基本中の基本となるマナーです。電話が取り次ぎされ、話す相手が変わった場合はあらためて会社名と自分の名前を名乗る必要がありますのでご注意ください。
本題を話す
本題に入るときは、いきなり商品説明をするのではなく、電話の目的を明確に伝えることが大切です。また、伝えたいことは簡潔にまとめ、相手の興味を引くことを意識しながら会話を進めることがクロージングの成功につながります。
クロージングする
本題を話せたら、最後にアポイントの獲得を狙います。電話をかけた日から時間が経過すると、相手の関心度が下がる可能性があるので、アポイントの日程はできるだけ近い日時にすると効果的です。
営業電話の基本的なマナー
営業電話における基本的なマナーをご紹介します。相手に不快感や不信感を抱かせないよう次のことを踏まえて電話に臨むことが大切です。
電話をかける時間帯に気を配る
営業電話をかける時間帯については、慎重に決めることが大切です。例えば次の時間帯は、相手が対応しづらいことが多く、電話をかけることで非常識な印象を与えかねないため、注意が必要です。
- 始業時間前
- 始業開始後30分以内
- 昼休憩の時間帯
- 終業時間の直前
- 終業時間後
適切な声の大きさとトーンで話す
営業電話は、声だけで行うコミュニケーションなので、声が印象を大きく左右します。相手が不快感を覚えるようなボソボソとした小さな声や平坦で無愛想な声で話すのは避け、なるべく明るく落ち着いたトーンで話すことが重要です。
ただし、大き過ぎる声や高過ぎるトーンの声では相手にこびているような印象を抱かせ、警戒心を引き起こす可能性もあるのでご注意ください。また、早口で話してしまうと話の内容を理解しづらくなりますので、相手が聞き取りやすいようゆっくり話す意識も大切です。
丁寧な対応を意識する
営業電話での担当者の対応は、相手にとって企業の印象を左右します。万が一失礼な態度を取ってしまった場合には、将来の機会損失につながりかねません。営業電話でアポイントを断られた場合でも、敬意を払って丁寧な対応を心掛け、ポジティブな印象を残すことが大切です。
相手に電話を切っていただく
ビジネスの場では、相手に先に電話を切っていただくことが慣例です。もし、なかなか相手が電話を切らない場合は、相手に配慮しつつ電話を切りますが、固定電話を使っている場合は、なるべく静かに受話器を置くかフックボタンを指で押して電話を切ることが望ましいです。
営業電話を成功させるためのコツ
営業電話をかけるときは、次にご紹介することを意識することで、より効果的な営業トークができるようになるとされています。
要点を絞って手短に話す
長々とした説明や要領を得ない不要な話題を続けると相手を飽きさせる恐れがあります。特に営業電話では、話す内容を端的にまとめて提案内容を伝えることが大切です。要点を絞り手短に話すことで、相手の興味を引くチャンスも生まれやすくなります。
一方的に話し過ぎない
相手に話を聞いてもらいたい一心で、一方的に話し続けることはかえって逆効果です。営業電話に限らず、営業活動の大半は双方の対話によって成り立っているため、相手の意見や反応に注意を払いながら話を進めることが重要です。
相手のニーズに合ったベネフィットを伝える
いくら商品やサービスが良いものでも、相手にとってのベネフィット(利益・恩恵・便益)が伝わらなければ、時間を割いてまで話を聞いてもらえません。具体的な成功事例などを挟みながら、相手にどのような利益があるかを説明し、ベネフィットを強調することが大切です。そのためにも相手の話に傾聴し、ニーズに合ったベネフィットが示せるよう意識してください。
クロージングでは選択肢を用意する
営業電話のクロージングにおいては、相手に複数の選択肢を用意しておくことがポイントです。「◯日のご都合はいかがでしょうか?」という聞き方をすると、「その日はダメだ」と相手が断りやすくなってしまいますので、YesかNoで答えられる尋ね方は避けた方がよいでしょう。例えば「◯日から◯日の間では、どの日がご都合よろしいでしょうか?」といったように、相手が複数の選択肢の中から回答を選ぶような聞き方をすると効果的にクロージングを進められます。
営業電話でのNG行為
ここでは営業電話でやってはいけないことをご紹介します。
商品やサービスの押し売り
押し売りは相手に悪い印象が残り、会社や自分自身の評価にも悪影響を及ぼします。押し売りのつもりがなくても、しつこく勧誘したり同じ提案を繰り返したりすることで、押し売りだと受け止められてしまうケースもあります。
もし、相手が断る意思を示したにも関わらず、しつこく営業を続けた場合は、特定商取引に関する法律第17条の次の事項に抵触する可能性もあります。
契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止
第十七条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
引用:特定商取引に関する法律
必要以上に相手の顔色をうかがう態度をとる
営業電話では、最初に「お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」というように相手の顔色をうかがう態度を見せると、かえって相手に断られる原因になりかねません。相手の都合を必要以上に探らず、「お忙しいところ失礼いたします」など簡潔に切り出すことが重要です。
断られた原因などを考え過ぎてしまう
一般的に営業電話は断られることが多いものです。そのため、うまくいかなくてもすぐに切り替えて次の営業に臨む心構えが大切です。すぐに電話を切られることや、話を聞いていただけないことが前提だと考え、断られた場合にも自分を責めたり落ち込んだりする必要はありません。
営業電話のスキルアップに有効な手段
営業電話のスキルを向上させたい方におすすめの練習方法をご紹介します。
営業トークがうまい人を参考にする
営業電話のスキルアップのために、まずは営業トークが上手な人のトークを参考にするのがお勧めです。話の展開の仕方や声のトーン、相手がネガティブな反応をした際の切り返し方などを学ぶことで、営業トークの引き出しが増えます。
ボイスレコーダーで自分の営業トークを録音する
営業電話での話し方をよりよくするために、ボイスレコーダーで自分の営業トークを録音しながら練習するのも効果的です。自分が話すスピードや声のトーン、相づちの打ち方や営業トークの内容を客観的に分析することで、改善点を見つけられます。
社内でロールプレイをする
先輩や同僚を相手に、本番さながらのシチュエーションでロールプレイすることでより効果的な練習ができます。このとき、ロールプレイを通じて第三者からの客観的な評価を受け、自分の営業トークの改善点を確認することが重要です。
まとめ
この記事では、営業電話に必要な準備や電話のかけ方、営業電話のコツなどをご紹介しました。営業電話は声のみのコミュニケーションのため、話し方や声のトーンには特に注意する必要があります。相手からの第一印象をよりよくするために、本記事内でご紹介したコツや練習方法が参考になれば幸いです。