顧客企業が抱える課題を解決するには、現状を正確に把握し、要望に沿った提案を行うことが求められます。そのために必要なスキルの一つが「ヒアリング力」です。
営業担当の方はさまざまな顧客のヒアリングを行うなかで、日々このスキルが鍛えられているのではないでしょうか。とはいえ、相手や状況によって必要なヒアリングは都度変わるため、可視化されにくいスキルでもあります。
そこで今回は、営業活動に効果的といわれる3つの手法をご紹介し、あらためて「何を聞くべきか」「どう聞くべきか」についてまとめました。自分のヒアリングがどのタイプに近いか、ぜひ確認してみてください。
ヒアリング内容が商談結果を左右する
営業活動におけるヒアリングは、その後の提案につながる最も大切な段階といっても過言ではありません。お客様に選ばれるには「なぜこの商品が必要なのか」というアピールに納得してもらうだけの根拠が必要です。
つまり、事前のヒアリングでどれだけ根拠になり得る情報を集められるかが、説得力のあるセールストークのカギとなります。
しかし、手当たり次第に聞いて質問攻めにするだけでは、効果的なヒアリングにはなりません。大切なのは、商談成立のために必要な内容をなるべく多く聞き出すこと。そこで、顧客のニーズを引き出す手法を3つご紹介します。
効果的にヒアリングするための3つの手法
SPIN話法
潜在的なニーズを聞き出す質問の枠組みです。1995年にイギリスの行動心理学者ニール・ラッカム氏が提唱したもので、S・P・I・Nはそれぞれ以下の英単語の頭文字をとっています。
Situation:状況に対する質問
例)現在はどんなサービスを利用していますか?
Problem:問題を明らかにするための質問
例)利用時にお困りのことや改善したいところはありますか?
Implication:解決の重要性を示す質問
例)このままだとパフォーマンスが下がってしまいませんか?
Need-payoff:問題を解決するための質問
例)○○の機能があれば、もっと業務が効率化されるのではないでしょうか?
BANT情報
顧客の見込み度合いを判断するために用いられる質問のフレームワークです。以下の英単語の頭文字がとられています。
Budget(予算):どれくらいの金額感なら購入に至るのか?
Authority(決済権):決済の権限を持った人は誰なのか?
Needs(必要性):企業として具体的にどれくらい必要性があるか?
Timeframe(時期):購入・導入の時期はいつごろか?
これらを明らかにすると、何が購入のハードルになっているのかがわかりやすくなります。どんな営業をするべきか顧客を振り分ける指標になるため、受注の精度を上げたいという方にお勧めです。
6W2H
英語の疑問詞の頭文字をとったもので、文章作成の枠組みとしてもよく利用されていますが、営業活動でヒアリングする際にも大切な要素です。この要素をそろえておけば、提案内容を精査する際に役立ちます。
When:いつ必要なのか?
Where:どこで利用するのか?
Who:誰が使うのか?
Whom:誰に対して使うのか?
What:何が必要なのか?
Why:なぜ必要なのか?
How:どのように使うのか?
How much:いくらで使うのか?
ヒアリングで提案の根拠になる情報を聞き出す
今回は、ヒアリングに用いられる3つの手法をご紹介しました。いずれにおいても、顧客の状況を詳細に把握することが重視されています。
そうした情報を基に、まずは現状を正確に分析していきましょう。自社商品やサービスを購入してもらうために、アピールすべきポイントはどこか。そしてクリアすべきハードルは何か。それぞれ顧客の現状をふまえて考えていくのがお勧めです。
商談の成約率を高めるためにも、提案のベースとなる情報を聞き出すヒアリングのスキルは重要です。有益な情報を聞き出す「型」を参考に、自分に合ったスタイルを探ってみてはいかがでしょうか。