皆さんは「Zoom疲れ」という言葉をご存じですか?コロナ禍で急速に広まったオンライン会議の文化は、パンデミックが落ち着きを見せてからも、ビジネスのスタンダードとしてすっかり定着しつつあります。
離れた場所からも参加できて便利なことには間違いありませんが、長時間にわたるオンライン会議で「なんだか対面で会議をするより疲れるな……」と感じた方も多いのではないでしょうか。実はこの独特の“疲れ”は世界中で実感されており、ビデオ会議ツールの名前をとって「Zoom疲れ」とも呼ばれているんです。
もちろん、特定のビデオ会議ツールだけで起こる現象ではありません。長時間のオンライン会議が及ぼす影響について、2021年にスタンフォード大学の研究チームからある研究結果が発表されています。そこで述べられている、いわゆる「Zoom疲れ」の4つの原因と解決策についてご紹介していきます。
①アイコンタクトの量が多い
対面の会議では、発言者に注目が集まりつつも、資料やスライドを見たりメモをとったりと、参加者の視線は分散していることがほとんど。しかし、オンライン会議では多くの場合、参加者全員の顔が常に自分の方を向いています。
人間の脳は多くの人に見つめられるとストレスがかかりやすいといわれており、画面上でたくさんの顔と向き合っていると疲れやすくなってしまうのです。
→解決策:ビデオ会議の画面を小さくするなどしてフルスクリーンでの視聴を避け、画面から距離をとって見るようにしましょう。
②過度な認知的負担
通常、私たちは言葉だけでなく自然なジェスチャーや表情などからも情報を受け取って解釈をしています。一方、画面を通してのやりとりの場合は、同意を示すために誇張してうなずいたり、親指を立てたりとコミュニケーションのために認知的リソースを割かねばなりません。つまり精神的なカロリーを消費することとなり、疲れやすくなってしまうのです。
→解決策:会議が長時間にわたる場合は、ビデオをオフにして目を休める時間をつくりましょう。身体を画面から離すことも効果的です。
③自分の顔とずっと向き合っている
ほとんどのビデオ会議ツールでは、ほかの参加者と同様に自身の姿も画面上に映し出されます。自分自身の姿を見続けると否定的な感情を持ってしまうという研究結果もあり、長時間にわたって自分の顔を見続けることは大きな負担となる可能性が高いです。
→解決策:多くのビデオ会議ツールで装備されている「セルフビュー(自身の映像)を隠す」機能を活用しましょう。
④動きが極端に制限される
対面での会議や音声電話では歩いたり身体を伸ばしたりしながら対応することができますが、オンライン会議は基本的に画面にくぎ付けの状態が続きます。体勢だけでなく視線も固定され、対面の会話では自然に行われているジェスチャーなども減少。
人間は身体の動きが思考力などに影響を与えているといわれており、動きが制限されているとパフォーマンスの質が落ちる可能性も。
→解決策:外付けのWebカメラを活用するなどしてなるべく画面から距離をとり、定期的にビデオをオフにするのがお勧めです。
必ず適度な休憩を!
オンライン会議に頻繁に参加されている方なら、「確かに!」と思える項目ばかりなのではないでしょうか。 場所を移動する必要がないことから、オンライン会議の予定が次から次へとびっしり……という方も少なくないと思います。そうでなくとも、1日中PCやスマートフォンの画面を見つめていると、身体や精神に大きな負担がかかります。 上記のとおり工夫をしつつ、必ず適度な休憩をとるようにしましょう!
参考文献:Jeremy N. Bailenson(2021)「Nonverbal Overload: A Theoretical Argument for the Causes of Zoom Fatigue」