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Sky株式会社

公開日2023.03.13更新日2023.12.19

営業活動におけるメールの頻出ワード
「何卒」って、一体?

著者:Sky株式会社

営業活動におけるメールの頻出ワード<br>「何卒」って、一体?

「何卒よろしくお願い申し上げます」

ビジネスメールの結びとして、このフレーズを何気なく使っているという方も多いと思います。ですが、「何卒」とは一体どのような意味を持つ言葉かご存じでしょうか?私自身、意味や語源を知らずに使っていたので、この機会に調べてみました。

「何卒」の由来とは

「何卒」は「なにとぞ」と読み、代名詞の「何」と名詞を修飾する格助詞の「と」、そして意味を強調する係助詞の「ぞ」が組み合わさった言葉だそう。もともとは「なんとか」を「ぞ」で強調した「なんとかぞ」が用いられるようになり、時代の経過とともに省略され「なにとぞ」になったといわれています。

この係助詞の「ぞ」、現代ではあまり聞きなじみがないかもしれませんが、古文ではよく使われている強調表現です。あの有名な『徒然草』から、「ぞ」の使用例を見てみましょう。

“命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。かげろふの夕べを待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。”

―命があるものを見ると、人間ほど長生きするものはない。(朝に生まれた)かげろうが夕方を待たずに死に、夏の蝉が春や秋を知らない(まま死んでしまうなど、生き物の命が短い)こともあるのだ。  

「ぞ」をつけることで、長生きの人間と比較して、かげろうや蝉のように短命な生き物がいることを強調しています。

これらの意味を踏まえると、「何卒」が「なんとしてもお願いしたい」と、相手に対して心から強く願う気持ちを表すことがわかりますね。通常のお願いよりも、「どうしても」「ぜひ」のように、強い意味を持っているので、「ここぞ!」というときに使うと良さそうです。

なぜ「とぞ」を「卒」と書く?

でも、ここでもう一つ疑問が浮かびませんか? 「とぞ」が助詞の組み合わせであるなら、本来はひらがなで表記されるはず。なぜ、「なにとぞ」を漢字で表記する場合、本来は「とぞ」と読まない「卒」の字を用いて、「何卒」とするのでしょうか。

「卒」という漢字を見ると、一般的には「卒業」などから「終わる」という意味を想起する人が多いと思います。ですが、「卒」はそのほかにも「にわかに」「あわてる」といった意味も持っています。これらの「急ぐ」という意味が「なにとぞ」においては強調のニュアンスで用いられ、「とぞ」の当て字として使われるようになったという説があるようです。

ビジネスメールでは、何かと相手にお願いをすることが多いですよね。何気なく使っていたフレーズも、由来を知ることでさらに思いを込めたメールを送ることができるのではないでしょうか?