人前で話すのが苦手で、ひどく緊張しながらプレゼンテーションに臨んだのに、同僚からは「リラックスして自然に話せていたね」と言われた……こんな経験はありませんか?心理学の世界では、こうした勘違いが起こる要因の1つは「透明性の錯覚」だとされています。
ビジネスではさまざまな関係性の人とコミュニケーションを取る機会がありますから、なるべく齟齬が生じないよう気をつけたいですよね。特に4月は環境が変わって初めて会う人が増えるという方も多いでしょう。
そこで今回は、「透明性の錯覚」の原因や、相手に勘違い“させない“ためにできることをご紹介していきます。
他人は思ったより自分のことを見ていない
透明性の錯覚とは、自分の内的状態が他者に「漏れている」と過大評価してしまう傾向のことで、1998年に心理学者のトーマス・ギロビッチ氏が提唱しました。要するに、人は自分の感情や考えていることが他者に見透かされていると思い込みがちなのです。
自分の心が透明になっているように感じ、相手に見えているはずだと勘違いするという意味から、「透明性の錯覚」と呼ばれています。
例えば誰かに悩みを相談したとき、相手の回答が自分の聞きたかったことからズレていると「どうしてわかってくれないのか」と考えがちです。それは「自分の感情が相手に伝わっているはずだ」と思い込んでしまっていることが原因かもしれません。
これはビジネスをスムーズに進めるためにも非常に重要なポイントです。「相手に自分の言いたいことが伝わっているはずだ」という勘違いを起こしてしまうと、顧客と話がかみ合わなくなったり、大切な部分の説明が不足してしまったりとやりとりに齟齬(そご)が生じることも考えられます。
では、この「伝わっているはず」という錯覚にとらわれずにコミュニケーションを取るにはどうすればいいのでしょうか?
「透明性の錯覚」が起こる原因と対処法は?
透明性の錯覚を引き起こす主な原因の一つは、自分が体験したことや感じたことが基準(アンカー)になり、それを他人にも当てはめてしまうからだといわれています。相手の心象を推し量る際、私たちは「自分だったらこう思う」という基準をつくりがちです。
自分の基準で相手のことを考えてしまうからこそ「相手は私が思っていることを理解しているはず」という勘違いを引き起こしてしまうのです。「相手が自分のことをわかってくれない」と落胆しがち……という方は、以下のポイントを意識してみてください。
①相手が「わからない」ことを前提とする
自分が知っていることは相手も知っているはずだと考えてしまうと、説明が不足する可能性があります。「わからない」状態をベースに、丁寧なコミュニケーションを心掛けることが重要です。
②言葉にして説明する
「伝わっているはず」を避けるには、自分の伝えたいことを言葉にして相手に説明するのが有効です。数字やエピソードを用いて具体的に表現することで、より正確なイメージが共有できます。
③定期的に認識のすり合わせを行う
言葉を尽くして説明しても、その解釈は相手によって異なる場合があります。そのため、定期的に「○○という認識で合っていますか」「この方向性で進めて問題ないでしょうか」と、相手と認識を合わせる時間をつくるのも効果的です。
相手を正しく理解してスムーズなコミュニケーションを
今回は、コミュニケーションを円滑に進めるために知っておきたい概念として「透明性の錯覚」をご紹介しました。相手に「伝わっているはず」「理解してもらえているはず」と勘違いしない・させないためには、意識的に言葉で表すなどの工夫が必要です。
特にビジネスでは、相手のニーズを正確に捉えて、それに沿った対応をすることが求められます。お客様とコミュニケーションを取る機会が多いという方は、参考にしてみてください。
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