人と会話をしているときに言葉に詰まると、つい出てしまう「あのー……」「えっと……」といった音。発話の間に挟み込むこれら意味を持たない音は、「フィラー」と呼ばれるつなぎ表現です。
フィラーは会話の沈黙を埋めたり、情報を処理するための時間を稼ぐなどの役割を持ちます。便利な表現ですが、多用すると伝えたい内容が相手に届かなくなることも……。皆さんの中にも、相手の話にフィラーが多く、内容に集中できなかったという経験がある方もいるのではないでしょうか。
ビジネスシーンでは、商談やプレゼンテーションなど、人前で話をしたり、会話をする場面がたくさんあります。そこで今回は、このフィラーに注目。“伝わる”トークをするために心掛けたい、ちょっとしたテクニックをご紹介します。
フィラーはなぜ出てしまうのか
緊張状態にさらされているとき、考えをまとめる余裕がなくなりますよね。このように、考える余裕を失って思考のスピードが発話を追い越してしまったとき、その隙間を埋めようとフィラーが出やすくなるようです。また、言葉選びを慎重に行う人ほど思考の時間が長いため、フィラーが出やすい傾向があります。
しかし、実はこのフィラー、一概に「不要だ」と断言できるものではないのです。フィラーが不要な場面もありますが、フィラーを効果的に使うべきシーンもあります。
聞き手のノイズとなるフィラーは排除する
プレゼンテーションのように人前で話すときに出るフィラーは、聞き手にとってノイズとなるため要注意です。また、このような場面でフィラーを多用すると、緊張しているように見えたり、自信がなさそうに見えるなど、マイナスの印象を与えてしまうことも。
とはいえ、人前に出てもまったく緊張しないという人は、プレゼンテーション慣れしたビジネスパーソンであっても、そう多くないのではないでしょうか。そこで活用したいのが「沈黙」。話の内容を整理したり、気持ちを落ち着けたいと思ったら、フィラーを沈黙に置き換えてみましょう。聞き手に「冷静である」「自信に満ちている」という印象を与えることもできます。
また、人は緊張すると、話すスピードが速くなりがちです。話を適度に減速することを心掛け、思考のスピードを発話が追い越さないように調整すると良いでしょう。
フィラーを効果的に使えば丁寧な印象に
1対1の商談など、相手と会話をするときには、フィラーを有効活用しましょう。相手にとってネガティブな話をするときなどは、むしろフィラーを挟むことで、配慮しながら話している様子を伝えることができ、丁寧で優しい印象になります。
ちなみに、人とのコミュニケーションの場面においては、沈黙は逆効果。沈黙することで、相手は話が終わったととらえ、新しい話題に切り替わってしまう恐れがあるからです。適度にフィラーを挟むことで、自分はまだ話し終わっていないということを相手に伝えることができます。
フィラーをうまく使いこなして“伝わる”トークを
ここまで解説してきたように、状況に応じてフィラーの要不要は変化します。また、フィラーを効果的に使えば、相手に与える印象も変えることが可能です。
そのためには、まずは自分が使いがちなフィラーが何であるか、また、普段の会話でどの程度フィラーが出ているかを把握することが大切です。ぜひ、自分の話し方のクセを把握して、場面に応じた“伝わる”トーク術を身につけましょう!