顧客情報は企業の重要な資産ですが、収集しても活用できなければ宝の持ち腐れです。特に、インターネットの普及によりWebサイトやメール、SNSなど、顧客との接点が多様化している昨今、顧客情報をマーケティングや営業活動に活用するためには、顧客に関する基本的な情報だけでなく、コミュニケーションやアプローチに関わる履歴など、顧客との接点に関するさまざまな情報を記録しておく必要があります。今回は、成果につなげるために欠かせない顧客情報の項目や管理方法のほか、メリット、ツールの活用について解説します。
顧客情報とは、顧客に関するさまざまな情報の総称のこと
顧客情報とは、顧客に関するさまざまな情報を総称したものです。顧客情報の定義は厳密に決まっていませんが、一般的には、顧客の基本情報および顧客からの問い合わせ履歴や商談履歴、購入履歴など、顧客に関するすべての情報が含まれます。
BtoBビジネスの場合は、上記に加えて企業の名称や所在地などの企業情報をはじめ、担当者の連絡先・部署、さらに決裁権を持つ人物の連絡先・役職などの情報も収集、記録します。一方、BtoCビジネスの場合は、顧客の名前や住所、年齢や性別などを基本情報として、職業や家族構成、趣味、嗜好なども加えて顧客情報として管理し、マーケティングや営業活動に生かす企業が増えています。
顧客情報として必要な項目
前述したように、さまざまな項目を総称したものが顧客情報です。続いては、顧客情報を管理する際に欠かせない項目を紹介していきます。
企業情報
BtoBビジネスで最も重要となるのは、取引先の企業情報です。営業活動で入手した名刺に記載されている住所や電話番号などの情報のほかにも、代表者名や資本金、事業内容や社員数などの情報も記録しておくと便利です。また、取引先企業の最新情報を把握し、オンライン上での関係性を深めるためには、企業のWebサイトのURLやSNSアカウントといった情報の項目も必要です。顧客情報として管理する際に必要な企業情報には、下記のような項目が挙げられます。
<顧客情報に必要な「企業情報」の項目>
- 会社名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 代表者名
- 業種
- 事業内容
- 資本金
- 設立年
- 従業員数
- 上場 / 非上場
- 決算月
- WebサイトのURL
- SNSアカウント
個人情報
顧客情報として必要な個人情報は、BtoBビジネスであれば取引先企業の担当者、BtoCビジネスであれば各ユーザー(個人顧客)の情報です。企業担当者の個人情報は、訪問時の名刺交換によって基本情報を入手できます。個人顧客の場合は、購買や契約時の登録、問い合わせや会員登録、キャンペーン登録などによって基本情報の収集が可能です。
これらに加えたいのが、コミュニケーションの強化に役立つ趣味や関心のある分野など、本人の嗜好がわかるような項目です。また、誕生日の情報は、バースデーDMなどを活用することで、顧客ロイヤルティー(顧客が企業やブランドに対して持っている愛着や信頼)を高めるための施策立案に役立ちます。 顧客情報として必要な個人情報の項目には、次のようなものが挙げられます。
<顧客情報に必要な「個人情報」の項目>
- 名前
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 所属会社名
- 勤務先住所
- 職業・職種
- 部署・役職
- 電話番号
- 携帯電話番号
- メールアドレス
- SNSアカウント
- 誕生日
- 家族構成
- 趣味・関心のある分野
問い合わせ履歴
顧客からの問い合わせ内容を顧客情報として管理し、顧客の要望や不満点などの情報を分析することで、その顧客の属性を把握するとともに、製品やサービスが持つ課題を可視化して改善につなげることが可能です。また、問い合わせに対する自社の対応履歴を記録・蓄積することで、対応の遅れや漏れ、さらなるクレームや会社の信用低下を防ぐことができます。顧客情報として必要な問い合わせ履歴に関する項目には、次のようなものが挙げられます。
<顧客情報に必要な「問い合わせ履歴」に関する項目>
- 問い合わせ日時
- 問い合わせ内容
- 対応履歴
- 問い合わせ種別
- ステータス(対応状況)
コミュニケーション履歴
BtoBとBtoCどちらのビジネスなのかを問わず、顧客とのコミュニケーションの履歴は、顧客の課題やニーズの把握、提案内容を見極めるために役立ちます。顧客情報として必要なコミュニケーション履歴の項目は、次のようなものが挙げられます。
<顧客情報に必要な「コミュニケーション履歴」の項目>
- メルマガ配信日時
- メルマガ内容 -コンバージョン-1:開封したかどうか
- コンバージョン-2:URLをクリックしたかどうか
- メールでのやりとりの日時・内容
- 電話でのやりとりの日時・内容
- SNSでのやりとりの日時・内容
商談履歴
取引先企業の決裁フローが複雑な場合や決裁者が多い場合、商談内容の履歴を顧客情報として管理し、案件の進捗を把握しておくことで、成約率の向上に役立てることができます。商談の詳細情報のほかに、実行すべきタスクを記録することで、案件全体の進捗を可視化して対応漏れを防ぐことができます。
また、各営業担当者の稼働状況を明確に把握できるようになるため、属人化を防ぐだけでなく、営業マネジメントの生産性も大きく向上します。さらに、案件全体の進捗が可視化されることで、機会損失の防止にもつながります。顧客情報として必要な商談履歴に関する項目は、次のようなものが挙げられます。
<顧客情報に必要な「商談履歴」に関する項目>
- 商談日時
- 営業担当者
- 取引先の商談出席者
- 商談内容
- 宿題
- 受注予定日
購入(契約)履歴
契約後も顧客と長く取引関係を維持し、売り上げ拡大に向けてクロスセルおよびアップセルを提案するためには、顧客ごとの購入履歴や契約情報についても適切に管理する必要があります。特に、サブスクリプション型のビジネスでは、契約更新を念頭に置いた項目設定が大事です。
契約満了日を管理することで、更新や継続利用を促すアプローチや関連商品・上位ランクサービスの提案を早期に行うなど、戦略的な営業活動が可能になります。顧客情報として必要な購入(契約)履歴に関する項目は、次のようなものが挙げられます。
<顧客情報として必要な「購入(契約)履歴」に関する項目>
- 商材名
- 単価
- 個数
- 購入金額
- 契約日
- 納品日
- 契約金額
- 契約した商品 / サービス
- 契約締結日
- 契約満了日(契約更新予定日)
顧客情報を管理するメリット
顧客情報管理の大きな目的は、顧客と長期的に良好な関係性を築き、それを維持することにあります。また、顧客情報を基に顧客の購買や行動履歴、属性、消費傾向などを多角的に分析し、施策に対する効果検証を行うことで、営業活動やマーケティング活動の改善に役立てることも可能です。ここでは顧客情報管理のメリットを、3つの視点でご紹介します。
作業を効率化できる
顧客情報を一元的に管理することで、迅速な情報の検索と入力の工数や時間を削減して作業を効率化できます。顧客情報が部署ごとに保有されていたり、複数のフォルダーに点在していたりする場合、確認に時間がかかり、ほかの業務に充てる時間が奪われます。
また、複数のツールを使って顧客情報を作成している場合、何度も同じ情報を入力する必要があり、これも業務の効率を妨げます。顧客情報を一元管理することで、これらの非効率な作業や時間を減らし、効率的な営業活動やマーケティング活動を行うことが可能です。
情報共有がスムーズになる
情報共有がスムーズになる点も、顧客情報管理のメリットです。部署ごとに異なるツールを使用していたり管理方法が担当者ごとに異なっていたりする場合、他部署との顧客情報の共有ができず、営業トラブルや担当者の退職に伴う案件の放置など、顧客対応や案件創出に弊害が生じます。社内で共通のツールを使うことで、スムーズな顧客情報の管理と情報共有につなげられます。
データを分析・活用できる
管理する顧客データを分析し、営業活動やマーケティング活動に活用できるのもメリットの一つです。あらゆる角度から顧客情報を収集・管理し、集めたデータを統合・分析することで、受注や失注の要因やその改善点、顧客一人ひとりに合う最適な情報提供、経験や勘ではなくデータに基づく的確な経営判断など、自社が置かれている状況を明確に把握した上で、今後の目標や指針、戦略の策定に生かせます。
顧客情報を適切に管理するポイント
顧客情報の管理には、「蓄積」と「活用」の2つの役割があります。顧客情報の蓄積は、データベースとしての役割です。顧客情報を蓄積していくことで、営業担当者による属人化の弊害が生じることなく、次の担当者にあらゆる顧客情報をスムーズに引き継ぐことができます。
また、顧客情報の活用することで、購入継続へのアプローチや関連する商品・サービスを提案するチャンスに役立てることが可能です。ここでは、売上アップにつなげるために、顧客情報を適切に管理するポイントについて見ていきましょう。
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顧客情報は一元管理する
顧客情報を適切に管理するためには、顧客情報を一元管理できる仕組みを作る必要があります。目的別に複数のツールで使い分け、管理するツールが分散している場合、確認に時間がかかるだけでなく二重三重の管理が必要になるため、効率的ではありません。顧客情報を一元化することで、部署を問わず情報を編集・更新・閲覧できるようになります。社内での共有も容易にでき、長期的な顧客関係の構築に活用することが可能です。
入力する際のルールを決める
顧客情報は、入力ルールを細かく決めておくことでデータの表記揺れや重複を防ぐことができます。特に、企業情報や個人情報、年月日の表記、英数字やカナの全角・半角指定などは、入力する人によって表記が異なると、正しい検索ができず、データを重複して登録してしまう可能性があるだけでなく、データ分析ができないため注意が必要です。
顧客情報管理ツールを使う
顧客管理ツールは、顧客情報の管理や顧客との関係性の管理など、営業やマーケティングの幅広いシーンにおいて活用できるツールです。顧客情報管理の基本となる「顧客情報の蓄積」と「顧客情報の活用」という2つの目的と、それを実現するために必要な「顧客情報をデータ化して一元管理する」機能を押さえているツールであれば、顧客情報を適切に管理して、営業活動に生かすことができます。
顧客情報の管理に使用できるツール
顧客情報の管理は、Microsoft ExcelやGoogleのスプレッドシートなどの表計算ツールのほか、一元管理が可能な顧客情報管理ツールなどを活用することができます。ここでは、顧客情報の管理にどのようなツールを活用すればいいのか、それぞれの特徴と有用性について解説します。
Microsoft Excel、Google スプレッドシート
Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシートなどの表計算ツールは、一般的によく知られるソフトウェアであることから、多くの人が抵抗なく使いこなせるのがメリットです。また、VBA(Visual Basic for Applications)やマクロ機能により高度な処理を自動で行うこともできます。
しかし、もともと情報管理のためのツールではないため、項目が複雑だとデータ量が多く、動作が重くなって作業効率が悪くなります。そのため、項目の形式が多岐にわたるデータベースとしては使い勝手が良くありません。また、これらの表計算ツールは、データ内容に漏れやダブりが発生するなど、増え続ける大規模データの管理や分析には適していません。
SFA
SFA(Sales Force Automation)は営業活動の管理に特化したツールで、日本語では「営業支援システム」を指します。案件や営業活動に関係するデータの管理を得意としており、商談の現状や取引履歴、訪問履歴など、顧客との取引や案件に関係する情報を取り扱います。
後述するCRM(Customer Relationship Management)などと連携が取れるSFAであれば、顧客情報の管理にも役立てられます。ただし、CRMが顧客情報の管理を主目的としたものであるのに対し、SFAでの顧客管理はあくまでも営業支援を主軸としたものであるという認識が必要です。
CRM
顧客情報の管理に特化したツールであるCRMは、日本語で「顧客関係管理」を意味します。顧客に関するあらゆる情報を一元管理することができるだけでなく、顧客や案件に紐づいた情報管理を可能にして管理作業の効率を向上させます。また、CRMはマーケティング活動への活用も可能で、特に一人ひとりの顧客に合わせたパーソナライズドマーケティング(One to Oneマーケティング)で大きな効果を発揮します。
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名刺管理サービス
名刺管理サービスとは、顧客と交換した名刺の情報をデータ化し、顧客情報として一元管理して社内共有できる営業支援ツールです。名刺管理サービスは、顧客の名刺情報に紐づく営業活動を記録できる機能を備えたツールもあり、成約後の案件ごとに管理するSFAやCRMとは異なり、案件化する前のアプローチ情報や商談情報なども顧客情報として管理することができます。
「SKYPCE」を活用して、顧客情報の適切な管理を
Sky株式会社の営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」は、名刺情報に基づく顧客情報に商談の記録を紐づけて一元管理し、スムーズに共有・活用できる名刺管理サービスです。
名刺情報は、高精度なOCR(光学的文字認識)による読み取りに加えて、オペレーターの確認・修正を通してデータの正確性を担保するとともに、名寄せ機能により、名刺情報の二重登録を防止。名刺情報の社名や住所などが変更になった際も、最新の名刺情報を登録すると情報が上書きされるため、最新の顧客情報を閲覧することが可能です。
また、名刺情報を「Salesforce」へ自動反映させる機能や、各担当者の日々の営業活動を把握できる「活動記録」機能により、案件化に向けた種まきになる定期的な顧客訪問の段階から状況を把握することもできます。多彩な営業支援機能を活用することで、顧客情報に集約された活動記録から必要な情報を絞り込んだ確認・分析など、営業活動の振り返りから今後の営業方針の検討までを効果的にサポートします。
さらに、データ化する名刺の情報はすべて暗号化されるほか、情報セキュリティ対策に特化した「SKYSEA Client View」とも連携することで、顧客情報の持ち出しを防ぎ、セキュアな環境で適切に管理することが可能です。 顧客情報を蓄積し、貴社の営業支援に活用できる「SKYPCE」の導入を、ぜひご検討ください。
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