営業方法にはさまざまな種類があり、どのような商品やサービスを提供するのか、どのようなターゲットにアプローチをかけるのかによって適切な方法は異なります。この記事では、営業の基本的な流れや成約率を高めるための営業方法、その例などを詳しくご紹介します。自社の商品やサービスにおいて適切な営業方法が判断しづらく迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
営業方法の基本
営業は商談だけではなく、商品やサービスを売り込みたい見込み客(自社の商品やサービスを利用する可能性がある企業)の発見やアポイントの獲得など、複数の工程が並行して進められます。そのため、基本的な手順を押さえずに営業活動を始めると、見込み客の悩みや課題を理解できず失注につながる恐れもあります。営業活動を行うときは、次のようなポイントを意識してみてください。
営業の流れ
営業の基本的な流れは、次のとおりです。
- 見込み客を見つける
- アポイントの獲得
- ヒアリング(課題の把握)
- 商談(解決策の提案)
- クロージング、受注
- アフターフォロー
まずは自社の商品やサービスを利用してくださる可能性がある見込み客を見つけ出します。見込み客を発見したらアポイントを獲得し、課題をヒアリングします。課題を把握したら、解決に導ける提案内容をまとめ、商談を行いクロージングで背中を押し、受注につなげます。無事に成約した後もアフターフォローを欠かさず、継続利用していただけるように顧客をサポートし続けることが重要です。
ヒアリングが成功の鍵
営業を行うなかで特に重要視されているのがヒアリングです。見込み客のニーズや課題、本音をうまく聞き出すことが精度の高い提案につながります。ヒアリングを成功させるためには、見込み客との信頼関係を築くことが重要です。商品やサービスの売り込みを急いでしまうと、相手に押し売りのような印象を抱かせてしまいます。営業の本質は見込み客が望むものを理解し、正確な提案をすることです。そのため、ヒアリングでは見込み客の話を重点的に聞くことが最も大切です。
営業をうまく進めるためのコツ
営業をスムーズに進めるために、次のようなコツがあります。
確度を見極め、優先順位をつける
商品やサービスを契約してくださる確率が高い見込み客を絞り込みアプローチをかけることで、効率的に受注を獲得できます。見込み客の確度を見極めるには、既存顧客と契約に至らなかった見込み客の傾向を分析します。また、商談中に確度が低いと感じた場合は、粘って営業トークを続けるのではなく、早めに切り上げてより確度が高い見込み客に対するアプローチに時間を使うよう意識することが大切です。
スピーディーな対応を心掛ける
見込み客からの連絡には、速やかに返信することが大切です。こまめな連絡と迅速な対応は、見込み客の安心感につながるほか、競合他社から差別化する要因の一つにもなり得ます。スピーディーな対応が最終的な成約率の向上や売上の積み上げに関わる場合もあるため、ささいな連絡や対応事項にもできるだけ素早く取り掛かることが重要です。
相手の視点に立って考える
営業を進めるに当たって、見込み客の視点や立場を理解することは重要なポイントです。見込み客の目的は商品やサービスを購入することではなく、自社の課題を解決することです。見込み客の視点に立つには、ヒアリングした内容を基に自分なりの仮説を立てることが大切です。コミュニケーションを取りながらその仮説が正しいのかを検証し、少しずつ目線を合わせて最適な提案内容を決定します。
優秀な営業担当者の営業方法
成約率の高い営業担当者は、どのような営業を行っているのかをご紹介します。
ニーズを引き出す
優れた営業担当者は、見込み客のニーズを正確に把握できるスキルを持っており、ヒアリングを通じて相手が大切にしている価値観や思い、いわゆる「ホットポイント」を見つけることに長けています。営業スキルを向上させるには、ヒアリングを通じて見込み客のホットポイントを探り当てて刺激し、購買意欲を高めることが重要です。
営業トークに気を配る
成約率の高い営業担当者は営業トークにも気を配り、見込み客からの信頼を得ることにも長けています。見込み客とコミュニケーションを取るに当たって、次のようなポイントを意識してみてください。
- 聞き取りやすい大きさの声、スピードで話す
- 相手の話に耳を傾ける
- 押し売りをしない
- 商品やサービスのデメリットにも触れる
商品やサービスを売り込む際は一方的に話し過ぎることは避け、相手の話も聞きながら会話のバランスを保つことが重要です。また、商品やサービスのメリットだけでなくデメリットも伝えることで見込み客は商品やサービスの全体像を把握でき、購入の意思を固める手助けになります。
細かくテストクロージングを行う
テストクロージングとは、見込み客に購入の意思があるか商談中に確認することを指します。購入意思が固まっていない状態でクロージングに入ると、見込み客は押し売りをされているような印象を抱いてしまう可能性があります。
例えば、プレゼンテーションの後に「ご希望に添っていますでしょうか?」「ご質問はありますか?」と問い掛けることでも、購入意思の程度は推し量れます。こうしたテストクロージングは購入意思を確認するだけでなく、購入意欲を高めるステップでもあるため、商談のフェーズに合わせて、的確なテストクロージングを行うことをお勧めします。
営業方法の例(アウトバウンド型)
アウトバウンド型とは、見込み客に対して企業から直接働き掛ける方法です。主なアウトバウンド型の営業方法として、次のようなものが挙げられます。
電話営業(テレアポ)
電話営業はテレアポとも呼ばれ、アポインターが電話で見込み客に対してアポイントを取る方法で、商品やサービスによっては大きな成果も見込めます。電話営業では、見込み客と話すときに利用するトークスクリプト(台本)を作り込むことで新入社員や派遣社員の方でも実践しやすくなり、属人化しづらいという特長があります。
訪問営業(飛び込み営業)
訪問営業は飛び込み営業とも呼ばれ、商品やサービスを売り込みたい企業に事前のアポイントなしで訪問する方法です。決裁権を持つ方とも直接話せる可能性がありますが、門前払いされる可能性も高いので注意が必要です。一見すると非効率に感じますが、訪問営業を行うことで成果を出しやすい商品やサービスもあります。
メール営業
メール営業は、メールマガジンやダイレクトメッセージを用いてアポイントを獲得する方法です。営業初心者でも取り組みやすいという特長があり、テンプレートを作成したり一斉送信を活用したりすることで効率よく進められます。ただし、業界や業種ごとに抱える課題は異なるため、事前のリサーチやメールを送信するターゲットの選定は慎重に行う必要があります。
フォーム営業
フォーム営業は、商品やサービスを売り込みたい企業のWebサイトの問い合わせフォームから営業メッセージを送り、アポイントを獲得する方法です。自社に対する問い合わせの内容はすべて目を通す必要があるため、開封率が高い傾向にあることが特長です。
ただし、フォーム営業を成功させるためには、メッセージの文面を継続的に改善する必要があります。テンプレートを使って企業名のみを入れ替えただけのような文章を送信すると、メッセージを受け取った企業側がスパムメッセージだと受け止めたり、テンプレートを流用したメッセージだと見抜かれたりして、強い不快感を抱く可能性もあります。スパムメッセージやテンプレートだと思われないような文面に仕上げることが重要です。
レター営業
レター営業は、直筆の手紙やはがきを企業に送りアポイントを獲得する方法です。直筆の手紙を送ることで誠意が伝わりやすく、競合他社との差別化にもつながります。ただし、手紙の作成には時間もコストもかかるため、リソースが限られている場合にはお勧めできない方法です。
営業方法やマーケティング方法の例(インバウンド型)
インバウンド型は、見込み客から企業に働き掛けていただけるようにアプローチする方法を指します。インバウンド型の営業方法やマーケティング方法としては、主に次のようなものが挙げられます。
引き合い営業
引き合い営業は、自社のWebサイトの問い合わせフォームなどから届いた問い合わせに対してアプローチする方法です。問い合わせに対応するかたちで営業を行うため、見込み客の確度も高い傾向があり成約につなげやすい特長があります。ただし、問い合わせがなければアプローチできないため、別の方法を組み合わせて自社の商品やサービスへの認知度を高めたり、見込み客の関心度を高めたりする必要があります。
ソリューション営業
ソリューション営業とは、見込み客の悩みや課題やニーズを的確に把握し、それぞれに合った解決策や商品やサービスを提案する方法です。ソリューション営業では見込み客とのコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、個別にカスタマイズした提案内容を考えることが大切です。
展示会やセミナー
自社主催の展示会やセミナーを開催することで、参加申し込み時の記録や当日の名刺交換などで見込み客の情報を獲得する方法です。近年では、オンライン上でセミナーを行う「ウェビナー」も注目を集めています。展示会やセミナーは自社の商品やサービスに興味を持つ方を一度に集めやすいため、新規顧客の開拓に有効な方法です。
なお、展示会やセミナーで獲得した名刺は、名刺管理ツールを用いると簡単に情報をシステムへ保存できます。営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」では、名刺情報にタグをつけて管理することで、目的ごとに分けた顧客リストの作成などもスムーズに行えます。
▼SKYPCEの概要については、こちらのページをご覧ください
営業支援 名刺管理サービスのSKYPCE:SKYPCEとは
SNS
InstagramやX(旧Twitter)などのSNSをうまく活用することで、見込み客の獲得だけでなく自社のブランディングの強化にもつながります。また、SNSを活用すると見込み客の悩みや本音を見つけやすくなり、自社の商品やサービスの改善にも生かしやすいというメリットがあります。
プレスリリース
プレスリリースは、新商品や新サービスの情報をマスコミやWebサイト運営者などの各種メディアに提供し、広く拡散させる方法です。プレスリリースを巧みに活用することで、コストを抑えて商品やサービスの認知度を上げられます。プレスリリースを成功させるには、情報を提供するのに適したメディア選びも重要です。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーは、見込み客の悩みや課題を解決に導くための情報を、あらかじめ資料にまとめて提供することで、問い合わせなどの行動を促す方法です。また、ホワイトペーパーの提供は、自社の商品やサービスにおける顧客満足度の向上にもつながることが期待できます。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社運営のブログや情報サイトなどを指し、掲載するコンテンツを通じて見込み客にとって有益な情報を提供し、自社への関心度を高めます。オウンドメディアをうまく活用することで、コストを抑えた集客も期待できます。
ただし、コンテンツがある程度蓄積されるまでは問い合わせが得られないなど、効果が出づらい点がデメリットですが、一度制作したコンテンツは資産として残せるため、継続的に問い合わせが得られる可能性もあります。
SEO
SEOは「Search Engine Optimization」の略称で、検索エンジンの自然検索結果で上位に表示されるようWebサイトの構成やコンテンツを調整する方法です。上位表示に成功すれば、自然検索した見込み客からのアクセスを増やすことができ、問い合わせ数の増加やブランディングの強化が期待できます。
そのほかの営業方法やマーケティング方法の例
ここまでご紹介したもの以外の営業方法やマーケティング方法についてご紹介します。
オンライン商談
オンライン商談は、Web会議システムを使用して営業活動や商談をオンライン上で行う方法です。移動時間や交通費を削減できるだけでなく、1日のスケジュールに組み込む商談数を増やせるため、見込み客に効率よくアプローチできる点がメリットといえます。
ABM
ABMは「Account Based Marketing」の略称で、自社で蓄積している顧客データから利益が見込めるターゲットを絞り込み、そのターゲットに対して集中的にアプローチをかける方法です。ABMでは必要な企業に必要なリソースを重点的に割り当てることができ、リソースの無駄がなくせます。
自社に合う営業方法の考え方
自社に合った営業方法を決める際の考え方をご紹介します。
ターゲットの状況を理解する
見込み客によって、自社の商品やサービスに対する理解度や欲求の度合いは異なります。現在ターゲットとしている見込み客がどのような状況であるかを考慮して、それぞれに合わせた適切な営業方法を選ぶようにすることが重要です。
顧客単価に合わせて選ぶ
顧客単価(顧客が一度の購入で支払う金額)に合わせて営業方法を選ぶことも大切です。例えば、決裁権を持つ方に直接アプローチできる可能性が高い場合、高単価の商品やサービスを提案しやすい傾向があります。
営業方法を複数試して比較する
成果が出そうな営業方法は複数実施し、その中で最も効果的な方法を探すのがお勧めです。営業方法は実際に試さないと効果の善し悪しが判断できないため、商品やサービスの特性のほか予算も加味しながら、できるだけ多くの方法を試すことで自社に合った営業方法が見つけやすくなります。
まとめ
この記事では、営業方法の種類や選び方、営業を成功に導くためのコツなどをご紹介しました。適切な営業方法は業界や商品、サービスの特徴によっても異なります。この記事でご紹介した選び方なども参考に、自社に合った営業方法を見つけ出すための参考になれば幸いです。