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公開日2023.11.09更新日2024.09.27

インサイトセールスとは? 従来の営業スタイルとの違いやメリット

著者:Sky株式会社

インサイトセールスとは? 従来の営業スタイルとの違いやメリット

今、インサイトセールスという新しい営業スタイルが注目を集めています。この記事では、インサイトセールスの概要やメリット、成功させる上でのポイントや社内で取り入れる際の指導方法などを詳しくご紹介します。競合他社との差をつけて受注率をより高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

インサイトセールスとは

インサイトセールスは、見込み客(自社の商品やサービスを利用していただける可能性のある企業)や既存顧客の潜在的な課題やニーズを見抜き、自社の商品やサービスを提案する営業スタイルです。インサイトセールスを行うことで、新規顧客の発掘や商品やサービスを長くご利用いただける優良顧客への育成、受注効率の向上が期待できます。

営業スタイルの移り変わり

営業スタイルは「御用聞き営業」「商品提案営業」「ソリューション営業」「インサイトセールス」など、代表的なものだけでも複数の種類があり、時代の変化に合わせて主流となる営業スタイルが移り変わっています。それぞれの営業スタイルには、次のような特徴があります。

御用聞き営業 見込み客や既存顧客の元を訪問し、顧客が望んだ商品やサービスを提供する
商品提案営業 見込み客や既存顧客のニーズを聞き出し、そのニーズに合った商品やサービスを提案する
ソリューション営業 見込み客や既存顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客が抱える課題の解決に適した商品やサービスを提案する
インサイトセールス 見込み客や既存顧客の隠れた課題やニーズを探り、その解決に適した商品やサービスを提案する

新規顧客の開拓が難しい御用聞き営業や商品提案営業という営業スタイルから、より最適な解決策を提示するソリューション営業が盛んに用いられるようになりました。そして、インターネットの普及による購買プロセスの変化によって、現在ではインサイトセールスが主流になりました。

購買プロセスの変化が影響している

インターネットやSNSが普及するにつれ、見込み客や既存顧客が望む商品やサービスに関する情報収集が容易になったことから、複数の選択肢の中から比較検討して購入を決める購買プロセスが主流になりつつあります。そして、事前の情報収集によって購買意欲を高め、購入に至るまでのスピードも徐々に上がっています。

ソリューション営業から新たな営業スタイルが求められている

見込み客や既存顧客の購買プロセスが変化していくにつれて、ソリューション営業の効果がうまく得られない場面も見受けられるようになりました。ソリューション営業は、営業担当者がヒアリングを通じて見込み客や既存顧客の課題を解決するための商品やサービスを検討し、提案する営業スタイルでした。しかし現代では、見込み客や既存顧客がインターネットやSNSを使ってリサーチし、すでに比較検討と提案に当たるステップを済ませているというケースが増えています。

そこで、見込み客や既存顧客の顕在的な課題やニーズにアプローチするのではなく、まだ顧客自身が気づいていない潜在的な課題やニーズに対してアプローチをかけるインサイトセールスが注目を集めるようになりました。

インサイトセールスとインサイドセールスとの違い

インサイトセールスとインサイドセールスは、言葉としては似ていますが、それぞれで行う業務内容は異なります。インサイトセールスは、見込み客や既存顧客の潜在的なニーズを探った上で適切な商品やサービスを提案し、受注を獲得することが目的です。そして、営業活動を行うときは電話やメールでアプローチしたり、企業を直接訪問して提案を行ったりなど、社内外を問わずさまざまな手法が用いられます。

一方でインサイドセールスは、見込み客や既存顧客のフォローアップや育成を目的としており、電話やメールなどオフィス内(インサイド)で完結する手法を用いて営業活動を行います。

インサイトセールスを行うメリット

インサイトセールスを行うと、次のようなメリットがあります。

ナーチャリング(顧客の育成)に効果的

インサイトセールスでは、見込み客や既存顧客とのコミュニケーションを重ねながら、潜在的な課題やニーズを見つけます。見込み客や既存顧客と継続的なやりとりを続けることで信頼関係が生まれるだけでなく、購買意欲を高める役割も果たすため、ナーチャリング(見込み客や既存顧客の育成)にも効果的です。

自社の価値を高める

インサイトセールスでは、見込み客や既存顧客だけではなく競合他社が気づかない課題やニーズにアプローチするため、最適な商品やサービスを提案できれば「こんなものが欲しかった」という感動が生まれ、自社に対する信頼感や価値の向上につながります。ほかにも、インサイトセールスを通じて得たアイデアが新商品の開発に役立つ場合もあり、自社の価値を高めるために有効な営業スタイルだといえます。

受注率の向上が期待できる

インサイトセールスは潜在的な課題やニーズに対してアプローチするため、従来の営業スタイルと比べて押し売りのような印象を与えにくいという点もメリットです。インサイトセールスをうまく展開することで、見込み客や既存顧客から「私たちの課題を解決するには必要な存在だ」と信頼を寄せてもらいやすくなるため、受注率やリピート率の向上にもつながります。

競合他社との差別化要因になる

見込み客や既存顧客の課題解決に焦点を当て、商品やサービスを提案するインサイトセールスを行うことで、競合他社との差別化が図れる可能性が高まります。見込み客や既存顧客の顕在的な課題やニーズに焦点を当てた商品やサービスは競合が多いため、価格競争に発展する恐れもあります。商品やサービスの価格を落とさず見込み客や既存顧客にアプローチするために、潜在的な課題やニーズを見つけるスキルを培うことが大切です。

インサイトセールスを行う上での注意点

見込み客や既存顧客への十分なヒアリングや現状分析の深掘りが十分にできていない場合、潜在的な課題やニーズがつかめず、適切なアプローチができない可能性があるので注意が必要です。逆に、見込み客や既存顧客に関する最新の情報を常に把握しておくことで、新しいアイデアが生まれることもあります。新事業を展開したり社内体制を変更したりといった変化を見逃さないことが重要です。

インサイトセールスを成功させるためには

インサイトセールスを成功させるために意識すべきポイントは、次のとおりです。

情報収集力や課題発見力を高める

見込み客や既存顧客と深いコミュニケーションを取るには、事前に業界の動向やトレンド、企業や担当者に関する情報を集めておく必要があります。集めた情報を基に会話をし、ヒアリングした内容から潜在的な課題やニーズを見つけ出します。インサイトセールスを成功させるためには、より多くの情報を収集するスキルや現状を分析し、見込み客や顧客の課題やニーズはどこにあるのかを正確に把握するスキルが重要になります。

自社の商品やサービスの強み、弱みを理解する

インサイトセールスを行うには、自社の商品やサービスを徹底的に理解しておくことが大切です。その際、商品やサービスの強みだけではなく弱みまで理解することで、見込み客や既存顧客の潜在的な課題やニーズに適した提案や、自社の商品やサービスの活用方法を考え出せるようになります。効率的に自社の商品やサービスの特長、活用方法を理解するために、競合他社と自社の活用事例を照らし合わせる方法もお勧めです。

ヒアリングでより多くの話を引き出す

従来の営業スタイルでは、商談にかける時間のうち、自社の商品やサービスの紹介、提案が占める割合が多い傾向にありました。しかし、インサイトセールスでは見込み客や既存顧客の潜在的な課題やニーズを見つけるために積極的に質問をしながら、より多くの話を聞き出すことが重視されます。会話をするなかで、ささいな話も聞き逃さず「もっと詳しく教えていただけますか?」と、興味を持って深掘りすることで、信頼関係を築きながら密なヒアリングを実現できます。

フィードバック力を身につける

見込み客や既存顧客から聞き出した課題やニーズ、要望などをどれだけ提案内容に反映させられるかは受注率にも影響します。一連の営業活動が終わってからも、どこがうまくいったか、うまくいかなかったかを振り返り、次回に生かすことでより効果的なアプローチができるようになります。

仮説を立てて会話する

見込み客や既存顧客の潜在的な課題やニーズを見つけやすくするには「このような課題があるのではないか」「こうなったら良いと思っているのではないか」などと、仮説を立てて検証することも重要です。あらかじめ仮説を立てておき、仮説に沿って話題を広げることで、活発なコミュニケーションのなかでも軸をぶらさずに見込み客や既存顧客の課題やニーズを深掘りできます。

営業活動を効率化させるツールを活用する

見込み客や既存顧客の情報管理、顧客リストの作成、メール送信など、営業活動では商談以外にもやるべきことがいくつもあります。営業活動における一部の工程は、顧客管理や営業支援、名刺管理などのツールを活用することで、効率よく業務を進められる場合があります。

営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」は、個人で管理することが多い名刺を一つのシステムに集約し、名刺情報の閲覧や管理、活用をより効率的に行えるツールです。例えば「One To Oneメール送信」機能を使えば、名刺所有者を差出人に設定して営業メールが一斉送信できるなど、営業活動に役立つ機能が豊富に搭載されています。

▼SKYPCEの営業活動記録については、こちらのページをご覧ください
営業支援・名刺管理サービスのSKYPCE:新機能

活動記録をつけ、改善点を見逃さない

一連の営業活動を進めるなかで、準備したことや実践したこと、見込み客や既存顧客からの質問やそれに対するリアクションなどを記録しておけば、改善すべき点や次回以降も継続して取り組むべき点が見つけやすくなります。また、記録を共有することで上司やほかの営業担当者からのアドバイスも受け取りやすくなり、自身のスキルアップにもつながります。

SKYPCEでは、登録した名刺に紐づけて日々の営業活動の記録を残すことができ、自身の振り返りや進捗確認、上司からのフィードバックをもらうときなどに役立てられます。

インサイトセールスを部下に指導する方法

インサイトセールスの手法を企業の営業部門で取り入れ、部下に指導する場合は、何をすればよいのでしょうか。ここでは、インサイトセールスを部下に指導する際に、特に意識したいポイントをご紹介します。

コーチングを行う

コーチングとは、一方的に指導するのではなく、指導を受ける側が目標を達成するために相手の考えを引き出しながら気づきを与え、サポートをする人材育成スタイルです。インサイトセールスは、一方的に提案せず見込み客や既存顧客の話を引き出しながら適切な商品やサービスが何かを見極める営業スタイルのため、コーチングの手法と共通する部分があります。

マインドセットを変える

新たな営業スタイルを指導する際に、以前の営業スタイルと混同してしまわないようマインドセット(固定観念)を変えることが重要です。インサイトセールスを行うには、営業担当者の一人ひとりが、見込み客や既存顧客の話を聞いて顕在的な課題やニーズを解決する方法を提供するという考えから脱却し、潜在的な部分まで深掘りしたヒアリングやそれに基づく提案が必要であるということを浸透させ、意識を変える必要があります。

営業担当者が持つ知識やスキルを生かす

インサイトセールスでは、個々の営業担当者が持つ知識量やスキルも大きく影響します。そのため、決まった型の営業活動を行うように担当者を縛りつけるよりも、ある程度の裁量を与える方が成功につながる傾向があります。営業担当者がそれぞれの知識やスキルを生かして提案内容を考えたり分析したりすることで、見込み客や既存顧客の潜在的な課題やニーズにより近づくことが期待できます。

まと

この記事では、インサイトセールスの概要やメリット、インサイトセールスで成功を収めるためのポイントなどをご紹介しました。インサイトセールスは今後ますます注目を集める営業スタイルと考えられていますので、競合他社に後れを取らないよう、記事内でご紹介したポイントなどが参考になれば幸いです。