顧客ニーズを理解してアプローチすることは、営業やマーケティングの活動において欠かせません。この記事では、顧客ニーズとは何か、顧客ニーズを理解することの重要性、顧客ニーズを理解するために必要なアクションなどを詳しくご紹介します。顧客ニーズを理解し、より顧客の視点に立ったアプローチをするための参考として、ぜひ最後までご覧ください。
顧客ニーズとは
顧客ニーズとは、営業やマーケティングを行う上で押さえておくべき大切な要素の一つです。しかし、顧客ニーズという言葉の定義を曖昧に理解したまま業務に取り組んでいる人も少なくありません。ここでは、顧客ニーズがどのような意味を持つのかをご紹介します。
顧客の理想とのギャップから起こる欲求
顧客ニーズとは、顧客が「こうなりたい」と考える理想の状態と、現在の状態のギャップから湧き起こる欲求を指します。顧客は、理想の状態を目指して商品やサービスを購入するため、自社が提供する商品やサービスは、顧客ニーズを満たし理想の状態へ導くための手段と位置づけられます。
顧客ニーズに含まれる潜在ニーズと顕在ニーズ
顧客ニーズを大別すると「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2種類に分けられます。顕在ニーズは顧客が自覚しているニーズを指し、潜在ニーズは顧客が自身でも気づいていないニーズを指します。顧客の潜在ニーズを探り出して刺激することで、顧客の購買意欲をより高められます。例えば、「書類作成業務にかける時間を減らしたい」という顕在ニーズがあった場合「残業せずに退勤して、ゆっくり食事を楽しみたい」といった潜在ニーズがあると考えられます。
ニーズとウォンツの違い
顧客の理想の状態と現在の状態とのギャップによって起こる欲求であるニーズに対し、ニーズを満たすために顧客が欲している手段や解決方法をウォンツと表します。例えば「営業担当者の企業リサーチを効率化させたい」というニーズに対して、「営業支援ツールの導入」や「リサーチ業者への依頼」などの手段がウォンツに当たり、1つのニーズに対して複数のウォンツがあることが一般的です。
ニーズとウォンツを見誤ったり混同してしまっている場合、顧客が本当に必要としている商品やサービスを提示できないこともあります。顧客の顕在ニーズと潜在ニーズを見極め、適切な商品やサービスを提案することが重要です。
顧客ニーズを理解することの重要性
顧客ニーズを理解することは、営業活動やマーケティングの成功の鍵ともいえます。ここでは、顧客ニーズを理解することによってどのような影響が生じるのかをご紹介します。
顧客の購買意欲を高め、受注につながる
顧客ニーズを理解することは、顧客の購買意欲の向上につながります。顧客ニーズを満たし、顧客が目指す理想の状態の実現に役立つ商品やサービスを提案できれば、顧客は購入に踏み切れます。ターゲットとした顧客が、どのような理想の状態を目指し、現在はどこにギャップがあり、何が障壁となっているのかを、リサーチや分析で明確にすることによって、適切な商品やサービスの提案、新商品の開発などに生かせます。
企業の売上、利益の増加につながる
顧客ニーズを理解することで、顧客の理想の状態を目指すための手段として、適切な商品やサービスの提案が可能になります。商談での成約率の向上も期待でき、結果的に売上や利益の増加につながります。顧客の潜在ニーズまで深掘りすることで実現したアプローチであれば、それをきっかけに競合他社との差別化も図れ、自社の商品やサービスを選んでいただける可能性が高まります。
顧客満足度の向上につながる
顧客ニーズに合ったアプローチや、契約後のアフターフォローを続けることで、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の向上につながります。特に、サブスクリプション型のサービスを提供している企業では、契約後の顧客対応が重要とされています。自社の商品やサービスを長く利用していただくことで安定的な売上につながるため、顧客を取り巻く業界の動向やトレンドも把握しながら、常に顧客ニーズを探ることが大切です。
顧客ニーズを理解するための方法
顧客ニーズを理解するために有効とされている方法には、次のようなものが挙げられます。
カスタマージャーニーマップを作成する
カスタマージャーニーマップとは、自社の商品やサービスを顧客が発見し、購入に至るまでの道筋を時系列に沿って図式化したものを指します。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の購買プロセスを視覚的に理解しやすくなるだけでなく、購入までの各工程に自社がどのように関われるのかを認識でき、適切なアプローチの検討に役立ちます。
顧客が検索するキーワードを調査する
検索エンジンを用いてキーワードの調査を行い、キーワードの検索ボリュームを見ながら顧客ニーズを把握することも有効です。キーワードの検索ボリュームは、Google広告のキーワードプランナーやSEO対策ツールで調査できます。
ただし、検索ボリュームが大きいキーワードだからといって、そのキーワード自体が顧客のニーズに直結するわけではありません。異なるニーズを持った複数の顧客が同じキーワードで検索することも考えられるため、キーワードから想定できるニーズと自社の強みを照らし合わせながら、自社の商品やサービスを利用していただける可能性のある顧客のニーズは何かを探ることが大切です。
すでに商品やサービスを利用している顧客にアンケートを行う
すでに自社の商品やサービスを利用している顧客に対し、アンケートを実施することで自社の商品やサービスに対する意見、感想を把握でき、顧客ニーズの理解にも役立ちます。ただし、アンケートでは表面的な回答や本心を偽った回答が含まれることもあるため、アンケート結果を参考にする際には注意が必要です。
質問内容や回答形式の設定、アンケートで得た内容をどのくらい顧客ニーズの理解のために生かすのかといったことは、あらかじめ慎重に検討しておく必要があります。
インタビューを実施する
アンケートに加え、すでに自社の商品やサービスを利用している顧客に対してインタビューを行い、直接ヒアリングすることでアンケートよりも深いニーズが探れます。インタビューは、顧客の話を聞いて、その内容を踏まえて違う角度から質問をしたり、気になる回答があればさらに深掘りしたりして、柔軟に顧客の声を聞き出せるのが特長です。アンケートとは違い、数字では表せない定性的なデータが得られることもあるため、アンケートを実施する場合はインタビューも併せて行うとより効果的です。
SNSで調査する
顧客ニーズを理解するために、X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSを用いた調査も有効です。近年では企業のプロモーションや採用に特化したアカウント、経営陣や従業員による情報発信用アカウントなど、1社で複数のアカウントを運用している企業も多く見られます。ターゲットとなる企業の各アカウントの投稿や拡散内容を見ながら、現在はどのような事業やニュースに関心を持っているのか、今後どのようなセミナーや勉強会に参加する予定なのかなどを把握すれば、顧客ニーズの理解に生かせます。
競合他社の事例を調査する
競合他社が公開している事例がある場合は、その内容をチェックすることをお勧めします。事例は各企業のWebサイトで、記事やホワイトペーパーの形式で公開されていることが多いです。競合他社の商品やサービスを利用した顧客がどのような課題を抱えていて、どのような点に魅力を感じて導入に至ったのかを調査し、自社の商品やサービスの性質、自社の顧客とも比較しながら、新しい顧客ニーズを探ります。
営業担当者から情報収集する
日頃から顧客対応をしている営業担当者から情報収集する方法も有効です。営業担当者は商談などで顧客とコミュニケーションを取る機会が多く、課題やニーズを詳細に把握しています。また、営業担当者に限らず、顧客と関わることの多いインサイドセールスやカスタマーサポートからも顧客ニーズに役立つ情報を引き出せる可能性があります。
顧客ニーズを満たすために効果的な方法
顧客ニーズを理解したら、顧客ニーズを満たして顧客を理想の状態へ導くことが大切です。どのような方法であれば顧客ニーズを満たせるのか、その方法を具体的にご紹介します。
ペルソナに沿った戦略を考える
顧客に対して効果的なアプローチをするには、ニーズの理解だけではなく顧客企業そのものを正確に理解する必要があります。そこで、顧客企業の理解を深めるために、担当者単位でペルソナを作成することがお勧めです。ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する架空の顧客像を指します。ペルソナを作成するときは、年齢や性別、職業、経歴、家族構成、居住地、趣味などのプロフィールを詳細に設定します。ペルソナを作成することで、戦略を立てるときのアイデアも生まれやすくなります。
顧客の購買パターンを予測し、環境を整える
顧客が問い合わせをしやすい環境を整えることや、顧客が自社の商品やサービスを必要とする時期などの背景を理解しておくことも重要です。例えば、顧客が問い合わせをする場合、メールやWebサイトの問い合わせフォーム、SNSなど、どのチャネルを入口とするのが最適なのかを見極めます。また、新入社員が多く入社する時期や経費精算を行う時期など、特定の時期に合わせて自社の商品やサービスのアプローチを掛けるなど、顧客が購入に踏み切りやすいタイミングを予測するといったように、あらかじめ環境や施策を整理しておくことで顧客ニーズを満たしやすくなります。
AIで予測した顧客の傾向を施策に生かす
AIが注目されている近年では、AIを用いて顧客ニーズを予測することも有効な手段となってきました。既存顧客に関するデータをAIに学習させることで、顧客の傾向や今後の行動パターンを予測できます。例えば、AIで予測した顧客の興味や関心を基に、企業のWebサイトのページごとに「こちらもおすすめ」というかたちでコンテンツの導線を配置し、ページを遷移した顧客の関心度をさらに高めるといった活用方法があります。
顧客の目線に立って共感する
顧客は営業担当者やカスタマーサポートから共感を得られることで信頼を寄せ、柔軟な対応ができる企業との取引を望む傾向があります。顧客の目線でのコミュニケーションを心掛けることで、より顧客に寄り添った提案や対応を実現できます。顧客に共感し、信頼関係を築くという点でも顧客ニーズの理解は重要です。
カスタマーサポートを怠らない
カスタマーサポートの品質は、競合他社との差別化や顧客ロイヤルティーの向上、商品やサービスの継続利用にも影響する重大な要素の一つです。顧客が疑問や不満を抱いた状態でカスタマーサポートに問い合わせたときに、迅速かつ丁寧な対応で解決に導くことができれば、顧客は企業に信頼を寄せ、顧客ロイヤルティーは向上します。
ほかにも、カスタマーサポートに「商品やサービスの〇〇の設定でつまずいている」といった意見が多く寄せられたとき、その情報を社内に展開し、商品やサービスそのものの改善を提案するなど、顧客の意見を基に商品やサービスの品質向上に寄与する場合もあります。
顧客ニーズの分析に活用できるツール
顧客ニーズを探るに当たり、多くの顧客情報を管理する必要があります。そこで、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)などのツールを活用することで、効率的に顧客ニーズを分析できるようになり、戦略立案や顧客に合わせたアプローチに役立ちます。CRMでは、顧客情報の管理や顧客とのコミュニケーションの記録、既存顧客のデータに基づく分析などが行えます。またSFAでは、営業案件の管理や営業担当者が行ったアプローチの結果などの記録、営業結果のデータに基づいた分析などができます。
▼SFAについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください
SFA(営業支援システム)とは? 機能やCRM・MAとの違いを解説
▼CRMについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください
CRM(顧客関係管理)とは? 導入メリットや選び方、注意点を解説
SFAやCRMは、名刺管理ツールと併用することもお勧めです。名刺管理ツールは、受け取った名刺をスキャナーやスマートフォンのカメラで読み取ることで、名刺に記載された情報を自動でデータとして保存でき、名刺情報を社内で一元管理できるツールです。
営業支援 名刺管理サービスの「SKYPCE(スカイピース)」では、SFA / CRMシステム「Salesforce」と連携し、SKYPCEに登録された名刺情報をSalesforce内に反映することで顧客情報の入力の手間の削減や入力ミスを防ぎます。また、営業活動記録を活用すれば、案件化する前の名刺交換の段階から、相手企業の担当者単位でアプローチの履歴が残せます。
▼SKYPCEのSalesforce連携・営業活動記録については、こちらのページをご覧ください
営業支援 名刺管理サービスのSKYPCE:新機能
まとめ
この記事では、顧客ニーズとは何か、顧客ニーズを理解するための方法、顧客ニーズを満たすために重要なポイントなどをご紹介しました。顧客ニーズを満たし、顧客の購買意欲を高める提案を行うことで、企業全体の売上や利益の向上につながります。記事内でご紹介した内容が顧客を深く理解するための参考になれば幸いです。