
営業力強化を図ることで、組織の売上や利益の増加、組織全体における生産性の向上が期待できます。営業力強化のためにセミナーなどを受講する手段もありますが、社内の体制やマネジメントの方法を見直すことで強化できる場合もあります。この記事では、営業力強化を図るにあたって必要なポイントやスキル、マネジメントのコツや営業力強化に役立つツールなどを詳しくご紹介します。個人やチームでの営業力を高め、属人化しない営業体制を目指したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
営業力強化とは
営業力とは、営業担当者個人や組織全体での生産性を強化するために必要な力です。個人や組織における営業力は、営業担当者それぞれの強みや弱みが大きく影響するため、営業力の強化に取り組む上では、一人ひとりの強みを最大限に生かし、弱みを払拭する環境を整えることが重要です。営業担当者が持つそれぞれのスキルを最大限に伸ばせるようマネジメントを徹底し、各担当者が活躍できる仕組みづくりを行うことで、営業力の高い組織を目指せます。
個人に求められる営業力
営業担当者個人の営業力は、主に営業担当者それぞれの活動に表れます。見込み客(自社の商品やサービスを利用する可能性がある企業)の発見やアプローチ、アポイントの獲得、契約後のアフターフォロー、既存顧客へのアプローチなど、一連の営業プロセス全体を通して営業力を発揮する必要があります。受注したとしても売りっぱなしにするのではなく、既存顧客が自社の商品やサービスを通じて課題解決や事業の成功につながるようフォローすることや、既存顧客にさらに自社に興味を持ってもらいアップセルやクロスセルを促すといった取り組みも不可欠です。
組織に求められる営業力
組織における営業力は、営業チームや営業部門などの集団での活動のなかで培われます。組織内の営業担当者それぞれのモチベーションの向上を図るため、担当者同士で競争させるケースもありますが、過度な競争はかえってモチベーションの低下や離職の原因にもなりかねないため、注意が必要です。営業担当者全員の意識を高く保つために、担当者同士の関係構築を活発化させることや、個人ごとの適切な目標設定など、マネジメントの精度を強化することが重要です。
営業力が低い組織の特徴
組織の売上や利益に直結するといっても過言ではない営業力。ここでは営業力が低い組織に共通する主な特徴をご紹介します。自社の営業チームと照らし合わせ、該当している部分がないかを確認してみましょう。
営業プロセスのボトルネックを把握できていない
営業力が低い組織は、営業プロセスのどこかにボトルネックが存在している可能性があります。ボトルネックが何であるかを把握できている場合は改善策を検討できますが、把握できていない場合は検討のしようがなく、改善することはできません。
ボトルネックの把握が困難な要因はさまざまですが、一例として営業プロセスの属人化が挙げられます。営業プロセスが属人化し、個々の営業担当者によって対応が異なっている状況では、管理者は全体のプロセスを俯瞰で見ることが難しく、どこにボトルネックが存在しているのか特定しづらくなります。
能力の高い個人に依存している
高い営業成果を出す営業担当者は、チームにとって欠かせない存在です。しかし、その個人に依存し続けると、ナレッジやノウハウがチームに共有されず、組織の将来的な営業力向上は期待できません。営業担当者が異動や退職した場合、その影響は大きく、組織全体の営業力が急激に低下する恐れがあります。
営業手法が組織で共有されていない
営業手法が十分に共有されていない組織では、営業担当者ごとの対応にばらつきが生じます。その結果、一貫性の欠如により顧客からの信頼が損なわれる可能性があります。また、各担当者に営業活動のベストプラクティスが伝わらないため、効率的な営業活動が難しくなります。さらに、人材の教育・トレーニングが曖昧になり、新人の立ち上がりが遅くなることも考えられます。
人材育成が十分でない
個々の営業担当者の成長は、組織全体の営業力向上に直結します。経験の浅い営業担当者の育成が十分に行われなければ、中長期的な業績アップは見込めません。新規顧客の開拓が進まないだけでなく、既存顧客の満足度が低下する可能性もあり、結果として組織全体の営業力が低下してしまいます。
組織のビジョンが定着していない
営業チームが目指すべき理想の姿を掲げることは、営業担当者のモチベーションを高め、継続的な成果を生むために重要です。単に「目標を達成しなければならない」という義務感だけでは、達成そのものに焦点が当たり、結果として担当者が疲弊してしまう可能性があります。数値目標だけでなく、理想の姿を共有し、ビジョンを定着させることが必要です。ビジョンが定着することでメンバーが一丸となり、持続的な成長と成果を実現できます。
営業力強化に必要なポイント
営業力の強化に取り組むにあたって必要なことは、次のとおりです。
自社の営業プロセスを確立させる
社内の基本的な営業プロセスを確立させることで、営業担当者それぞれの能力やスキルに寄らず、誰でも一定レベルの結果を得られる仕組みを整えます。組織において、一部の営業担当者の営業力に依存して属人化に陥るケースは多く、ナレッジの共有や営業担当者の育成が課題になる傾向があります。営業力強化のために、成績の良い営業担当者のトークやアプローチ方法を分析し、これまでの見込み客や既存顧客の傾向を参考にしながら営業プロセスを確立することが大切です。
現代の営業スタイルを意識する
現代で主流とされている営業スタイルでは、自社の商品やサービスの特長を強調して売り込むのではなく、その商品やサービスを見込み客が利用することで、どのような価値が得られるか、どのように課題解決に影響するかを伝えることが重要視されています。見込み客に自社の商品やサービスに対する必要性を感じてもらうには、すでに顕在化された見込み客の課題やニーズだけではなく、見込み客自身も気づいていない潜在的な課題やニーズを引き出す力が必要です。このような、見込み客の潜在的なニーズに対してアプローチする営業スタイルのことを「インサイトセールス」と呼びます。
営業戦略を明確にする
営業力を強化するには、営業戦略を明確化することが重要です。営業戦略を練る上では、ターゲットの選定から行う必要があり、「5C分析」を基に自社で優先的にアプローチする企業を見極めます。5C分析とは「自社(Company)、消費者(Consumer)、競合他社(Competitor)、中間顧客(Customer)、経済環境(Community)」の5つの要素を基にした市場分析方法です。
マーケティング思考も取り入れる
現代の企業においては、従来と比べてコスト意識が高まっており、本当に必要なものや将来的に事業を続けるために役に立つものだけに投資する傾向が強まっています。そのため、商品やサービスの良さアピールするだけの押し売りに近い営業スタイルでは受注につながりづらいです。ターゲットが何を必要としているのか、市場のトレンドに適した商品やサービスは何かなどを常に見極めるマーケティング思考を養うことが大切です。ターゲットにとって需要のある商品やサービス、キャンペーン施策などを分析し、新商品の開発や新規顧客の開拓に努めることが重要になっています。
営業担当者を育成し、自立させる
営業担当者を積極的に褒めることで、上司と部下の関係が深まり、コミュニケーションが促進されます。成功や長所を評価することでモチベーションが向上し、さらに長所を伸ばすきっかけとなります。また、良い評価を行うだけでなく、改善点を指摘し指導することも重要です。これにより、営業担当者が自立し、自己成長のサイクルをつくるサポートができます。個々の良い面を評価しつつ自立を促すことが、組織全体の営業力強化の鍵となります。
積極的に行動し、PDCAサイクルを回す
社内で基本的な営業プロセスを定めて営業戦略を確立しても、営業担当者それぞれが実践しない限り営業力の強化にはつながりません。「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」というPDCAサイクルを回し、積極的に仮説検証や行動に踏み切り、各行動を終えた段階の振り返りを行い、次回に向けて仮説を立てることが重要です。
ナレッジを社内で共有する
営業活動における成功事例やナレッジを社内で共有し、多くの営業担当者が実践できるようにすることで、個々の営業担当者に依存することなく組織全体の営業力強化が図れます。営業担当者の外出が多いことなどが原因となり、ナレッジや情報の共有が不足している傾向があり、営業部門の業務は属人化しやすいといわれています。営業担当者同士や組織全体での情報共有を活発化させることで、従業員間でのコミュニケーションの促進やモチベーションの向上にもつながります。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングとは、自社の営業活動の一部、または全体を外部に委託するサービスです。営業活動においてアウトソーシングできる業務には、主に以下のものがあります。
- 営業活動の代行
- 営業事務の代行(見積もり作成、契約書管理、請求書処理など)
アウトソーシングを活用することで、営業経験を持つ外部スタッフのリソースを必要な時に必要な分だけ確保できます。また、多くのアウトソーシング企業は、高い営業スキルや専門的なノウハウを持っています。これにより、顧客の新規開拓からアポイントの取得、クロージングまで、さまざまなノウハウを吸収することができ、自社の営業チームのスキルアップにもつながります。
外部セミナーを活用する
組織の営業力を強化するためには、外部セミナーを活用する方法もあります。外部セミナーには多くの種類があるため、目的や状況に応じて適切に選ぶことが重要です。セミナーの効果を最大限に引き出すためには、セミナーの構成や内容を外部の委託業者に丸投げして依頼するのではなく、委託業者の担当者と綿密に打ち合わせして決めることが大切です。また、委託業者の選定も重要なポイントとなります。
営業力強化に必要なスキル
営業力強化を図る上で必要なスキルは、次のとおりです。
タスクマネジメント
営業活動を効率よく行うためには、タスクの取捨選択が重要です。売上や利益につながる可能性が高い営業活動にリソースを割き、逆に売上や利益に大きく影響しないタスクの優先度は下げるなどの工夫を意識する必要があります。営業担当者の業務は多岐にわたり、商談以外にも事務作業や会議、資料作成など、多くのタスクを抱えていることが少なくありません。事務作業など、営業担当者でなくても行える業務に関してはアシスタントを雇うなど、営業担当者が重要度の高い営業活動に集中できる環境をつくることも大切です。
情報収集、分析
見込み客や既存顧客へのヒアリングで情報を集めたり、顧客データを分析して顧客それぞれに最適なアプローチ方法を発見したりすることで、受注率の向上が期待できます。過去の案件から勝ちパターンを見つけ、新しい提案内容や営業戦略に活用することが、分析スキルの向上や営業力の強化につながります。
ロジカルシンキング
営業活動を成功させるには、営業担当者が的確にロジカルシンキングする力を身につけることも大切です。論理的思考力とも呼ばれるロジカルシンキング力は、見込み客や既存顧客との社外でのコミュニケーション以外にも、社内でのプレゼンテーションや会議でも役立ちます。ロジカルシンキング力を生かし、見込み客や既存顧客の課題やニーズに対して素早くアプローチすることで、信頼関係の構築にも大きく寄与します。
信頼関係を築く
長期的に自社の商品やサービスを利用している優良顧客や、多くの売上が見込める見込み客や既存顧客との信頼関係の構築は特に重要です。このような顧客に対して重点的にリソースを割き、関係維持に努めます。信頼関係を構築するためにはスピーディーなアプローチが不可欠であり、社内で定めた基本となる営業プロセスの中から、特に重要な営業活動に絞って取り組むといった工夫も必要です。
ニーズを引き出し提案する力
見込み客や既存顧客を課題解決へ導くには、商品やサービスの特長をアピールするだけではなく、各顧客の課題を的確に把握し、どのように自社が貢献して解決へ導けるか提案する必要があります。最適な提案内容を提供するために、見込み客や既存顧客の課題やニーズを引き出すことが鍵となるものの、信頼関係を構築できていない段階ではそれらをうまく引き出すことは難しいです。優れたヒアリングを行うためには、先述した情報収集力や分析力、ロジカルシンキング力も大きく関わります。
プレゼンテーションスキル
商談など限られた時間の中で自社の良さを知ってもらい、見込み客や既存顧客に商品やサービスを必要だと感じてもらうためには、優れたプレゼンテーションスキルが求められます。自社の商品やサービスの機能やメリットを単に伝えるだけではなく、プレゼンテーションを行う相手によって刺さるポイントを見極め、「自社の商品やサービスを導入することでどのような課題が解決できるか」「競合他社と比べてどのような点が優れているか」などを簡潔に伝えることで、見込み客や既存顧客の購買意欲を効率的に高められます。
営業力強化のためのマネジメント
営業力強化においては、マネジメントも重要です。営業担当者個人や組織全体で営業力を底上げするために必要なことは、次のとおりです。
チームのモチベーションを向上させる
組織の営業力強化を図る場合、営業チームや組織全体のモチベーションを高める必要があります。もちろん、営業担当者の成績に応じたインセンティブや昇給などといった金銭的・物理的な報酬もモチベーションの向上に影響しますが、営業担当者のやる気が湧き上がるような施策を行ったり、組織内で励まし合ったりすることでも、高いモチベーションを常に維持できる環境づくりができます。
属人化させない
従来の営業マネジメントでは、結果や数字だけを求める方法が主流であり、成績の良い営業担当者に売上が偏るなど、属人的な側面が目立っていました。しかし、現代の営業では属人化を避け、すべての営業担当者が同じように成功を収められるような仕組みをつくることが重視されています。社内での成功体験や勝ちパターンを積極的に共有し、組織全体で営業活動のレベルを高められるマネジメントが求められています。
逆算思考で目標達成を狙う
営業活動では、逆算して目標を設定し、各営業活動における行動内容を管理することが重要です。逆算思考では、最初に定めたゴールの設定から逆算して最適な営業プロセスを割り出し、その過程において重要度が高いとされる営業活動に集中してリソースを割くことで確実に目標達成を狙います。目標達成に向けて営業活動を行うなかで予期せぬ事態が起きた場合にも冷静に対処できるよう、日頃から行動管理を行い、次に取るべきアクションは何か、トラブルが起きた際はどうするかなどをあらかじめ考えておくことが大切です。
営業力強化にITツールの活用もお勧め
営業力強化を行うにあたって、ITツールを活用することもお勧めです。ここでは、営業担当者にとって役立つITツールをご紹介します。
CRM
CRM(顧客関係管理)は、見込み客や既存顧客との信頼関係の維持や、関係を深めることに役立つツールです。顧客情報をツール内に集約することで、社内で顧客に関するデータを一元管理できるだけでなく、顧客データに基づく分析が行えるなど、見込み客や既存顧客へのアプローチ方法の考案や戦略立案に活用できます。
SFA
SFA(営業支援システム)は、営業活動の効率化に役立つツールで、顧客情報や各案件の管理を主な目的として使われます。SFAでは予算管理や案件の進捗管理だけでなく、見積書などの書類作成や営業活動の記録が行えるツールもあります。SFAがあることで、顧客や案件の情報を社内で共有しやすくなるため、営業担当者の急な退職や欠勤にも対応しやすくなります。
名刺管理ツール
名刺管理ツールでは、見込み客からもらった名刺をデータ化し、社内で一元管理できます。紙の名刺を管理する場合、一般的に営業担当者それぞれが個人的に管理することになるため、紛失などの人為的なミスが起こったり、古い名刺情報のまま所持し続けてしまったりする場合があります。名刺管理ツールを用いて名刺を社内でデータ管理することで、紛失によるトラブル防止や、最新の名刺が登録された際の自動情報更新などといったメリットが得られるため、個人に依存した名刺管理体制を改善できます。
ほかにも、名刺管理ツールを使うことでスピーディーに必要な名刺を検索でき、営業活動で用いる顧客リストの作成やメールでの一斉連絡が手軽に行えるようになり、より名刺情報を営業活動に活用しやすい環境を整えられます。
営業名刺管理「SKYPCE」(スカイピース)では、上記の機能に加えて、名刺情報にひもづけて営業活動を記録できます。この記録は上司への情報共有や自身の振り返りだけでなく、社内で今後の営業戦略を策定する際にも役立つ機能です。
まとめ
この記事では、営業力強化において必要なスキルやマネジメント、営業力強化に役立つツールなどをご紹介しました。営業担当者個人の営業力や組織の営業力を高めることで売上や利益に貢献できるだけでなく、チーム全体のモチベーションの向上にもつながります。記事内でご紹介した内容が、自社にとって最適な営業プロセスやマネジメント方法を見つける参考になれば幸いです。