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Sky株式会社

公開日2023.12.15更新日2024.05.31

既存顧客とは? 営業手法やアプローチ手順を詳しく解説

著者:Sky株式会社

既存顧客とは? 営業手法やアプローチ手順を詳しく解説

既存顧客とは、過去に自社の商品やサービスを利用したことがある顧客を指します。既存の顧客との関係を維持しながらアップセルやクロスセルを狙うことで、効率よく売上や利益の向上が図れます。この記事では、既存顧客との関係維持を図る場合と新規顧客を開拓する場合との営業手法の違いや、それぞれのアプローチの手順などを詳しくご説明します。また、企業の置かれている状況に応じて、既存顧客維持と新規顧客開拓のどちらを優先すべきかについてもご紹介します。

既存顧客へアプローチするメリット

企業によっては、まだ自社の商品やサービスを利用したことのない新規顧客を開拓するよりも、既存の顧客へアプローチして関係を深めるほうが、売上や利益の拡大につながる場合があります。ここでは、既存顧客へアプローチするメリットをご紹介します。

トラブルが起きるリスクを減らせる

顧客との取引の中でトラブルが発生した場合、従業員は通常業務と並行してトラブル対応をしなければなりません。既存顧客とはすでに自社と取引があるため、取引を進めるなかでどのような対応をしたか、どのような要望を相手から受けたかなどのやりとりをデータとして記録できます。顧客のデータの中からトラブルが起きたことのない顧客を絞り込んでリスト化し、リスト上の顧客にアプローチすることで、トラブルのリスクを減らしながら効率よく売上や利益の向上を狙えます。

リピートやアップセル、クロスセルが期待できる

すでに自社の商品やサービスを利用したことがある顧客の多くは、初回の契約時に自社に対して魅力や信頼を感じています。そのため、既存顧客は新商品やほかの関連商品などに対しても興味を示しやすい傾向があり、アップセルにつながる可能性も高くなります。

既存顧客維持と新規顧客開拓の違い

「既存顧客維持」と「新規顧客開拓」の違いや、それぞれで扱う営業手法、メリットなどをご紹介します。

既存顧客維持とは

既存顧客維持は、既存の顧客との関係性を維持し、より親密な関係を目指したり継続契約や関連商品の契約によるアップセルを狙ったりする営業活動を指します。既存顧客維持は、特にSaaSなどのサブスクリプション型ビジネスにおいて重要視されています。

アメリカの大手経営コンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニーのフェロー、フレデリック・F・ライヒヘルド氏が提唱した「1:5の法則」によると、新規顧客へ商品やサービスを販売するコストは、既存の顧客に対して販売するコストよりも5倍多くかかるといわれています。さらに、同氏の「5:25の法則」では、顧客の維持率が5%向上することで、企業の利益は25~95%向上することが提唱されています。新規顧客の獲得に注力し続けるのではなく、既存の顧客に継続して自社の商品やサービスを利用し続けてもらうことも重要なポイントであるといえます。

扱う営業手法

既存顧客維持では、顧客との定期的なコミュニケーションや、限定のキャンペーン施策などの手法が挙げられます。定期的なコミュニケーションの中で、直近の課題やニーズなどのヒアリングや情報交換などを行い、顧客にとってメリットとなる提案内容を探ります。限定のキャンペーン施策では、オプション機能の無料トライアルや利用料金の割引などを通して、顧客ロイヤルティーの向上を図ります。無料トライアルや割引などのキャンペーンは、新規顧客開拓においても有効です。

メリット

既存顧客維持のメリットとしては、既存顧客からの紹介による新規顧客の獲得や、アプローチにかかるコストの削減、長く自社商品を利用する優良顧客を育成することによる自社のブランド価値や利益率の向上を図れることなどが挙げられます。既存顧客維持に注力する際は、LTV(顧客生涯価値)や解約率などの指標を基に、長期的な戦略や改善策を練る必要があります。

新規顧客開拓とは

新規顧客開拓とは、自社の商品やサービスを利用したことがない企業に対して契約を促す営業活動を指します。既存の顧客が自社の商品やサービスをいつまでも利用し続けてくれる保証はないため、定期的に新規顧客を獲得し、自社のビジネスを拡大させる必要があります。新規顧客開拓は、顧客に一からアプローチしなければならないため、成功の難易度は高くなります。しかし、既存顧客維持に注力し続けていると、解約による契約数の減少からビジネスの衰退につながる恐れもあるため、新規顧客開拓も併せて取り組むことが重要です。

扱う営業手法

新規顧客開拓の営業手法としては、アウトバウンド型(電話営業やメール営業、飛び込み営業など)とインバウンド型(SNSの投稿や、展示会・セミナーの開催など)などが挙げられます。自社の商品やサービスを利用する可能性がある見込み客の購買意欲を効率よく高めながら、契約までつなげられるアプローチ方法を見つける必要があります。

▼営業電話について詳しくは、こちらの記事をご覧ください
営業電話を成功させるコツとは? 事前準備からマナー、練習方法を徹底解説

メリット

新規顧客開拓のメリットとしては、自社の認知度の向上や顧客となる企業数の増加、新規契約による収益の増加などが挙げられます。しかし、新規顧客開拓に注力するあまり既存顧客へのアプローチを怠っていると、解約につながる恐れもあります。既存の顧客との関係を維持しながら、新規顧客開拓を進めることが重要だといえます。

既存顧客維持と新規顧客開拓どちらに注力すべきか?

既存顧客維持と新規顧客開拓のどちらに注力すべきかは、企業によって異なります。ここでは企業のケース別に、注力すべき営業活動についてご紹介します。

競合が多い市場でビジネスを行う場合

競合となる企業が多い市場では、他社がすでに顧客を囲い込んでいるため、新規顧客開拓は難しい可能性があります。このような市場でビジネスを行う場合は、既存顧客維持でアップセル、クロスセルを狙い、効率よく収益を獲得する必要があります。

できたばかりの市場でビジネスを行う場合

できたばかりの新しい市場に参入した場合は、まず自社の認知度を高め、新規顧客開拓を最優先で行う必要があります。自社の認知度を高める際に有効な、SNS発信などによるインバウンド型の営業手法で、幅広い見込み客にアプローチします。

すでに多くの既存顧客がいる場合

中堅企業や大企業など、顧客を多く抱えている企業の場合は、既存顧客維持の優先度が高いといわれています。これには先述の「1:5の法則」「5:25の法則」が関係しており、新規顧客開拓よりも既存顧客維持のほうが売上や利益を効率よく向上させやすい傾向があるためです。

既存顧客が少ない場合

スタートアップ企業などで顧客がほとんどいない状況の場合は、まず新規顧客を獲得し顧客数を増やさなければなりません。既存の顧客には継続的なアプローチを続ける必要はあるものの、新規顧客開拓によりリソースを割いて注力することが重要になります。

新規顧客開拓におけるアプローチの手順

新規顧客開拓において、見込み客へアプローチする場合の手順は次のとおりです。

アプローチする市場を見極める

初めに、どのような市場にアプローチするかを見極める「セグメンテーション」を行います。セグメンテーションは、自社の商品やサービスの性質と見込み客のニーズを判断材料として扱います。見込み客の業種や規模といった特徴ごとに市場を複数に分類することで、どの市場を優先的に攻めるべきかが明確になり、リソースやコストを過不足なく割り当てやすくなります。

ターゲットを選定する

アプローチする市場を決めた後は、ターゲットの選定を行います。自社のリソース、各市場の推定LTVなどを基にした成長率、獲得する媒体の3つの要素を掛け合わせながら、「どの範囲を、どのような手段で、どのくらいの期間で、どのくらいの数を獲得するか」といった目標を明確化します。

自社の価値を高める

競合他社との差別化を通じて、特定のターゲット市場における自社のブランド価値を高めます。競合他社の商品やサービスとのブランド価値の比較、競合他社にはない自社の特長・優位性の洗い出し、自社の本質的なブランド価値(ブランド・マントラ)の追究などを行います。競合他社との差別化を図る際は、商品・サービスそのものだけではなく、顧客へのサポート体制や、自社のブランドイメージに焦点を当てることも大切だといえます。

既存顧客維持におけるアプローチの手順

既存顧客維持におけるアプローチの手順は、次のとおりです。

既存顧客を分類する

自社の既存の顧客リストを整理し、1社あたりの取引額や売上を調査します。リスト内の顧客を取引額や将来的な売上見込みなどに沿ってさらに分類し、より多くの売上が見込める顧客に優先的にアプローチすることで、効率的に売上の増加を狙うことができます。

ツールを活用しながらアプローチを行う

顧客維持に取り組む際は、電話やメールで顧客との関係構築を行うインサイドセールスや、顧客のサポートを行うカスタマーサクセスなどの部門が、顧客に対して行った対応や会話の内容を記録する仕組み作りも重要です。これらを記録する際にはCRM(顧客関係管理)といったツールを活用するのが効果的で、登録された顧客情報を基にデータ分析なども行えます。

▼CRMについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください
CRM(顧客関係管理)とは? 導入メリットや選び方、注意点を解説

既存顧客との関係維持

マーケティング活動を自動化して業務効率を上げるMA(マーケティングオートメーション)などを用いながら、定期的なDM配信、キャンペーン施策などを行い、顧客が自社に対する興味を失わないよう関係維持に努めます。先述した既存顧客の分類において優先度が高いとされた顧客に対しては、アップセルやクロスセルを狙うためにインサイドセールスがアプローチし、優先度が低い顧客に対しては過度なアプローチは行わず、カスタマーサクセスによるサポートを中心に行うことで、顧客と良好な関係を継続して築くという手法もあります。

▼MAについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください
MA(マーケティングオートメーション)とは? 機能やメリットを解説

顧客ロイヤルティーを向上させるには

LTV(顧客生涯価値)の高い顧客をターゲットに顧客ロイヤルティーの向上を図るために、顧客ロイヤルティーの数値化や顧客ロイヤルティーの高い顧客の分析などに取り組み、カスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験)を高めることも大切です。ほかにも、自社の商品・サービス利用者同士のコミュニティーの構築や、顧客へのアンケートなどを通じて、顧客が自ら商品やサービスの良さや要望を話してくれるような環境を整えることで、商品やサービスの改善もスピーディーかつ的確に行えるようになり、顧客ロイヤルティーの向上につながる可能性があります。

まと

この記事では、既存顧客維持を行うメリットや新規顧客開拓との違い、アプローチの手順などをご紹介しました。既存顧客維持は、長期的にビジネスを継続させるために不可欠であり、安定した売上や利益を確保していく上で重要な要素となります。ご紹介した新規顧客開拓との特徴の違いなどを把握した上で、既存顧客維持に取り組まれることをお勧めします。

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