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公開日2024.01.18更新日2024.02.05

顧客価値を高める方法とは? ポイントや役立つ指標を解説

著者:Sky株式会社

顧客価値を高める方法とは? ポイントや役立つ指標を解説

顧客価値を高め、競合他社との差別化を図ることで、顧客に自社の商品やサービスを選んでもらうことができます。顧客価値の高い商品やサービスを提供することで、リピーターの獲得やロイヤル顧客の育成につながり、企業の売上や利益に貢献する可能性があります。この記事では、顧客価値の意味や種類、向上させるためのポイント、顧客価値の高い商品やサービスを生む方法などをご紹介します。

顧客価値とは

顧客価値とは、顧客が自社の商品やサービスに対して感じる価値を指します。顧客が商品やサービスに支払う金銭や時間、労力などのコストに対して、得られる価値が上回ると判断したとき、受注につながります。自社で力を入れた商品やサービスであったとしても、顧客が認めなければ、顧客価値のある商品やサービスとはいえません。

顧客価値は「4C」の一つ

1993年に、アメリカの経済学者ロバート・ラウターボーン氏によって、「4C」が提唱されました。4Cは、商品やサービスの売り手視点でのマーケティングにおける重要な要素の「4P」である「商品(Product)」「価格(Price)」「プロモーション(Promotion)」「流通(Place)」を顧客視点に置き換えたもので、顧客価値は4Cのうちの一つである「Customer value」に該当します。

4Cの意味

4Cは「顧客価値(Customer value)」「顧客が支払う費用(Customer cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication))」の4つの要素を指します。マーケティングを行う上では、これらの4Cを意識することで、顧客の目線に立って商品やサービスを提供できます。

顧客価値(Customer value)

顧客価値は、先述のとおり、顧客が自社の商品やサービスに対して感じる価値を意味します。顧客価値には、商品やサービスの機能の充実度や利用のしやすさだけではなく、商品やサービスを利用することで得られるメリット、デザイン、ブランドイメージ、アフターフォローなど、顧客が感じるあらゆる価値が含まれます。

顧客が支払う費用(Customer cost)

どれほど価値のある商品やサービスであったとしても、適切な価格設定がされていない場合、顧客は成約には至りません。4Pにおいては「Price(価格)」と対になる要素であり、企業は顧客が適切な価格だと判断できる価格を設定すると同時に、顧客が価値を得ることへの対価として得られる利益が適切な価格であると納得できる価格設定を考える必要があります。

利便性(Convenience)

4Pの「Place(流通)」と対になる要素が「利便性(Convenience)」で、自社の商品やサービスを顧客に届けるために、適切な流通経路が用意できているかを示しています。顧客にとって価値のある商品やサービスで、適切な価格設定がされていても、顧客が実際に商品やサービスを手に取るまでに多くの労力を費やさなければならない場合や、リリース期間が短く顧客が手に取りづらい場合は、商品やサービスにおける利便性が確保できていないといえます。

コミュニケーション(Communication)

4Pの「Promotion(プロモーション)」と対になる要素が「Communication(コミュニケーション)」です。顧客にとって価値のある商品やサービスを手に取ってもらうためには、前提として認知を得ることが必要です。そのためには、メルマガやWeb広告、営業活動といった販促施策を講じるなど、顧客との適切なコミュニケーションを図ることが必要です。

顧客価値が重要である理由

商品やサービスを顧客に売り込むにあたり、顧客価値が重要とされるのは次のような理由があります。

モジュール化による競合企業の台頭

技術の進歩により、近年では世界的に製品やサービスのモジュール化が進んでいます。市場に現れた商品やサービスが競合他社によって研究され、低コストで類似商品やサービスがリリースされることも少なくありません。このような背景から価格競争が生じたり、オリジナリティーのある商品やサービスが求められたりすることもあります。そのため、新たな顧客価値を創出し、顧客の購買意欲を高めることが企業において重要視されています。

顧客価値が差別化につながる

近年では、商品やサービスの品質やスペックがリリース当初から高水準であり、競合他社から類似商材も多くリリースされていることから、単なる機能の改善のみでは顧客価値に影響しづらくなっています。そのため、競合他社との差別化を図るためには、顧客が商品やサービスを利用することによって得られる価値を盛り込む必要があります。

顧客価値の種類

顧客価値には、大きく分けて次の3種類があります。

機能的価値

機能的価値は、その商品やサービスが持つ機能から得られる価値を表します。例えば、PCの場合、インターネットを利用した検索が行える、資料や書類を作成できる、メールのやりとりができる、といった機能があります。加えて、業務で利用するアプリケーションやツールを任意で追加することで、PCをさまざまな用途で利用することができます。

ただし、PCによって容量やスペックは異なり、顧客によっても求める基準は異なります。そのため、顧客のニーズをくみ取り、ニーズ別に適した機能を搭載したり、利用プランを提供したりすることが大切です。

体験価値

顧客が商品やサービスを実際に利用して得られる価値を体験価値と呼びます。商品やサービス本来の機能とは別に、顧客が価値を感じる要素を含めることによって顧客は体験価値を得られます。例えば、Web会議ツールでは、対面での会議とほぼ同様のことが行える機能的価値を持ちながら、離れた場所にいる顧客とも容易に商談や打ち合わせが可能になり、コミュニケーションの活発化につながるという体験価値を提供しています。

情緒的価値

情緒的価値は、顧客が商品やサービスを利用したときに得られる満足感や安心感などを表します。例えば、商品やサービスを契約した後の導入サポートやアフターフォロー、営業担当者の対応の丁寧さなど、商品やサービス自体の機能以外のサービスが、顧客の情緒的価値につながることがあります。

顧客価値のレベル

顧客価値は、次の4段階のレベルで表すことができます。

基本価値

基本価値は、商品やサービスに必要不可欠な価値を指します。商品やサービスが不具合なく動作したり、メインとなる機能が問題なく扱えたりするなどの基本価値が提供できていない場合は、解約やクレームにつながることもあります。

期待価値

期待価値は、顧客が「この機能は搭載されているだろう」「このようなことができるだろう」とあらかじめ想定している価値を指します。基本価値と異なり、価値が提供されなかった場合もクレームにつながらないことが多いですが、商品やサービスへの信頼感が抱かれず、継続利用につながらない場合があります。

願望価値

願望価値は、顧客が「こんなことができたらいいな」と感じる価値を指します。基本価値とは異なり、必ずしも商品やサービスに含まれていなければならないわけではありませんが、願望価値を満たす要素を盛り込むことで、リピーターや長期で利用してくれるロイヤル顧客を獲得できる可能性があります。

予想外価値

予想外価値は、顧客の想像や期待を上回る価値を指します。予想外価値は、商品やサービスの契約後のアフターフォローや、顧客の問い合わせに対する気配りや迅速な対応など、顧客とのコミュニケーションのなかで高めやすい傾向があります。

顧客価値を高めるために必要なこと

顧客価値を高めるために必要なことは、次のとおりです。

顧客ニーズの理解

顧客価値を高めるためには、的確に顧客ニーズを理解することが求められます。顧客ニーズには、「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があり、顕在ニーズは顧客自身が自覚している欲求を指し、潜在ニーズは顧客自身も気づいていない欲求を指します。先述した願望価値や予想外価値を満たし顧客価値を向上させるためには、潜在ニーズを読み取り的確にアプローチすることが重要です。

リテンションマーケティングの強化

リテンションマーケティングとは、既存顧客との関係性を維持するためのマーケティング活動を指し、リピーターの獲得や、自社の商品やサービスを長く利用してくれるロイヤル顧客への育成を行います。リテンションマーケティングに力を入れることで、解約率の低下や顧客離れを防げるだけでなく、既存顧客からの紹介やお勧めで新たな顧客へアプローチする機会を得られる可能性があります。

顧客情報の管理や分析が行えるツールを導入

顧客に対して効果的なアプローチを行い、顧客価値を高めるためには、顧客情報の管理や分析が行えるCRMや、マーケティング活動を効率化できるMAを導入するのがお勧めです。CRMでは、顧客情報や顧客とのやりとりを社内で一元管理できるようになるため、既存顧客との関係構築に役立ちます。MAは、自社の商品やサービスを利用してくれそうな見込み客の獲得や育成に活用でき、スピーディーに商談へつなぐことで受注率の向上が期待できます。

マーケティングの「4P」要素を取り入れる

先述したマーケティング活動において重要視される「4P」である「Product(商品)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」「Place(流通)」のそれぞれの要素を意識することで、顧客価値の高い商品やサービスを提供できるようになります。

4Pを踏まえて商品やサービスの改善を行う際には、Place(流通)から見直すのがお勧めです。顧客に商品やサービスを認知してもらい、コミュニケーションを取るきっかけを得るためには、SNSでの宣伝やホワイトペーパーの公開など、どのような流通戦略が適しているかを検討します。その後、顧客との接点が持てる流通戦略を基に「Product(商品)」「Price(価格)」「Promotion(プロモーション)」を当てはめることで、商品やサービスに対する顧客価値の向上が期待できます。

顧客価値の高い商品やサービスを生む流れ

顧客価値の高い商品やサービスを生む流れは、次のとおりです。

顧客ニーズの明確化

まずは、顧客が自社の商品やサービスを利用する際に、どのような価値を求めているのかを探り、顧客ニーズを明確化します。顧客の顕在ニーズだけでなく、潜在ニーズを探るためには、「顧客が将来的にどうなりたいのか」から逆算して考えたり、既存顧客へのアンケートやインタビューを通して仮説を立てたりします。

プロダクト3層モデルから価値を整理する

自社の商品やサービスが、顧客にどのような価値を提供できるかを、「プロダクト3層モデル」である「中核」「実体」「付随機能」を基に整理します。「中核」は、商品やサービスの中心となるベネフィットやコンセプト、サービスを指し、「実体」はパッケージやデザイン、性能など実際に目に見える要素を指し、「付随機能」は保証やアフターフォローなど、商品やサービスに付随することで価値が高まる要素を指します。特に「中核」「実体」を考える際には、ターゲットとする顧客のニーズだけでなく、業種や地域、企業規模、興味関心なども踏まえてターゲット像に沿った価値の提供を意識します。

顧客価値とアイデアを検証する

顧客ニーズと商品やサービスの価値が整理できたら、新商品や新サービスのアイデアと照らし合わせ、アイデアをブラッシュアップします。このとき、競合他社の動向や業界のトレンドも加味しながら、市場で成功するアイデアであるかを検討します。

顧客価値を高めるために役立つ指標

顧客価値を高めるために、次の2つの指標を押さえておくことをお勧めします。

顧客ロイヤルティー

顧客ロイヤルティーとは、顧客が自社の商品やサービス、ブランドに対して抱く信頼や愛着を指します。顧客ロイヤルティーを高めることで、顧客のリピーター化やロイヤル顧客化を狙うことができ、長期的な企業の売上や利益に貢献します。

リテンション率

リテンション率は、「定着率」や「継続率」という意味で、マーケティングの領域では「顧客維持率」を表すこともあります。リテンション率が高いということは、顧客が長期にわたり自社の商品やサービスを利用してくれているということになるため、顧客価値の高い商品やサービスを提供できているといえます。

まと

この記事では、顧客価値の意味や重要とされる理由、種類、顧客価値を高めるために必要なことなどをご紹介しました。顧客価値の低い商品やサービスを提供すると、解約や競合他社への乗り換えにつながる恐れもあるため、定期的に自社の商品やサービスを見直すことも大切です。記事内でご紹介したマーケティングの4Cや4Pなども、顧客価値を高めるために重要な要素となるので、ぜひご活用ください。