営業での挨拶は明るく行うことで、顧客の緊張や警戒心を解いたり、スムーズに商品やサービスの紹介に進めることができたりなど、さまざまなメリットがあります。この記事では、営業での挨拶がもたらすメリットや必要な事前準備、営業方法別の挨拶の仕方、成功させるためのコツなどをご紹介します。
営業では挨拶が重要
初対面の相手と会うときは、挨拶が第一印象を決めるといっても過言ではありません。営業活動においても、相手に好印象を抱いてもらうために、挨拶はとても大切です。明るい挨拶によって、その後の会話がスムーズに進んだり、良好な関係を築くことにもつながったりする可能性があるため、初めの挨拶には特に気を配るよう意識する必要があります。
営業での挨拶がもたらす効果
営業活動の際によりよい挨拶を意識することで、次のような効果が得られます。
自身の緊張を和らげる
顧客に明るく生き生きとした声で挨拶することは、自分自身の緊張を和らげる役割も果たします。緊張から小さな声のまま挨拶をし、会話を進めてしまうと、筋肉が凝り固まり喉から声が出にくくなることで、さらに緊張が高まってしまう可能性もあります。顧客への訪問前に緊張しがちな人は、明るく挨拶を行うことを意識すると、緊張を和らげられるかもしれません。
第一印象を左右する
初対面の人と会う際は、第一印象が重要です。これは、今後の営業活動の成功しやすさにも影響します。1971年にアメリカの心理学者であるアルバート・メラビアン氏が自身の著書『Silent Messages(邦題:非言語コミュニケーション)』内で提唱した「メラビアンの法則」では、人と人のコミュニケーションにおいて、言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%という割合で影響を与えていることを示しています。視覚から得られる情報の影響を大きく受けることが示されているため、営業活動で第一印象をよりよく見せるには、話す内容だけでなく、どのような姿勢や表情で挨拶をするのかが重要だといえます。
顧客に思い出してもらいやすい
明るく挨拶し、顧客に好印象を与えることができた場合、顧客の記憶に残りやすい傾向があります。挨拶の内容や自身の印象が顧客の記憶に残ることで「あのときに話した営業担当者の話をもっと詳しく聞いてみたい」「先週来た営業担当者が紹介してくれた商品が役立つかもしれない」と、ふとした瞬間に思い出してもらえる可能性があります。中には、営業担当者の挨拶による第一印象や対応を、取引の判断材料の一つとしている企業もあるため、印象の良い挨拶ができるよう意識することが大切です。
顧客の警戒心を解く
自分から生き生きと挨拶することで、顧客に明るい印象を抱いてもらえます。初対面の相手は緊張感や警戒心を抱いていることも多いですが、明るい振る舞いは顧客をリラックスさせ、顧客との距離を縮めやすくすることにもつながります。
会ったことへの感謝を伝えられる
別れ際には「本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました」などの挨拶をし、顧客が会ってくれたことに対して、感謝の気持ちを伝えることも大切です。最初の挨拶はもちろん、別れ際での挨拶も丁寧に行い、最後まで好印象を抱いてもらえるよう心掛けるべきです。
営業の挨拶前に必要な準備
営業で挨拶に行く前には、持ち物をそろえたり、身だしなみを整えたりすることが大切です。挨拶前に必要な準備は、次のとおりです。
用意するもの
顧客の企業へ訪問する際には、主に次の持ち物が必要です。
- 名刺(人数分+予備数枚)
- 提案書(人数分+予備数枚)
- 商品のサンプルやサービス資料
- 印鑑、朱肉
- 見積書
- 契約書
- 電卓
- メモ帳、筆記用具
- 腕時計
商談時には予定外の担当者と挨拶をすることも想定されるため、名刺や提案書は必ず予備を複数枚用意しておくよう注意を払う必要があります。
ほかにも、折りたたみ傘やハンカチ、ティッシュ、ブレスケアアイテムなどを必要に応じて用意してもよいと思います。
身だしなみを整える
訪問前には、自身の身だしなみも整え、清潔感を意識します。身だしなみを整える際は、主に次の項目を中心にチェックします。
項目 | チェックする箇所 |
---|---|
髪 | ・清潔感があり、乱れていないか ・風などで髪が乱れた場合は、整え直したか ・髪が長く、顔に掛かる場合は結んでいるか |
眉毛 | 自然な形に整えられているか |
歯 | 清潔で白い歯であるか |
スーツ | ・ビジネススーツを着用し、カジュアルすぎる着こなしになっていないか ・自分に合ったサイズのものを着ているか ・汚れやシワがないか |
靴 | ・靴ひもがほどけていないか ・表面に傷や汚れがないか |
香り | ・ タバコの臭いがしないか ・汗などによる体臭がしないか ・ 香水をつける場合は適切な量であるか |
アクセサリーなど | ・落ち着いた色やデザインのジャケット、ネクタイ、靴下、ベルトなどを身につけているか ・ 腕時計やネックレスなどのアクセサリーは、華美にならない適切な量か ・ ストッキングを着用する場合は、伝線時に備えて予備を用意できているか |
余裕を持った時間での到着を意識する
訪問前の急な連絡、電車の遅延、急にお手洗いに行きたくなったという場合にも対処できるよう、訪問先の企業には10分~15分前に到着することを目安に出発するのがお勧めです。約束の時間ちょうどに到着するように動いていた場合、イレギュラーな事態が生じた際に約束の時間に遅れてしまう恐れがあるため、余裕を持った行動を心掛けるべきです。
建物に入る前に上着を脱ぐ
冬場でコートを着ている場合は、玄関前で脱いでから建物に入ります。コートを折りたたむ際は、裏返して表地が見えないように抱えるのが一般的なマナーです。このとき、マフラーや手袋を着用していた場合は、コートを脱ぐのと同時に取り外し、かばんの中にしまいます。
約束の時間の直前に受付する
受付をするのは約束の時間の直前が適切です。顧客は、直前まで別の打ち合わせなど予定を組んでいることも考えられます。そのため、訪問時間が早すぎてしまうと、「相手を待たせてしまっている」とかえって気を遣わせてしまうことがあります。訪問先に早めに到着した際は、お手洗いを済ませたり、身だしなみを整えたり、顧客の情報を再度整理したりしながら商談に備えます。
直前の遅刻連絡は電話する
事前の予定が延びてしまったり、電車が遅延してしまったりすることで、約束の時間に間に合わないケースも考えられます。万が一遅刻しそうな場合は、早い段階で顧客に電話で連絡します。約束の直前に連絡する場合、メールでの連絡だと顧客が気づかない可能性があるため、電話で連絡すべきです。
飛び込み営業での挨拶
飛び込み営業で挨拶をする場合に意識すべきポイントと、最初の挨拶の仕方をご紹介します。
意識すべきポイント
飛び込み営業は、顧客のスケジュールに関係なく事前のアポイントなしで企業に訪問するため、中には迷惑だと感じる顧客もいることが考えられます。そのため、最初の挨拶では明るく振る舞いながらも謙虚な姿勢を示すことが大切です。商品やサービスの話にすぐ移るのではなく、アイスブレイクで顧客との距離を縮めることや、自身の顔と名前を覚えてもらうことを第一の目的とし、顧客が忙しそうであれば深く話し込まず挨拶にとどめ、連絡先を伝えて帰ることを意識します。
挨拶の例
飛び込み営業での挨拶の例は、次のとおりです。
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このたびは突然の訪問を失礼いたします。株式会社〇〇の△△と申します。現在、弊社の商品がエリア限定でキャンペーンを実施しているため、ぜひお得な情報をお伝えできればと思います。
-
初めまして、株式会社〇〇の△△と申します。このたび、こちらのエリアを担当することになりましたので、ぜひ一度ご挨拶できれば幸いです。
訪問営業での挨拶
訪問営業で挨拶をする場合に意識すべきポイントと、最初の挨拶の仕方をご紹介します。
意識すべきポイント
アポイントなしで初対面の顧客を訪問するのが飛び込み営業ですが、訪問営業では、すでに関係のある取引先を訪問します。訪問営業での挨拶では、まずは顧客が自分に会ってくれたことへの感謝を伝え、アフターフォローや新商品の紹介など、訪問した目的を簡潔に伝えることが大切です。会話を進めるなかでは、顧客の課題やニーズを聞き取り、適切な提案内容は何かを考えます。
挨拶の例
訪問営業での挨拶の例は、次のとおりです。
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お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。本日はお時間をいただきありがとうございます。今回は、弊社のサービスを利用するなかで、お困り事やご不明点などがないか伺いにまいりました。
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お世話になっております。株式会社〇〇の△△です。本日はお時間をいただきありがとうございます。先日のお打ち合わせでお話しした内容を踏まえ、本日は新商品の「〇〇〇」の資料とサンプルをお見せできればと思います。
新人の挨拶回りでの挨拶
新しく配属され、挨拶回りで会社を訪問し挨拶をする場合に意識すべきポイントと、最初の挨拶の仕方をご紹介します。
意識すべきポイント
飛び込み営業と同様にアポイントなしで顧客を訪問した場合は、挨拶と同時に商品やサービスの提案まで進めてしまうと、顧客側も対応が必要になるため、お互いに心理的なハードルが上がります。新人が最初に挨拶回りを行う際は、無理に営業活動を行わず、「今回はご挨拶で伺いました」といったように、簡単な挨拶や名刺交換のみにとどめる方法も有効です。
挨拶の例
新人の挨拶回りの例は、次のとおりです。
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初めまして、株式会社〇〇の△△と申します。こちらのエリアの担当になり、挨拶回りをしているので、ぜひ一度ご挨拶のお時間だけでも頂戴できれば幸いです。
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初めまして、株式会社〇〇の△△と申します。このたびこちらのエリアの担当になり、ご挨拶に伺いました。本日はお名刺交換だけでもできましたら幸いです。
担当変更時の挨拶
担当者変更時の挨拶回りで意識すべきポイントと、最初の挨拶の仕方をご紹介します。
意識すべきポイント
訪問時の挨拶では、担当者が変わったことを必ず最初に伝えます。今後は自分が担当になることを伝えずに会話を進めてしまうと、顧客に唐突な印象を与えてしまうため、必ず挨拶とともに自分が新しい担当者であると伝えることが大切です。
挨拶の例
担当者変更時の挨拶の例は、次のとおりです。
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初めまして、株式会社〇〇の△△と申します。このたび担当者の変更により、〇〇に代わって御社を担当いたします。今後とも、よろしくお願いいたします。
-
初めまして、株式会社〇〇の△△と申します。〇〇の退職に伴い、本日より御社を担当いたします。引き続き御社のお力添えができればと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
訪問後のお礼メールの例文
ここでは、初訪問時や営業訪問時のお礼メールの書き方をご紹介します。お礼メールを送る際は、顧客の記憶に自分の存在を残すという意味でも、できるだけ24時間以内に送信することが効果的です。また、次の記事では、名刺交換後にお礼メールを送る際のポイントについてご紹介しています。
一般的なお礼メール・例文
件名:お打ち合わせのお礼【株式会社◯◯・△△△△(フルネーム)】
本文: 株式会社□□ 〇〇部 〇〇様
平素よりお世話になっております。 株式会社〇〇の△△△△でございます。
本日はお忙しいなか、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。 貴社が目指すビジョンや現状、課題などを詳しく伺うことができ、心より感謝しております。
本日ご紹介した弊社のサービスについて、 気になる点やご不明点などがございましたらお気軽にご連絡くださいませ。
今後とも、貴社のお力になれればと存じますので、 引き続き、よろしくお願いいたします。
持ち帰った課題がある場合のお礼メール・例文
件名:お打ち合わせのお礼【株式会社◯◯・△△△△(フルネーム)】
本文: 株式会社□□ 〇〇部 〇〇様
平素よりお世話になっております。 株式会社〇〇の△△△△でございます。
本日はご多忙のなか、貴重なお時間をいただき心よりお礼申し上げます。 お打ち合わせの際にお答えできなかった内容について、以下に記述しておりますので、ご確認いただけますと幸いです。
①「〇〇〇」の~~~について ~~~~ ~~~~
②「〇〇〇」の~~~について ~~~~ ~~~~
そのほかにも、気になる点やご不明点がございましたら、お気軽にご連絡いただければと存じます。 今後とも、貴社のお力になれればと存じますので、 引き続き、よろしくお願いいたします。
営業での挨拶を成功させるコツ
営業での挨拶で、顧客に好印象を残すコツは、次のとおりです。
事前に顧客についての情報を集める
営業で挨拶を行う前には、事前準備を徹底します。ただ挨拶をするだけではなく、どのように顧客との距離を縮め、アプローチする機会を創出できるかについても意識する必要があります。そのために、先述した身だしなみなどの準備以外にも、訪問先の企業や担当者、キーパーソンの情報も調べておくことがお勧めです。また、どのような流れで挨拶からヒアリング、自社の商品やサービスの紹介につなげられるかといったこともシミュレーションしておくことで、スムーズな会話の進行につながります。
笑顔や良い姿勢を意識する
人の第一印象は約3秒で決まるともいわれており、笑顔で挨拶にすることで、顧客に柔らかい印象を与え、緊張や警戒心を解く役割も果たします。マスクを着けたまま挨拶をする場合は、相手から見える顔の範囲が限られているため、表情の変化が伝わりづらいです。そのため、普段よりも目や頬を動かした笑顔や、明るい声での挨拶を心掛けます。鏡を見たり、Web会議システムを使って自身が話す姿を録画したりして練習するのもお勧めです。また、猫背やうつむきがちにならないよう、背筋を伸ばして笑顔を見せることも意識します。
アイスブレイクを交える
「お世話になっております。本日はお時間をいただきありがとうございます」といった基本的な挨拶に加えて、顧客の緊張をほぐしたり、スムーズに営業トークに進んだりできるようアイスブレイクを交えることも大切です。例えば、「先日初めてゴルフに行ったのですが、〇〇様はゴルフをされますか?」「先日お勧めしてくださった〇〇を、早速購入してみました」など、相手が興味を持っていそうな話題を選ぶのがポイントです。話のネタに悩んだ際は、「昨日は大雨でしたね」「最近は特に冷え込んできましたね」など天気に関する話題がお勧めです。
話し方や声のトーンにも気を遣う
挨拶は第一印象に大きく関わるため、身だしなみはもちろん、話し方や声のトーンにも気をつけることでさらに良い印象を与えられます。話す際は、ただ大きな声を出すのではなく、顧客にとって聞き取りやすい声を意識します。一つひとつの言葉がはっきり聞き取れるように発音したり、一定のトーンにならないよう抑揚をつけたりするのがお勧めです。また、顧客の話すスピードに合わせて自身の話すスピードも調整することも聞き取りやすさに影響するため、意識しながら会話を進めるのがお勧めです。
基本的なビジネスマナーを徹底する
顧客と顔を合わせる際は、表情や話し方以外にも、ビジネスマナーに気を配る必要があります。時にはマナー違反をしてしまうケースもあるかもしれませんが、初回の訪問時では特に顧客に失礼にならないよう、改めて名刺交換の手順や敬語の使い方などの基本的なビジネスマナーを確認しておくことが大切です。
顧客に覚えてもらえるようなトークを交える
顧客の記憶に自分の存在を残すためには、インパクトを残すようなトークを交えることもお勧めです。例えば、一般的には営業担当者が名乗る際には名字のみを名乗ることが多いですが、自分の名前が特徴的である場合はフルネームで名乗ったり、「幼い頃は近所に住んでいました」「私の父親が〇〇様と同じ名前です」など、顧客が親近感を持つような話題や共通点が見つかれば、積極的に交えたりすることで印象を強く残せる可能性があります。
別れ際の挨拶も意識する
別れ際の挨拶も工夫することで、最後まで顧客に好印象を残せることが期待できます。エレベーターに乗るときや建物を出るときなどに、扉が閉まるまでお辞儀をして顧客をお見送りすることや、別れ際に商談のなかで印象的だった内容、良かった点などを伝えるなど、最後まで顧客に寄り添った振る舞いをすることが重要です。
営業の挨拶の練習方法
営業の挨拶は練習を重ねることで、話題の引き出し方や話し方のスキルが上達します。鏡の前で練習したり、同僚などを相手に練習したりする方法もありますが、Web会議システムを用いている企業の場合は、オンライン商談を活用することで上達につなげられます。多くのWeb会議システムには録画機能がついているため、商談の内容を録画し、後から振り返ることで、自身の話し方を客観的に見ることができます。話すスピードは速すぎたり遅すぎたりしないか、声のトーンは暗すぎないか、顧客が聞き取りやすい声の大きさで話せているかなど、録画を基に改善と実践を繰り返すことで、効率よく営業の挨拶や営業トークを練習することができます。
まとめ
この記事では、営業での挨拶がもたらす効果や必要な準備、挨拶の仕方、コツなどをご紹介しました。顧客からの第一印象は、今後のアプローチの成功率や契約に至る確率を左右する可能性があります。記事内でご紹介した、挨拶で意識すべきポイントや挨拶の例をぜひご活用ください。
名刺管理の「SKYPCE」
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