企業では顧客や取引先など、法人または個人のさまざまな情報を管理しています。こうした法人・個人の名前や住所、部署名などの情報を効率的に管理するための作業が「名寄せ」です。この記事では、名寄せの手順のほか、名寄せを行う必要性やメリット、名寄せを行う際の注意点などついて解説します。
名寄せとは、複数のデータベースにある顧客情報を整理・統合すること
名寄せとは、データベースにある顧客情報について、重複するデータを整理し、統合する作業のことです。顧客情報は、データの入力ミスや表記ゆれ、住所・電話番号の変更、社名変更や部署異動などにより、同一企業や同一人物の情報が重複して登録されていることがあります。
そのような情報を整理し、最新の正しい情報に更新することでメールの重複配信などを防ぎ、マーケティング活動を円滑に進めることを可能にします。
■名寄せのイメージ
一般的な名寄せの手順
一般的な名寄せの手順には、「データの調査」「データの抽出」「データクレンジング」「データマッチング」の4つのプロセスがあります。順番に解説します。
1. データの調査
まず、現状を把握するためにデータの調査をします。顧客データにおいて、「名前」「企業名」「部署名」「役職」「電話番号」「メールアドレス」など、各項目の入力状況を調べ、最終的に必要な項目を明確にしておきます。
2. データの抽出
データの抽出とは、顧客情報を管理する上で必要な項目を定め、その項目に絞ってデータを洗い出すことです。このとき注意が必要なのは、複数のデータベースから名寄せを行う場合、同じ項目であるにもかかわらず、異なる項目名で入力されていることがある点です。「名前と氏名」「社名と企業名」など、同じ意味の項目名はどちらかに統一します。
3. データクレンジング
データクレンジングとは、データの入力ミスや表記ゆれ、重複などを発見し、修正や削除をすることで、データをきれいに整えることを指します。「株式会社と(株)」「ABCとエー・ビー・シー」、姓と名の間の空白の有無や、アルファベットや数字の半角・全角の違いなど、同じ情報が異なる表記で登録されているケースは多く見られます。表記ゆれをなくして統一することで、正確で質の高い顧客データになります。
4. データマッチング
データマッチングとは、表記を統一したデータから、同一と判断されたものに同じIDを付与し、複数のデータベースに存在する同じデータ同士を結び付けることです。データマッチングを行う過程で再度、重複がないかを確認することが大切です。データマッチングを確実に行うことで、データ使用時のトラブルを防止することができます。
名寄せが必要な理由
名寄せは、とても手間のかかる地道な作業です。しかし、企業の営業活動には欠かせない重要な作業でもあります。名寄せがなぜ必要なのか、その理由について説明します。
顧客情報を正確に把握することでミスを防ぐため
名寄せをすることで、顧客情報を正確に把握でき、ミスの防止につながります。名寄せを行わず、顧客データが重複したままになっていた場合、一人の顧客に何度も同じ案内を送ったり、何人もの担当者から連絡をしたりといった、不適切な営業活動をしてしまう可能性があります。このような不手際が起こると、顧客満足度が低下するだけでなく、自社の信頼を損なってしまう恐れがあります。
なお、実店舗とECサイトの両方で販売している場合や、支店の統合などが行われた場合などは、それぞれの管理しているデータの統合が特に重要になります。
戦略的にマーケティング施策を実行するため
名寄せは、戦略的なマーケティング施策の実行に欠かせません。昨今、営業支援や顧客管理のシステムを使い、効率的なマーケティング施策を行う企業が増えました。しかし、顧客情報に漏れや重複があると、アプローチすべき顧客の割り出しやコンタクトの時期と回数、施策の実行状況などを正確に把握することができません。戦略的なマーケティング施策は、システムに登録されているデータが正しく整理されているからこそ可能になるのです。
名寄せを行うメリット
名寄せを行うことで、企業の営業活動においてさまざまなメリットを得ることができます。ここでは、名寄せを行うメリットについて解説します。
正確なデータ分析ができる
名寄せによるメリットの一つは、正確な顧客データの分析が可能になることです。顧客データの分析は、顧客を理解し、顧客の属性に合わせた適切なアプローチや提案をするために必要なプロセスです。顧客に対して適切な提案ができれば、自社の利益を拡大するとともに、顧客にとっても無駄のない購買体験をしてもらうことができます。顧客との良い関係を維持するためにも、名寄せを行った正確なデータに基づいて分析をすることが重要です。
受注までの流れを効率化できる
受注までの流れを効率化できることも、名寄せを行うメリットの一つです。近年、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)ツールを活用し、効率的なマーケティング活動や営業活動を行う企業が増えています。SFAやCRMツールを使うことで、業務の属人化や無駄を解消し、受注やリピートを獲得するまでの流れを効率化することが可能です。SFAやCRMツールを効果的に機能させるためには、名寄せによって顧客データを整えることが重要になります。
コスト削減ができる
名寄せを行うことで、顧客データの管理コストや無駄な販促コストを削減することができます。名寄せによって点在している顧客データを1つにまとめ、重複しているデータをなくすことで、データ容量を必要最低限に抑えられるためです。サーバーの増設やクラウドサービスの容量を必要以上に増やすことも防げるため、ランニングコストの削減にもつながります。
また、名寄せにより会員のAさんとBさんが同一世帯であることがわかれば、イベントの案内を重複して送ることを防げます。同じように、キャンペーンの応募や無料サンプル請求などがあった際も、無駄な発送コストや返信コストを削減することが可能になるのです。
「SKYPCE(スカイピース)」による名寄せの手順
名寄せは手間のかかる作業ですが、ツールを活用することで効率化できます。ここでは、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」による名寄せの手順についてご紹介します。
「SKYPCE」では原則自動的に名寄せが行われる
「SKYPCE」は、スマートフォンで撮影した名刺をデータベースに登録することができます。名刺情報を新規に登録した時、次の条件に一致する場合は自動で名寄せが行われます。
自動で名寄せが行われる条件
- 「氏名」「メールアドレス」が一致する
- 「氏名」「住所」が一致する
- 「氏名」「会社名」「URL」が一致する
このため、名刺登録以外の操作をせずとも、日々蓄積されていく名刺情報を常に名寄せされた状態で管理することができます。
手作業で名寄せを実行する場合
自動で名寄せされる条件に一致せず、同一人物の名刺が重複して登録されてしまった場合は、手動で名寄せすることも可能です。まず、名寄せされていない名刺情報の中から、データの対象範囲や氏名、ひもづけられたタグ、データ所有者などの条件を設定し、名寄せの対象候補となる名刺を検索します。検索結果の中から、名寄せしたい名刺を複数選択し、[●件を同一人物に設定]ボタンを押すことで、選択した名刺情報を名寄せすることができます。
手作業で名寄せを解除する場合
別人の名刺情報が、誤って同一人物の名刺情報として名寄せされている場合などには、手動で名寄せを解除することも可能です。まず、すでに名寄せされている名刺情報の中から、手作業で名寄せを実行するときと同様に条件を設定し、名寄せを解除する候補となる名刺情報を検索します。検索結果の中から、名寄せを解除したい名刺を選択し[別人に設定]をクリックすると、名寄せを解除することができます。
名寄せを行う際に気をつけるべきこと
名寄せを行うにあたり、気をつけるべきポイントがいくつかあります。どのような点に注意すればよいのか、解説します。
登録する項目や表記などのルールを統一する
名寄せを行う際、登録する項目や表記などのルールを統一しておくことが大切です。「住所の番地や電話番号は全角か、半角か」「ハイフンは使用するのか、しないのか」というように、表記ゆれの起こりやすい部分についてルールを統一しておくことで、名寄せを的確に行うことが可能になります。また、そのルールを社内で共有することで、今後新たに顧客データを登録する際、名寄せしやすいデータが集まるようになります。
プライバシーとセキュリティに配慮する
名寄せを行う際、プライバシーとセキュリティに配慮します。顧客データは個人情報であり、企業にとって大切な機密情報です。データの管理と活用には、不正アクセスや情報漏洩への対策を行うなど、十分な配慮が必要になります。また、正確に名寄せを行わなければ、個別に連絡をとる際に宛先を間違えるようなミスが発生し、情報漏洩やプライバシーの侵害といったトラブルに発展してしまう危険性があります。厳密な名寄せとセキュリティ対策により、個人情報を適切に保護することが重要です。
名寄せを効率的に行うなら、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」
名寄せによる顧客情報の正確な把握は、適切な営業活動や戦略的なマーケティング施策を行うために不可欠な作業です。しかし、名寄せの作業をすべて人の手で行うと、あまりにも時間と労力がかかってしまいます。
そこで、スムーズなデータ整理を行うために、名刺管理ツールの使用をお勧めします。紙の名刺をデータ化することにより、一元管理して名寄せを行い、社内で情報共有することが可能です。さらに、社内の人脈を可視化することで、どの顧客にアプローチすべきかを判断しやすくなり、効率的な営業活動にもつながります。
営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」は、顧客情報の共有をスムーズにするだけでなく、豊富な条件設定で名刺を素早く検索することが可能です。「名寄せ機能」も搭載されており、これまで名寄せ作業にかけていた大きな手間を省くことができます。また、「SKYPCE」は、SFAと連携させることが可能ですので、名寄せを行った正確な顧客データを用いて、効率的な営業活動を行えます。
顧客データの名寄せでお困りの際は、名寄せ機能を備えた「SKYPCE」をぜひご検討ください。
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