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Sky株式会社

公開日2024.02.20更新日2024.03.29

切り返しトークとは? 意識すべきポイントや役立つ話法をトーク集と併せて解説

著者:Sky株式会社

切り返しトークとは? 意識すべきポイントや役立つ話法をトーク集と併せて解説

切り返しトークとは、顧客から「値段が高い」など否定的な意見をもらったときに用いるトークを指します。切り返しトークは、受注を獲得するために商談のなかでよく使われる手段ですが、返し方によっては顧客にかえって不快な思いをさせてしまう場合もあるため、注意が必要です。この記事では、切り返しトークで意識すべきポイントや役立つテクニック、避けるべきフレーズなどをご紹介します。

切り返しトークとは

切り返しトークとは、自社の提案に対して顧客から断る旨の返事をされた際に、再度提案の機会をつくるために用いるトークを指します。切り返しトークが成功するかどうかによって、受注の獲得や企業の売上に影響する可能性もあるため、あらかじめ想定できる返答に対するトーク内容を準備しておくことが大切です。

「切り返し」には「相手の攻撃に素早く反撃すること」という意味があるため、「切り返しトーク」と聞くと、巧みな話術で顧客からの反論を論破しながら自身の営業トークで言いくるめる、というイメージを持つ方も少なくないのではないでしょうか。このような印象を抱いていると、営業担当者のトークに押し負けて顧客が商品やサービスを購入するという流れを連想しがちです。

もちろん顧客からの反論に応じる必要はあります。しかし、切り返しトークで特に重要なのは、顧客の感情をくみ取り、寄り添うトークを展開することです。そうすることで、「この人はこちらの事情もよく理解してくれている」と思ってもらいやすくなり、関係構築にも寄与するため、結果として受注につながる可能性を高められます。

切り返しトークで意識すべきポイント

顧客に取引を断られないためには、次のようなコツを意識し、顧客に寄り添った営業トークをするのが有効です。なお、ここでご紹介する内容は、切り返しトークに限らずあらゆる営業トークに活用できます。

感謝の気持ちを持って接する

顧客には常に感謝の気持ちを持って接することが重要です。もし取引を断られてしまった場合でも、商談の時間を取ってもらったり、自社の商品やサービスを検討してくれたりしたことへの感謝の気持ちは必ず示します。提案を断る側にも少なからずストレスが生じている可能性があるため、精神的負担を少しでも減らせるよう、顧客を気遣う姿勢を意識します。

顧客の意見を受け止める

営業トークをし続けるのではなく、顧客の話や意見を誠実に聞く姿勢が大切です。無理に提案や自社のアピールを続けていると、話を聞いていないと思われてしまう恐れがあります。顧客から否定的な意見をもらった場合でもすぐには反論せず、まずは顧客の意見をしっかり聞き、考えを理解することに努めます。

共感し親近感を抱いてもらう

受注に踏み切れない理由や、顧客企業が抱えている課題などを聞き取れた際には、共感を示すことで親近感を抱いてもらいやすくなります。「確かに、〇〇をするのは苦労しますよね」などと共感を示すことで、「この人はよく理解してくれているから、もっとこんなことも話してみよう」と信頼してもらえ、さらに込み入った話ができるようになります。

課題を引き出せる質問を意識する

顧客の課題を聞き出すためには、適切な質問をし、うまく引き出すことが大切です。どのような質問をすればよいかその場で思い浮かばないこともあるため、「現在のツールを使っていて不便だと感じた点は?」「今まで〇〇のツールを利用していて不便だと感じた点は?」など、社内であらかじめ課題を聞き出すための質問集を共有しておくといった工夫もお勧めです。

認識に相違がないかこまめに確認する

スムーズに商談を進行させ、認識のずれによる失注を防ぐために、認識に相違がないか、不明点はないかなどをこまめに確認します。「先ほど〇〇とおっしゃっていましたが、~~~という認識でお間違いないでしょうか」「ここまでで、ご不明点などはございませんか」などと常に確認することで、顧客との認識を合わせます。

事前調査で顧客の状況を理解する

顧客が抱えている課題や、否定的な意見の意図を的確に理解するには、顧客のバックグラウンドを把握していることが重要です。商談に臨む前に、企業のWebサイトやニュース記事、SNSアカウントなどを見ながら、顧客が何に力を入れているのか、何に課題を感じていそうかなど、いくつか仮説を立てておくことで、課題をヒアリングしやすくなります。

仮定しながら提案する

「どのような条件があればうれしいですか」といったように、仮定の話を含めた聞き方をすることで、顧客が求めている条件をうまく聞き取れる可能性があります。条件を聞き出せた後は、「挙げていただいた条件がすべてそろえば、契約したいと思われますか」とテストクロージングで後押しすることで、さらに契約までに必要なポイントを見いだせます。

顧客へのヒアリングスキルを高めるには

顧客へヒアリングを行うスキルを向上させるには、次のような点を意識するのがお勧めです。

ヒアリングを進める流れを押さえる

ヒアリングを行う際には、「話を広げること」「認識を合わせること」「話を掘り下げること」が特に重要です。まずは自ら顧客が話しやすくなるよう話題を提供し、顧客が話したささいな内容も、気になる部分があれば掘り下げます。ある程度話が聞けたら、認識にずれがないか確認することも重要です。

話しやすい空気をつくる

顧客の話を聞かずに多くの質問を投げ掛けるのではなく、自身は一度聞き手側に回り、できるだけ顧客に多く話してもらうことを意識します。顧客からより多くの話を引き出すためには、話を聞きながら「うなずき」などのリアクションを入れたり、共感の態度を示したりすることで、話しやすい空気をつくれます。

オープンクエスチョンを活用する

顧客に対して質問するときは、オープンクエスチョンを活用することで多くの話を聞き出すことができます。オープンクエスチョンは「はい」「いいえ」では答えられない内容の質問を指し、反対に「はい」「いいえ」で答えられる質問は、クローズドクエスチョンといいます。顧客が話しやすい雰囲気をつくるために、商談の序盤ではクローズドクエスチョンで簡単な質問をするのがお勧めですが、中盤から終盤にかけては、「~~の点については、どのようにお考えですか」「~~のツールは、どの企業さまのサービスを利用されていますか」など、具体的な回答が必要になるオープンクエスチョンの数を増やします。

目標と現状のギャップを読み取る

顧客が目指すビジョンや達成したい目標と、現状のギャップをヒアリングすることで、課題やフォローすべき箇所が見えてきます。あらかじめ自身でも仮説を立てながら質問を投げ掛け、顧客と認識を擦り合わせることで、顧客の理想と現状の差を埋めるために必要なものがより正確に読み取れます。

顧客の役職に合わせた話をする

顧客が企業の経営者か、一般の担当者かによっても興味・関心を抱く話題は異なります。そのため、「企業の経営に関する質問」「従業員の残業に関する質問」など、質問内容は顧客の役職に合わせて考える必要があります。主に、経営層には企業の将来性や企業全体をよりよくすることに関わる質問、管理職には事業の戦略に関わる質問、一般の担当者には業務効率化や従業員間でのコミュニケーションに関わる質問がお勧めです。なお、自社の商品やサービスのメリットを伝える場合も、顧客の役職によって良さを感じる部分は異なるため、それぞれの役職に適したアピールポイントを用意するのがお勧めです。

切り返しトークに役立つテクニック

切り返しトークには、いくつかの話法があります。次でご紹介するテクニックを身につけることで、スムーズな切り返しができるようになります。

yes and話法

yes and話法は、顧客からの意見を肯定した上で提案を述べる話法です。例えば、「おっしゃるとおり、〇〇の機能が複雑というお声もいただきます。実は、〇〇の機能は〇〇の面でも役立ちます」といったように、顧客の意見を肯定し、さらに自身の意見を主張することで、顧客が提案内容を受け入れやすくなる話し方ができます。

yes so that話法

yes so that話法は、顧客の意見を肯定し、自身の意見の中に引き込む話法で、ブーメラン話法とも呼ばれています。例えば、「確かに、〇〇の価格が高いとおっしゃるお客様も多いです。だからこそ、一度弊社の〇〇をご利用いただきたいと思っております」といったように、顧客の意見を自身の意見に引き込むことで、後押しができます。

yes what話法

yes what話法は、顧客の意見を肯定した上で、さらに質問を投げ掛ける話法です。例えば、「おっしゃるとおり、〇〇がネックとなるお客様は多くいらっしゃいます。ほかにも、〇〇に関して気になる点はございますか?」と、顧客の意見を掘り下げることで、顧客の課題やニーズ、それらを満たすためのアプローチ法を探れます。

yes how話法

yes how話法は、顧客の意見を肯定しつつ、どのような条件であれば納得するかを探る話法です。例えば、「おっしゃるとおり、〇〇の点で導入を悩まれる方も多いです。具体的に、どのような活用方法をご希望か、参考にお伺いしてもよろしいでしょうか?」といったように、どのようなことがしたいか、どのような価格帯がよいかなどを尋ねることで、顧客の希望条件を基に提案内容を考えられます。

yes if話法

yes if話法は、相手の意見を肯定しつつ、仮定の話をすることで顧客の求める条件を探る話法で、例話法とも呼ばれています。例えば、「確かに、〇〇の点で導入が厳しいというお声をいただくこともございます。もし、〇〇が可能な場合は導入をご検討いただけますでしょうか?」といったように、仮定の話を用いながら、顧客が納得する内容を探ります。

yes but話法

yes but話法は、顧客からの意見を肯定しつつ、反対の意見を述べる話法です。例えば、「おっしゃるとおり、〇〇の点が難しいかもしれません。しかし、弊社のサービスでは〇〇を行っているため簡単に活用できます」といったように、一度顧客の意見を受け止めた後、「しかし」「一方で」などの言葉を使って反対の意見を述べることで、顧客に反発する印象を軽減できます。

yes but話法は難しい?

近年では、yes but話法が営業の場で多く使用されたことにより、顧客に通用しづらくなっています。そのため、会話内容に応じてほかの話法を使いこなすことも大切です。中でも、yes if話法は「もし、この条件であれば契約してくれるか」というテストクロージングができるため、特に押さえておきたい話法です。

営業で使える切り返しトーク集

ここでは、顧客から受け取った断り文句ごとに、営業で使えるお勧めの切り返しトークをご紹介します。

営業なら結構です

「営業ですか?」「営業であれば結構です」と言われたときは、営業ではなく、あいさつを目的に来訪したことを伝えるのがお勧めです。

共感:
お忙しいところ、突然の訪問を失礼いたしました。

提案:
このたびこちらのエリアを担当することになったため、本日は営業ではなくごあいさつに伺いました。先月より弊社では新商品をリリースしており、情報交換も兼ねて3分ほどごあいさつの時間をいただけますでしょうか。

必要ないので結構です

「その商品やサービスは、今必要ない」と言われたときは、本当に必要ないのか、必要性を感じていないのかなどを深掘りします。また、将来必要になる可能性も考えられるため、今後のアクションについて触れるのもお勧めです。

共感:
確かに、〇〇のツールを導入する必要性を感じられないかもしれません。

提案:
〇〇様の業界では、将来的に〇〇〇を懸念する声も多く聞きますが、御社ではどのように対策を行っていますか。

予算がありません

「予算がありません」と言われた場合は、キャンペーンやほかのプランを提案することで、興味を示してもらえる可能性があります。

共感:
これまでに御社で利用されたことのないツールですので、予算がないのも当然かと存じます。

提案:
弊社では複数のプランをご用意しており、初回契約のキャンペーンも行っております。ぜひこちらの資料をご覧いただけますでしょうか。

ほかにも、自社の商品やサービスを利用することで抑えられる費用や、現状からどれくらいの金額をコストカットできるかなどを具体的に示すことで、再度検討してもらえる場合があります。

今は興味がありません

「今は興味がありません」と言われた場合は、今契約すべき理由を伝えることで、興味を示してもらえる可能性があります。

共感:
突然のお話でしたので、もちろんご興味はお持ちでないかと存じます。

提案:
しかし、現在〇〇は初期費用+初月料金が無料のキャンペーンを行っております。他社様でもこのようなキャンペーンはこれまでに行っていないため、とてもお得になっております。

ほかにも、現在利用している競合他社のサービスがあれば聞き出し、競合他社との差別化ができるポイントを伝えることで、興味を持ってもらえる場合があります。

今は時間がありません

「忙しいので時間がない」と言われたときは、顧客が忙しい中対応してくれていることを気遣いながら、次のような返答をするのがお勧めです。

共感:
おっしゃるとおり、本日は突然の訪問でしたので、お忙しいのも当然かと存じます。

提案:
本日はお忙しく厳しいかと存じますが、後日スケジュールに余裕のある日時はございますでしょうか。

また、「5分ほどお時間をいただけますでしょうか」と具体的な時間を伝えたり、「後日資料をお送りできればと存じますので、ご担当者様のお名前を教えていただけますでしょうか」と担当者の名前を聞いたりするのも有効です。

担当者は不在です

「担当者は不在です」と言われたときは、担当者の名前を聞いたり、いつ戻るか、どの時間帯であれば会えるかなどを聞いたりするのがお勧めです。

共感:
突然のご訪問を、失礼いたしました。

提案:
ご担当者様はいつ頃お戻りになりますか。また、ご担当者様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか。

他社とすでに契約しています

「他社とすでに契約済みです」と言われたときは、利用したことでどのように変化したか、現状に満足しているのか、不満な点があるのかなどを探ります。競合他社との違いをわかりやすく説明し、自社の商品やサービスの方が顧客に適していると伝えることで、顧客が乗り換えてくれる可能性があります。そのため、あらかじめ競合他社の商品やサービスについても調べ、自社の商品やサービスとの相違点を明確に理解しておくことが重要です。

共感:
すでに他社様とご契約されていたのですね。失礼いたしました。

提案:
ちなみに、他社様のツールを利用した後、御社にどのような変化があったか伺ってもよろしいでしょうか。

決定権がありません

「私には決定権がありません」と言われたときは、担当者本人は商品やサービスを必要だと感じている可能性が考えられるため、改めて確度が高いかを見極めます。

共感:
もちろん、急にお話を持ち掛けたため、この場で決めるのは難しいかと存じます。

提案:
もし〇〇様に決定権があった場合は、ご契約したいとお考えですか。

検討します

「検討します」「少し考えます」と言われたときは、前向きな響きに感じられるものの、断り文句である可能性もあるため、検討理由について聞き出します。ヒアリングがうまく進まない場合は、再度訪問や連絡をすることを伝え、1週間を目安に再アプローチするのもお勧めです。

共感:
ご検討いただき、ありがとうございます。

提案:
もし検討されるのでしたら、現時点で気になる部分をご一緒に解決できればと存じます。

切り返しトークで避けるべきフレーズ

切り返しトークを行う上で、避けるべきフレーズは次のとおりです。

ご興味ありませんでしたか?

「ご興味ありませんでしたか?」と顧客に聞くのは、顧客が不快な思いをする恐れもあるため、避けるのが無難です。もし、話を進めるなかで顧客が興味のなさそうな態度を示していたら、「ところで、貴社では現在〇〇に取り組まれていることを拝見しました。〇〇に関しても詳しく伺ってもよろしいでしょうか」などと別の話題に転換し、ほかのアプローチができないかを探ることもお勧めです。

顧客の意見を否定するフレーズ

「でも、〇〇は~」や「いや、〇〇は~」「いいえ、〇〇は~」などは、顧客の意見を全否定するようなイメージを与えかねないため、使用を避けるのがお勧めです。顧客の意見に対して反対の意見を述べる際は、一度肯定した後に「ただ、〇〇は~」や「一方で、〇〇は~」などと顧客の意見を全否定しない言葉選びを心掛けます。

無言になる

長い時間無言になってしまったり、話の途中に言葉を詰まらせてしまったりすることで、顧客は頼りない印象を抱いてしまう可能性があります。とっさの返答に悩んだ際は、「つまり、~~~ということですね」と認識を擦り合わせるフレーズや、「確かにおっしゃるとおり、~~~ですね」と顧客の意見を肯定するフレーズを使い、顧客が話した内容を繰り返すことで、沈黙を避けられます。

過度に共感を示す

顧客の意見に共感を示すことは大切ですが、過度に共感を示してしまうと、顧客にうっとうしく思われたり、「話をよく聞いていないのではないか」と思われたりしてしまうことがあります。すべての話に共感するのではなく、不自然にならない程度に共感することを心掛けます。

切り返しトークをテレアポで活用するコツ

切り返しトークは、対面での営業だけでなくテレアポにも活用できます。テレアポで切り返しトークを成功させるためには、次のようなポイントを意識します。

トークスクリプトを作成する

テレアポを進める流れや、顧客の反応別に返答例などをまとめたトークスクリプトを作成しておくことで、会話の途中で言葉に詰まるリスクを軽減できます。多くの場合、トークスクリプトは基本の型を流用できるため、業界別、業種別に分けて、基本となるフォーマットを社内で作成しておくのもお勧めです。

数字を使ってアピールする

テレアポは、なるべく短い時間で要点を伝えることが大切です。このとき、「〇〇様と同じ業界のお客様は、〇〇%のお客様が継続利用してくださっています」「〇〇の課題を抱えているお客様は〇割です」などと数字を用いることで、簡潔にわかりやすく情報を伝えられます。

断る理由を基に本音を読み取る

顧客に取引を断られた場合でも、断る理由から本音を探ることで、さらにアプローチできる可能性が高まります。例えば、顧客が「値段が高い」という理由で断った場合、「値段が安ければ契約したい」「割引や別のプランを適用すれば契約したい」と感じているケースがあります。先述したyes if話法などを用いて「値段が安くなれば契約したいと思いますか」というような質問をしながら、顧客の本音を探ります。

別の手段でアプローチする

サンプルや体験版などを実際に手に取ってみなければ良さが伝わりづらい商品やサービスの場合、テレアポでのアプローチ自体が適していない可能性も考えられます。電話で伝えづらい商品やサービスの場合は、飛び込み営業など顧客の元を訪問して提案するアプローチ方法に変えてみることもお勧めです。

まと

この記事では、切り返しトークで意識すべきポイントや返答例、避けるべきフレーズなどをご紹介しました。顧客に一度断られた場合でも、切り返しトークをうまく活用することで、受注につながる機会を生み出せる可能性があります。自然な返し方ができるよう、記事内でご紹介した話法やトーク例をぜひご活用ください。