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Sky株式会社

公開日2024.03.15更新日2024.05.10

営業トークの基本の流れは? コツや注意点と併せて解説

著者:Sky株式会社

営業トークの基本の流れは? コツや注意点と併せて解説

営業トークは流れを大まかに把握しておくことで、日々の営業活動を円滑に進めることが期待できます。しかし、顧客に自社の商品やサービスの魅力を知ってもらい、納得した上で成約へつなげるためには、アイスブレークやクロージングなど、トークを進める上での各段階で気をつけるべきポイントがあります。この記事では、営業トークの流れをコツや注意点と併せてご紹介します。

営業トークが失敗につながる原因

営業トークは、営業担当者個人のスキル以外にもさまざまな原因によって失敗につながる可能性があります。ここでは、営業トークがうまくいかないときに原因として考えられる要素をご紹介します。

キーパーソンと会えずにいる

キーパーソンとは、企業の中で決裁権があり、意思決定を行う立場の人物を指します。基本的に、担当者同士で営業トークを進めていた場合、顧客側の担当者には決裁権がないため、自社の要望を受け入れる判断ができません。そのため、担当者同士である程度の関係が築けた場合、キーパーソンに商談へ参加してもらうなどのアクションを起こし、営業プロセスを次の段階へ進める必要があります。しかし、顧客との関係を保つために「キーパーソンと話すことはできないか」と交渉するのをためらってしまうと、営業トークがうまく進まない原因となります。

自信のなさが表れている

営業において、顧客から取引を断られることは多くあります。断られ続けていると、「自分の営業トークは下手なのではないか」と感じ、徐々に自信を失う場合があります。自信がなくなってくると、営業トークにも自信のなさが表れてしまい、「本当にこの企業と契約をしても大丈夫だろうか」「この営業担当者のことを信頼するのは不安だ」と顧客に思われ、断られる確率が高まる恐れがあります。このように、営業を断られ続けることによって自信のなさが営業トークに表れ、さらに断られるという悪循環に陥っている場合があります。

顧客に合わせた営業トークができていない

営業トークを行う際に、トークスクリプトなどあらかじめ会話の流れや対応の仕方をまとめた資料を用意している企業も多いです。しかし、トークスクリプトの内容をそのまま顧客に話してしまい、顧客のニーズや課題に寄り添った提案や会話ができていないケースもあります。顧客ごとに臨機応変な対応をせず、トークスクリプトどおりに話していると「この営業担当者はこちらのことを理解する気がないのではないか」と信頼感を抱いてもらえず、営業トークが失敗する原因となります。

トーク中に沈黙が多い

正しい言葉遣いや適切な返答を考えているうちに、営業トークのなかで沈黙してしまう場合があります。沈黙の後に顧客に質問して多く話してもらい、聞き役に徹したりする場合であれば顧客も気にならないことが多いものの、何度も沈黙してしまうと顧客がいら立ちや退屈さを感じてしまうことにもつながります。このように、沈黙の回数が多く、スムーズに営業トークを進められないことによって、取引を断られてしまう場合もあります。

顧客の課題やニーズを理解できていない

「自社の商品やサービスの良さをできるだけ多く知ってもらいたい」という気持ちが強く出てしまい、顧客の話を聞かず、自社の説明に多く時間を費やしてしまうことがあります。顧客の話を聞く機会が少ないと、顧客の課題点がどこにあるのか、顧客が感じるニーズは何かを正確に把握しづらくなります。顧客への理解を深めるためには、積極的にヒアリングを行い、顧客が話す内容を基に、課題やニーズが何なのかを仮説立てしながら、最適な提案内容を考えることが大切です。顧客の課題やニーズが理解できていないまま提案に臨むことで、顧客が求めていない内容を提案してしまう恐れもあり、失敗につながることがあります。

押し売りの印象を与えている

一度の商談で成約までつなげようとすると、「売り込まなければならない」という意識が営業トークにも表れることがあります。顧客に信頼を寄せてもらい、「この企業の商品やサービスを契約してみようかな」と思ってもらうためには、少しずつ関係を深めることが重要です。初回の商談でいきなり成約を目指し、押し売りのような営業トークをしてしまうと、かえって顧客の購買意欲を下げる可能性もあるため、失敗にもつながりやすくなります。

顧客について知識不足

顧客との商談に臨む前に、顧客の理解を深めるために事前調査を徹底することで、ヒアリング時の質問の精度も上がり、顧客から課題やニーズを引き出しやすくなります。しかし、顧客についての事前調査が足りず、顧客を取り巻く環境や業界の動向などを把握していないことにより、適切なアプローチが行えず、顧客が真に必要とする商品やサービスを提案できない場合があります。このように、顧客に対する理解が不足しており、取引を断られてしまうことも考えられます。

自社の売上や利益を第一に考えている

営業活動の目標として、自社の売上や利益を上げることを掲げている場合、顧客の課題解決や事業成功を第一に考えず、自社の売上や利益を拡大することのみを意識したアプローチになる恐れがあります。単価の高い商品やサービスなど、自社の売上や利益を第一に考えた提案を行い、それが顧客の課題やニーズに沿った内容と異なっていた場合は、顧客に「こちらが抱えている課題を解決させる気はないのか」と不信感を抱かせ、取引を断られることがあります。

営業トークの基本の流れ

先述のとおり、営業トークがうまくいかないときに考えられる原因はさまざまです。このような営業トークにおける課題を解消できるよう、ここでは営業トークの基本的な流れや会話の進め方をご紹介します。

あいさつ

顧客と対面したら、まずはあいさつをします。営業におけるあいさつは、営業担当者の第一印象を決める要素にもなり得るため、明るくはつらつとした表情や声のトーンを意識します。

あいさつをする際は、「株式会社〇〇の△△です」と会社名と名前をまず名乗り、「オフィスは〇〇の近くにあります」「御社のオフィスから徒歩〇分ほどの場所にある会社です」などのひと言を添えると、顧客が自社に対するイメージをしやすくなり、警戒心をやわらげることが期待できます。

アイスブレーク(雑談)

あいさつが終わったら、いきなり本題に入るのではなく、お互いに会話がしやすい雰囲気をつくるためにアイスブレークを行うことが重要です。顧客がどのような人物であるかを理解することで、その後の営業トークでもアプローチの幅を広げやすくなります。

アイスブレークでは、主に顧客の出身地や趣味、天気や季節に関する話題などが多く用いられます。このとき、顧客の話に共感したり共通点を見いだしたりすることで顧客に親近感を抱いてもらい、関係構築を図ります。また、本題に関する話題に触れ、営業トークにつなげやすくする方法もお勧めです。

ヒアリング

アイスブレークで話しやすい雰囲気をつくれたら、本格的な営業トークを始めます。ただし、すぐに自社の商品やサービスの紹介や説明に入るのではなく、まずは顧客が現在抱えている課題や「こうなりたい」「こういうことがしたい」というニーズをヒアリングし、自社の商品やサービスを用いてどのように解決へ導けるかを考えます。

例えば「御社のSNSでは〇〇の事業に力を入れているとのことでしたが、〇〇を改善する際に課題となる点はございますか?」など、アイスブレークで話した内容や事前に調べた顧客情報を基に、顧客が解決したいことがどこにあるのかを探ります。「〇〇の作業に時間がかかってしまう」など悩みを話した際は、「確かに〇〇は〇〇な点が複雑なため、作業に時間がかかってしまいますよね」など共感を示すことで、「自社のことを理解してくれている」と信頼を寄せてもらいやすくなります。

オファー

顧客の課題やニーズをヒアリングし、自社の商品やサービスでどのようにアプローチできるかを判断できたら、オファーに進みます。顧客の課題やニーズを基に商品やサービスの説明をすることで、メリットや強みも伝わりやすくなります。商品やサービスについて説明する際は淡々と機能を述べるのではなく、「この機能によって御社の〇〇の課題を解決できます」といったように、商品やサービスを導入することで顧客にどのようなメリットをもたらし、どのように課題を解決に導けるかを併せて説明することで、顧客が導入後のイメージをしやすくなり、「確かに効果を感じられそうだ」と導入を前向きに検討してもらえる可能性があります。

クロージング

商品やサービスの説明や提案などのオファーが終わったら、クロージングへ進みます。クロージングは成約へつなげるための最終ステップとなり、特に慎重に行う必要があります。クロージングで強引に成約に結びつけると、顧客が押し売りのような印象を抱き、良好な関係を継続できない可能性があります。「導入するにあたって不安となる部分はありますか?」「〇〇の部分が〇〇になれば導入したいと思いますか?」など、顧客が成約に踏み切れない要素を一つずつ払拭し、「これなら安心して導入できる」と納得してもらった上で、成約してもらうことが大切です。

営業トークに必要なスキル

ここまで、営業トークの基本的な流れについてご紹介しました。あいさつからクロージングまでをスムーズに進めるためには、コミュニケーションスキルが特に重要です。コミュニケーションスキルとひと口に言っても、「あいさつやアイスブレークで顧客との距離を縮め、「関係構築を行うスキル」「ヒアリングで顧客から課題やニーズを聞き出すスキル」「オファー時に顧客が自社の商品やサービスに対して魅力を感じるよう説明するスキル」「クロージングで顧客の背中を押し、成約を促すスキル」など、各フェーズで必要なコミュニケーションスキルは異なります。これらのスキルを伸ばすためには、事前に社内でレクチャーやシミュレーションを行うことも効果的ですが、実際に商談を重ね、営業トークを多く経験することが大切です。

営業トークを成功させるためのコツ

営業トークを成功させるためには、事前の準備や実際の商談での話し方など、いくつかコツがあります。営業トークを成功させるためのコツは、次のとおりです。

事前に顧客に関する情報を集める

顧客の企業や商談を行う営業担当者に関する情報を集めておくと、商談時のアイスブレークやヒアリングで役立つことが多いです。事前に情報収集しておくことで、顧客への理解が深まった状態で商談に臨めるため、話題を広げられず会話に詰まってしまうリスクを防げます。

情報収集を行う際は、企業のWebサイトやSNS、ニュース記事などを閲覧したり、過去にやりとりがあった従業員に話を聞いたりする方法がお勧めです。ほかにも、顧客の業界の動向や顧客の競合となる企業についても調べておくと、さらに踏み込んだ話ができる可能性があります。

トークスクリプトを作成する

トークスクリプトとは、営業トークで話す内容をあらかじめまとめた台本を指します。トークスクリプトでは、営業トークの流れや顧客の反応、質問に合わせた適切な返答の仕方などを記述し、パターン化しておくことで、本番の商談でも緊張したり、言葉に詰まってしまったりすることなく落ち着いて対応できるようになります。特に、自分のトークに自信が持てず、商談がうまくいかない点に課題を感じている場合は、トークスクリプトを用意した上で営業トークの練習を重ねるのがお勧めです。

シミュレーションを行う

商談の流れや話す内容が大まかに決まったら、本番を想定したシミュレーションを行います。質問や提案内容を顧客に投げ掛けた際、不自然な流れにならないか、想定外の質問や意見をもらう可能性があるかなど、あらかじめシミュレーションすることで新たに気づける点もあります。シミュレーションは、ほかの営業担当者や上司など、社内のメンバーに顧客役を依頼した上で行い、具体的なフィードバックをもらうことでさらに改善点が得られます。

商談の最初に目的を伝える

商談で顧客と対面した際は、本題の営業トークに入る前に商談の目的を伝え認識を擦り合わせることが大切です。最初に目的を共有しないまま話を進めてしまうと、「この営業担当者は何をするために来たのか」「この商談は自社にとって必要ないのではないか」と顧客に思われてしまい、話を聞いてもらえないケースも考えられます。目的を伝える際は「本日は御社の〇〇や〇〇に役立つ商品やサービスを一緒に見つけられればと思います」など、商談の中で一緒に課題を解決するという意思を示すことで、顧客も商談に集中しやすくなります。

顧客の理想を把握してから提案に進む

ヒアリングで顧客から課題やニーズを聞き出した後は、オファーに進む前に「御社では〇〇の〇〇を改善することが今後の課題でしょうか?」「〇〇のコストを〇〇%抑えられることが理想でしょうか?」など、顧客が望む企業のビジョンや目標の認識を合わせておくことが重要です。顧客が理想とする状態を確認しておくことで、適切な提案がしやすいだけでなく、顧客自身も「商品やサービスを導入するなら〇〇が決め手になる」という基準が言語化されるため、クロージングでの決断がしやすくなります。

聞き取りやすいスピードで話すことを意識する

緊張や「商品やサービスを売らなければならない」という焦りによって、営業トークが早口になってしまい、落ち着いて会話を進められないケースがあります。早口で話すと顧客がトーク内容を聞き取れなかったり、強引な印象を抱いたりする場合があります。緊張していなくても、会話を進めるなかで無意識のうちに早口になってしまうこともあるため、商談に臨む際は、ゆっくりした口調で話すことを意識しながら進めるのがお勧めです。

具体的な質問を意識する

ヒアリングでは、顧客の課題やニーズを正確に把握するために「〇〇なのはなぜですか?」「先ほどおっしゃった〇〇は具体的にどの部分を課題に感じていますか?」など、顧客の話を深掘りする質問を意識します。ヒアリングでは、顧客自身も気づいていなかった課題や潜在ニーズを見つけることも、顧客にとって最適な提案ができるかに大きく関わります。顧客の潜在ニーズを満たせるような提案を行うことで、「この営業担当者は自社のことをよく理解してくれている」と信頼感を抱いてもらいやすくなり、自社の商品やサービスの導入を前向きに検討してくれる可能性があります。なお、顧客の潜在ニーズにアプローチする営業スタイルを「インサイトセールス」と呼ぶこともあります。

顧客の懸念点を先に聞いておく

ヒアリングを行い、オファーへ進む前に、現時点での不安や懸念点を先に聞いておきます。特に、自社で提案しようとしている商品やサービスをこれまで利用しておらず、今回が初めてである場合、懸念点や疑問点などがたくさん挙がるケースもあります。

「ツールを導入する上で不安に感じる点はありますか?」「〇〇のような形式のサービスを利用するにあたって懸念点はありますか?」など、顧客が気になる点を一つずつ解消し、成約する上で壁となる要素はできるだけ減らした状態でオファーへ臨むことが大切です。

商品やサービスの欠点も話す

営業トークでは、商品やサービスのメリットを伝えることに意識が向きがちですが、併せてデメリットや課題点を正直に伝えることも大切です。顧客が商品やサービスの良い部分のみを知っても、信頼してもらえるとは限りません。商品やサービスのデメリットや課題点も話すことで、顧客の商品理解が深まり、検討しやすくなります。

商品やサービスのデメリットや課題点を説明する際は、「〇〇な点が弊社のサービスの課題点でもあります。しかし、サポート体制を強化しているため、安心してご利用いただけます」など、デメリットへの対応策や改善に向けた方針を伝えると安心感を与えることができます。

否定的な意見にはすぐに反論しない

商談では、顧客から「〇〇な点が不安」「値段が高い」「今は必要ない」など、否定的な意見をもらうことも少なくありません。このとき、いきなり反論してしまうと「自分の意見を否定された」と、顧客が不快感を抱いてしまう可能性があります。

顧客から否定的な意見をもらった際は、まずは「そうですね。確かに〇〇な点が難しいですよね。しかし、弊社のサービスでは〇〇もできます」など、顧客の意見を一度肯定した上で反対意見を述べることが大切です。このように、顧客の意見を受け入れる姿勢を示すことで、顧客に「意見を受け入れてもらえた」と安心してもらえるだけでなく、その後に続く反対意見も柔らかいニュアンスになるため、顧客に納得してもらいやすくなります。

応酬話法や切り返しトークを活用するのもお勧め

顧客から否定的な意見をもらった際は、応酬話法や切り返しトークといったテクニックを活用することで、顧客に不快感を与えずに、営業トークを円滑に進めることが期待できます。顧客からの意見に応じる際に活用できる話法以外にも、アイスブレークで顧客との関係構築に役立つ話法や、ヒアリングでより多くの情報を引き出す話法など、さまざまな種類があるため、活用しやすいものから覚えるのがお勧めです。

応酬話法、切り返しトークで活用できる具体的な会話のテクニックは、次の記事で詳しくご紹介しているため、併せてご覧ください。

特に伝えたい内容は繰り返す

対面での商談の場合、口頭でのコミュニケーションになるため、商談のなかで重要な情報が出てきた際は、営業担当者も顧客もメモを取ることが大切です。しかし、顧客が会話に集中してしまいメモを取り忘れてしまうことも少なくありません。顧客に特に伝えたい内容を、顧客が把握していないまま商談を終えてしまわないよう、重要な情報は強調して話したり、トークのなかで繰り返し話したりすることを意識します。ほかにも「特に御社に知っていただきたいことなのですが」と前置きをしたり、「これだけは押さえていただけると幸いです」とひと言を添えたりして、顧客にアピールする方法もお勧めです。

営業トークを進める上での注意点

営業トークをスムーズに進める上では、顧客へのあいさつやアイスブレークで距離を縮め、顧客が話しやすい雰囲気をつくることが大切です。ほかにも、顧客が話しやすい空気をつくるためには、営業担当者自身の話し方や声のトーン、話すスピードに気を配り、顧客のテンポに合わせることで「この営業担当者とは話がしやすい」と顧客に強く思ってもらえるようになります。

基本的には、顧客が聞き取りやすい程度に大きめの声や、明るいトーンでゆっくり話すことを意識します。しかし、顧客によっては早口の人や声が小さめの人もいます。顧客の話し方に対して自分の話し方が浮いてしまうと、顧客が話しづらいと感じてしまう場合もあるため、顧客の話し方に合わせて声の大きさや話すスピードを調整することがお勧めです。

ほかにも、顧客が身ぶり手ぶりをしながら話す人である場合は、同じように身ぶり手ぶりで動きをつけながら話をしたり、顧客が使った言葉を言い換えず、同じ言葉を使って返答したりする方法も、顧客に親近感を抱いてもらえる点で有効な方法です。

まと

この記事では、営業トークの流れをコツや注意点と併せてご紹介しました。営業トークを成功させるためには、顧客と良好な関係を築き、質問内容や提案内容から信頼感を抱いてもらうことが大切です。商談中に沈黙する時間ができたり、自信のないトークをしてしまったりする点で課題を感じている方は、記事内でご紹介した基本の流れやコツ、注意点などをご活用ください。