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公開日2024.03.29更新日2024.07.17

ソリューション営業とは? 必要な能力やメリット、実行ステップを解説

著者:Sky株式会社

ソリューション営業とは? 必要な能力やメリット、実行ステップを解説

ソリューション営業とは? 必要な能力やメリット、実行ステップを解説

自社商品やサービスを売り込む従来の営業から、顧客のニーズを引き出して、ニーズに合致する商品を売り込むソリューション営業へと営業手法の主流が変化しています。しかし、市場にどのような変化があってソリューション営業が求められるようになったのか、ソリューション営業を行うために必要な能力は何かなど、わからないことも多いのではないでしょうか。この記事では、ソリューション営業について、求められる理由や必要とされる能力、ソリューション営業を推進するメリットのほか、実行するための具体的なステップを解説します。

ソリューション営業とは顧客から課題を引き出して解決策提案へつなげる営業手法

ソリューション営業とは、顧客との対話を通じて相手の課題やニーズを引き出し、解決策の提案へとつなげる営業手法のことです。ソリューション営業の対象となるのは、顧客が抱える課題に対する解決策の一つとして、自社商品に関心を寄せている顕在顧客といえます。

従来の営業手法である飛び込み営業やルート営業との違いは、自社商品の売り込み方にあります。飛び込み営業などは、自社商品について知らない相手に売り込むため「プッシュ型の営業手法」に分類されます。一方、ソリューション営業は、顧客が抱えている課題を共有してもらい、自社の商品で解決したいと感じてもらうよう促すことから、「プル型の営業手法」に分類される営業手法です。

ソリューション営業が形成された背景

営業手法は、1980年代に主流だった御用聞き営業から、1990年代以降にプロダクト営業へと変わり、さらに2010年代以降はソリューション営業へと変化していきました。御用聞き営業とは、顧客の注文を聞くために相手先を訪問するスタイルの営業手法です。この営業スタイルの場合、顧客にとって既知の商品しか注文されないため、新たな商品が売れないという問題がありました。そこで、営業担当者から商品を提案し、販売につなげるプロダクト営業へと変化していきました。提案型であるプロダクト営業は、提案した相手から「必要ない」といわれてしまうと、それ以上話を進められません。そこで、顧客に「必要だ」と感じてもらうために顧客の課題やニーズを引き出し、相手の視点に立って提案するソリューション営業のスタイルが形成されていきました。

ソリューション営業とほかの営業スタイルとの違い

営業には、プロダクト営業やインサイト営業、アカウント営業などさまざまな種類がありますが、ソリューション営業とどのような点が異なるのでしょうか。それぞれの営業スタイルとの違いについて紹介します。

プロダクト営業との違い

プロダクト営業は提案営業とも呼ばれ、「商品・サービス」を提案する営業スタイルです。商品・サービスの長所やメリットを訴求することにより、購買を促します。競合他社の製品と比べて明確な優位性があれば、プロダクト営業によって販売数を伸ばすことが可能です。差別化できるポイントが限られていたり、顧客にとって十分なメリットが感じられなかったりする場合、この営業手法では販売が難しいことが想定されます。

一方ソリューション営業は、商品・サービスではなく、顧客が抱える「課題の解決策」を提案します。顧客の課題を解決する手段の一つとして商品やサービスを位置づけている点が、プロダクト営業との大きな違いです。

インサイト営業との違い

インサイト営業は、顧客自身も気づいていない潜在的な課題やニーズを深掘りし、解決策を提案する営業スタイルです。顧客が抱えている課題を引き出すという点はソリューション営業と共通していますが、ソリューション営業では課題の存在に気づいている顕在顧客がターゲットです。これに対して、インサイト営業では課題そのものを意識していない潜在顧客をターゲットとする点が異なります。つまり、インサイト営業は潜在顧客向けのソリューション営業といえます。

アカウント営業との違い

アカウント営業は顧客が抱える課題を共有し、長期にわたって解決策の提案を継続することにより、顧客と信頼関係の構築を目指す営業手法です。ソリューション営業ではさまざまな顧客にアプローチを試みるのに対し、アカウント営業では特定の顧客にじっくりと向き合い、課題の本質を突き止めていく点が大きな違いです。

ソリューション営業が求められる理由

従来の営業スタイルに代わって、ソリューション営業が求められるようになっているのはなぜでしょうか。主な理由を3つ紹介します。

情報収集手段が変化したため

ソリューション営業が求められる理由の一つに、顧客の情報収集手段が変化したことが挙げられます。例えばさまざまな商品・サービスを、インターネットで誰でも検索できるなど、現代社会において顧客は多種多様な方法で情報を収集できます。これにより、営業担当者が提供する商品・サービスに関する情報の希少性が相対的に低下し、プロダクト営業で商品・サービスをアピールするだけでは顧客への訴求力が弱いといえます。こうした背景から、単に商品やサービスの提案だけでなく、顧客が抱える課題に合わせた解決策などを提案するソリューション営業が注目されています。

差別化を図る必要性が高まったため

顧客が競合との差別化を図る必要性が高まったことも、ソリューション営業が求められる原因の一つです。優れた商品やサービスが市場にあふれている現代では、品質や性能で差別化を図るのは容易ではありません。顧客が「どの会社の商品・サービスも似たようなもの」だと感じると、価格競争になってしまいかねません。このような背景からも、顧客が抱える課題解決に向けて提案やサポートする、ソリューション営業が求められるようになりました。

営業に求める役割が変化したため

ソリューション営業が求められる理由として、営業に求める役割が変化したことが挙げられます。現代において、顧客が抱える課題は複雑化しており、自社が解決すべき課題を客観的な視点から探ってほしいというニーズが高まっています。営業の役割が、既製の商品やサービスを売り込むのではなく、「課題を顕在化させる」という役割に変化したことも、ソリューション営業が求められるようになった一因といえます。

ソリューション営業に必要な能力

ソリューション営業には、どのような能力が求められるのでしょうか。特に重要度の高い4つのスキルについて紹介します。

関係を構築するコミュニケーション能力

ソリューション営業に欠かせない能力として、顧客と関係を構築するコミュニケーション能力が挙げられます。自社が抱えている課題について詳細を伝え、共に解決していくためには営業担当者に対する信頼が欠かせません。顧客の声にじっくりと耳を傾け、的確な質問を投げかけるコミュニケーション能力が求められます。こうしたコミュニケーションによって、顧客との信頼関係を築くことにつながります。

ヒアリングする能力

顧客の課題に対して的確な解決策を提案するためには、顧客の困り事などを引き出すヒアリング能力が問われます。前述のとおり、ソリューション営業はプル型の営業手法であり、顧客とのコミュニケーションの中で提案の糸口となるヒントを見つけていかなくてはなりません。そして顧客の課題を理解し、共感することによって、より踏み込んだ話を引き出すことにつながります。相手の課題を理解する能力や共感する力も欠かせません。

情報を分析する能力

情報を分析する能力も、ソリューション営業に必要な能力の一つです。顧客から引き出した課題やニーズを言葉のまま受け取っているだけでは、有意義な提案はできません。ソリューション営業を行う場合、業界の動向や顧客が置かれている状況について情報を収集し、さまざまなフレームワークを駆使して分析する能力が求められます。提案に向けて必要な情報を見極める能力や、収集した情報を適切に整理する能力なども必要な要素です。

仮説を構築する能力

ソリューション営業のスキルには、多岐にわたる情報の分析結果を踏まえて、顧客が抱える課題を把握し、解決策について仮説を構築する能力も求められます。構築した仮説を顧客とすり合わせ、検証していくプロセスを通じて、提案すべきソリューションを絞り込んでいきます。顧客からの情報収集によって、課題やその背景などを考え、思考のフレームワーク活用しながら独自の仮説を立てることで的確な提案につながります。

ソリューション営業のメリット

ソリューション営業の手法を取り入れることによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリット3点について紹介します。

顧客満足度が向上する

ソリューション営業では顧客のニーズや課題に応じた提案をするため、単に商品やサービスを提案する営業手法に比べて顧客満足度を高められる点がメリットです。自社の課題について共に考え、解決策を導くことで結果として信頼関係が強化され、長期にわたる安定的な売上確保につながります。

営業のモチベーションがアップする

ソリューション営業によって、営業担当者が顧客から感謝してもらえることで、「顧客のために貢献できている」と実感できます。これにより、営業そのものへのモチベーションも向上しやすくなることもメリットです。顧客が抱えているさまざまな課題に対して情報を分析し、仮説を構築するプロセスは難度が高いですが、大きなやりがいにもつながります。モチベーションアップがさらなる顧客への貢献を生み出すポジティブな循環につながることも、ソリューション営業を取り入れるメリットの一つです。

営業担当者のスキルが向上する

前述のとおり、ソリューション営業にはコミュニケーション能力・ヒアリング能力・情報分析力・仮説構築力といった多岐にわたる能力が求められます。営業活動を通じてこれらの能力が研鑽され、営業担当者のスキルが向上していくことが考えられます。顧客の課題やニーズを引き出し、解決策を提案するソリューション営業は、営業担当者に求められる本質的な能力に磨きをかけられる営業スタイルといえます。

ソリューション営業の実行ステップ

続いては、ソリューション営業を実践していく上で必要な手順を紹介します。次の6ステップに沿って営業活動を進めながら顧客のニーズを引き出し、課題の解決へと導くことが大切です。

1. 商談準備と顧客分析

ソリューション営業を行うにあたって、最初にすべきことは商談準備と顧客分析です。顧客の課題やニーズを深掘りしていくには、まず相手を知ることが欠かせません。商談に臨むにあたって顧客分析を行い、収集できる情報は可能な限り集めておきます。例えば、事業規模や事業内容、業界規模、業界の動向、業界内における顧客のポジショニングなどを入念にリサーチします。顧客分析を通じて事前に仮説を立てておくことが大切です。

2. 顧客との関係構築

次に顧客との関係を構築していきます。顧客の課題やニーズを引き出すには、顧客からの信頼が欠かせません。訪問時には「お客様の課題を解決したいと考えている」というメッセージを前面に押し出し、徐々に信頼関係を構築していくことが大切です。相手の視点に立ったコミュニケーションを図ることで、顧客の課題や悩みを引き出せるように心掛けます。

3. ヒアリングと仮説整理

顧客から課題や困り事を共有してもらえるなど、関係性が深まった段階でヒアリングへと移行します。自然な会話の中で発せられた顧客の課題やニーズをキャッチし、理由や背景を深掘りしていくのがポイントです。事前に立てておいた仮説をヒアリング結果と照らし合わせて整理し、課題の核心とその解決策となる提案を絞り込んでいきます。

4. ソリューションを提案

顧客の課題や悩みを解消する手段の一つとして、ソリューションを提案します。提案時にはソリューションを導入・採用してもらえるかどうかに重きを置くのではなく、提供可能な価値や相手にもたらされる効果を伝えた上で、課題が解決された後の姿をイメージしてもらうことが重要です。

提案を通じて、顧客のさまざまな懸念点が挙がってくることが想定されます。懸念点を掘り下げ、BANT条件といわれる、「Budget(予算)」「Authority(決裁者、決定権者)」「Needs(需要、ニーズ)」「Time frame(契約、購入および導入時期)」を明らかにしていくことが大切です。

5. クロージング

営業の最終段階であり、顧客に契約を締結してもらうクロージングを行います。クロージングでは一挙に結論を出してもらおうとするのではなく、複数回にわたってテストクロージングを繰り返し、小さな意思決定を積み重ねていくことが重要です。例えば、顧客が想定している導入時期を尋ねることにより相手の検討度合いを推測できます。導入時期が共有できたら、次に予算について尋ねる過程で具体的な料金プランなどを選択してもらいます。このように、「仮に契約するとしたら」という前提で話を進めていくことにより、意思決定を後押しするのがクロージングを成功させるポイントです。

6. アフターフォロー

顧客との信頼関係を継続していくために、成約後も定期的に連絡をとり合い、課題解決の進捗状況を共有していくことが大切です。顧客の側から問い合わせがなくても、定期的に連絡をすることで、安心感や信頼感を強めることが期待できます。このように、アフターフォローを充実させることが長期的な信頼関係の醸成に寄与するだけでなく、アップセルやクロスセルの実現にもつながります。

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顧客との対話を通じて相手の課題やニーズを引き出し、解決策の提案へとつなげるソリューション営業は、現代のビジネス環境において不可欠な営業手法といえます。ソリューション営業に必要とされる能力・スキルを把握した上で、実行のステップに沿って顧客の課題を解決へと導くノウハウを確立させていくことが大切です。

顧客との信頼関係を構築し、課題やニーズを効果的に引き出していくには、顧客情報を適切に活用・共有する必要があります。営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」は、営業活動を通して得た名刺を組織の情報資源として一元管理し、組織全体で共有できるツールです。日々の営業活動の状況を集約・共有する機能も備えており、営業活動の振り返りや今後の活動方針の検討にご活用いただけます。

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