日本のビジネスシーンをはじめ、名刺は必要不可欠なツールとして広く活用されています。しかし、これから海外企業とビジネスを展開したり、海外の担当者と商談したりする場合に備えて、海外ではどのように名刺が扱われているのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。この記事では、日本と海外における名刺文化や名刺交換マナーの違いのほか、海外向けに名刺を作成する際のポイントを解説します。
日本と海外の名刺文化の違い
日本では、もともと19世紀初頭の江戸時代から名刺が使われるようになったといわれています。現在でもビジネスシーンを中心に広く活用されていますが、日本と海外の名刺文化にはどのような違いがあるのでしょうか。まずは、日本、中国、アメリカ、ヨーロッパの名刺文化についてそれぞれ解説していきます。
日本の名刺文化
日本では基本的に、初対面の相手とあいさつする際に名刺を使います。名刺交換の主な目的は、会社名や部署名、名前、住所、連絡先などお互いの情報を伝え、コミュニケーションのきっかけを作ることです。また、日本では「名刺=相手の顔」という認識が浸透しています。そのため、受け取った名刺は丁寧に扱わなければなりません。例えば、「名刺は両手で持って受け渡す」「すぐに名刺入れに収納せず、テーブルの上に並べる」など、名刺の扱い方にも細かいマナーがあります。
中国の名刺文化
中国では、国内のビジネスパーソン同士で名刺交換をする習慣はほとんどありません。名刺交換を行うのは、主に海外企業とのビジネスなど、グローバルな仕事に就いている人だけです。中国では近年、紙の名刺を持ち歩かず、「デジタル名刺」を使用する人が増え、スマートフォンアプリを使って交換するのが一般的になりつつあるとされています。
アメリカの名刺文化
アメリカでは、初対面の場面では「握手を交わす行為」が重要視されています。名刺は自社および自分自身を宣伝するために用いるアイテムと捉えられており、単に連絡先を伝える目的で使われることが一般的です。そのため、名刺は必要な場合しか渡さず、連絡をとる予定がなければ名刺交換をしない場合もあります。また、日本のように名刺を丁重に扱うことはなく、受け取ってすぐにしまったり、名刺にメモを書き込んだりすることも珍しくありません。
ヨーロッパの名刺文化
ヨーロッパでは、社交界において18世紀ごろから名刺が使用されるようになりましたが、現在のビジネスシーンではあまり使われていません。交換するとしても、親交の深い相手に渡す程度です。また、ヨーロッパの中でも国によって名刺の捉え方が若干異なります。例えば、イギリスでは「社長などの重要人物が集まるパーティー会場で交換するカード」、ドイツでは「外国人とビジネスをする場合に交換するカード」、フランスでは「管理職以上の役職になると持つことができ、長年の付き合いがある相手に渡すカード」といった捉え方になっています。
日本と海外の名刺交換マナーの違い
ここまで日本と海外の名刺文化の違いについて見てきましたが、名刺交換の際のマナーにはどのような違いがあるのでしょうか。続いて、日本と中国、欧米の名刺交換マナーの違いを解説していきます。
日本の名刺交換マナー
日本では、初対面の人と会う際に、自己紹介を兼ねて名刺交換をします。一般的には、玄関先やロビーではなく、応接室や会議室に入ってから名刺交換を行います。ただし、相手がどのタイミングで名刺を出すのかわからないため、すぐに取り出せるよう準備しておくことが大切です。また、名刺を差し出す際は、相手が文字を読みやすい向きで渡さなければなりません。
名刺交換をした後は、打ち合わせや商談が終わるまで机の上に並べておきます。相手が複数人の場合は、名前を間違えないように、相手の並びに合わせて名刺を配置することが大切です。そして、打ち合わせや商談が終了したら、退席する直前に名刺入れなどに収納するところまでが、日本における名刺交換マナーとされています。
中国の名刺交換マナー
中国では、まずあいさつをして握手を交わし、その後に名刺交換をします。その際に大事なポイントは、相手の名前をしっかり聞き、名刺を見て覚えることです。受け取った名刺はテーブルの上に並べて会話をしますが、何度も名刺を見てしまうと「名前を覚えられない人」という印象を与えかねません。また、中国では名刺を収納するタイミングは決まっておらず、受け取った後すぐに名刺入れやカバンに入れることもあります。ただし、雑に扱うと印象が悪くなる可能性もあるので、丁寧な取り扱いをお勧めします。
欧米の名刺交換マナー
欧米では、対面してすぐに名刺を交換することはありません。まずは、相手の目を見ながら笑顔で握手を交わすことが基本です。名刺は名前や連絡先を伝える必要があると感じたタイミングで渡し、場合によっては名刺交換せずに終わることもあります。また、欧米では、受け取った名刺をすぐにポケットに入れたり、名刺にメモを書き込んだりしますが、これはマナー違反ではありません。日本の名刺交換マナーとはかなり異なりますが、マナーの違いとして事前に認識しておくことが大事です。
海外向けに名刺を作成する際のポイント
では、実際に海外向けの名刺を作成する場合、どのような内容にすればよいのでしょうか。名刺のサイズや記載項目の順番、英語の表記方法など、注意すべきポイントをご紹介します。
名刺のサイズ
日本の名刺は、ほとんどが「91mm×55mm」です。一方、海外では、折り曲げずにワイシャツの胸ポケットに入れられるサイズが基準となっています。例えば、アメリカは「89mm×51mm」、ヨーロッパは「85mm×55mm」が標準です。そのほか、中国では「90mm×54mm」、韓国では「90×50mm」となっています。標準サイズが国ごとに異なるため、海外向けの名刺はサイズに注意して作成することが重要です。
記載項目の順番
日本の名刺は、会社名、部署名、役職名、名前の順に記載するのが一般的です。一方、海外では、名前、役職名、部署名、会社名という順番になります。つまり、日本と海外では記載項目の順番が逆になるので、注意が必要です。また、住所の表記も、日本の名刺では、郵便番号、都道府県、市区町村、番地、建物名の順番ですが、海外の名刺では建物名、番地、市区町村、都道府県(州)、郵便番号とすべて逆になるため、間違わないように作成することが大切です。
名前の英語表記方法
名前を英語で表記する場合は、海外の人でも日本語に近い発音ができるヘボン式のローマ字を使うのが一般的です。姓名の順番については、現在パスポートなどの公文書では「姓・名」の順番を採用しているため、それに合わせて記載するのが無難ですが、特に明確な決まりはありません。欧米の慣習に合わせた「名・姓」の順番で表記するケースも少なくありません。
企業名の英語表記方法
「株式会社」の英語表記には、複数の種類があります。アメリカでは、Incorporatedの略である「Inc.」、またはCorporationの略である「Corp.」を企業名の後につけます。一方、イギリスでは、Company Limitedの略である「Co., Ltd.」を企業名の後に記載するのが一般的です。
電話番号の表記方法
海外向けの名刺に電話番号を記載する場合は、国際電話に対応した表記にしておく必要があります。日本の国番号は81なので、先頭を「+81」とし、その後に最初の0を除いた電話番号を記載します。例えば番号が「090-1234-xxxx」だとすると、「+81-90-1234-xxxx」が国際的な表記になります。
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