電子メールは、企業の営業活動において重要な営業ツールの一つです。この記事では、営業活動の一環である営業メールについて、送付するメリットやメールならではのデメリット、好印象を残す営業メールのコツ、注意点などについて解説。また、シチュエーション別の文例についてもご紹介します。
営業メールとは、メールによって営業活動を行う手法のこと
営業メールとは、メールを使って営業活動を行う手法のことです。主に見込み顧客や既存顧客に対して、商品やサービスをアピールし、商談につなげることを目的として送信します。営業メールによって、新規開拓や商談の獲得が期待でき、工夫次第で売上につながる成果が期待できます。
営業メールのメリット
営業メールを効果的に活用するためにも、メールによる営業活動のメリットを知っておくことが大切です。営業メールには、メールというツールの特徴を生かした、下記のようなメリットがあります。
都合のいいタイミングで用件を送れる
営業メールの大きなメリットは、自分の都合のいいタイミングで用件を送れる点です。相手が読んでくれそうなタイミングを考慮して、戦略的に送信することができます。また、受信側も都合のいいタイミングで読めるため、送信した時間帯に読んでもらえなくても、用件を伝えられるチャンスが残せます。
口頭よりも伝わりやすい
営業メールのメリットは、口頭による営業よりも相手に用件が伝わりやすいことです。電話などの口頭で用件を伝えた場合、こちらの説明がわかりづらかったり、聞き間違いや聞き漏らしなどが発生したりすることがあります。しかし、メールであれば、書く際に何度も文章を練られるため口頭よりも伝えやすく、その上、文章として記録が残るため、お互いに後で確認することも可能です。
テンプレート化すると労力削減につながる
営業メールの文面を用途別にテンプレート化することで、その都度作成する必要がなくなり、労力の削減につなげることができます。さらに、メール配信機能を備えた営業支援ツールなどを使うことで、送信する手間を大幅に削減することもできます。
営業メールのデメリット
営業メールにはメリットがある一方、デメリットもあります。ここでは、メールの特性から生じ得るデメリットを3つご紹介します。
メールの質が低いとマイナスな印象を与える
営業メールは、メールの質が低いと相手にマイナスな印象を与えてしまうデメリットがあります。質の低いメールとは、誤字脱字が多い、日本語に誤りがある、何を伝えたいのかわからないといった、顧客に不快感を与えるようなメールです。営業チャンスをつかむことを目的としている営業メールで悪印象を与えてしまっては逆効果なので注意が必要です。
読んでもらえるとは限らない
営業メールは、読んでもらえるとは限らないことがデメリットです。ビジネスパーソンは、毎日多くのビジネスメールを受け取っています。件名だけで自身には無関係と判断されると、後回しにされるか、そのまま削除される可能性もあります。1回送信しただけでは読んでもらえないと考えて、メールを送る頻度やメールの件名などを工夫する必要があります。
表情が見えないのでコミュニケーションがとりづらい
営業メールは、テキストだけのコミュニケーションですので、表情が見えない点がデメリットです。相手の表情が見えず反応をうかがうことができないため、コミュニケーションが一方通行になってしまいがちです。営業メールだけでは反応が見えない場合は、ほかのツールも利用するなど営業活動の手段を見直すことが大切です。
営業メールの書き方
商談につながる営業メールは、どのように書けば良いのでしょうか。営業メールの具体的な書き方として、件名と本文の構成について解説します。
件名の書き方
営業メールを読んでもらえるかどうかは、件名にかかっています。「ご提案について」や「セミナーのご案内」では、何についての提案やセミナーなのかわかりません。もちろん、メール本文を読めば書いてあるのですが、件名で興味を引かなければ、そもそも開封してもらえません。
「◯◯事業におけるコスト低減のご提案」や「人材不足を補完するAI活用セミナーのご案内」のように、どのような内容が書かれているのか、ひと目でわかる件名をつけることが大切です。
本文の構成
営業メールは、本文の構成も大切です。ただ思いつくままに書いたメールでは、読みづらかったり理解しにくかったりして、最後まで読んでもらえない可能性があります。整理された本文の構成をテンプレート化しておくことで、読みやすい営業メールを手早く作成することができます。営業メールの基本的な構成は次のとおりです。
営業メールの構成例
・ 宛名
・ あいさつと自己紹介
・ メールの趣旨(目的や理由)
・ 本文
・ 結びのあいさつ
・ 署名
好印象を残す営業メールを書くコツ
やみくもに営業メールを出しても、読んでもらい、かつ印象に残らなければ意味がありません。では、どのような点に気を配れば、好印象を残せる営業メールになるのでしょうか。ここでは、好印象を残せる営業メールのコツについて解説します。
送信する時間帯に気を配る
好印象を残す営業メールを送るには、送信する時間帯に気を配ることが重要です。送る相手が個人の一般消費者ではなく企業の場合、相手の営業時間内に送信します。メールはいつでも見ることができるツールですが、仕事用のメールをスマートフォンでも見られるようにしている人も多いため、休日に営業メールを送ると不快な思いをさせてしまうことがあるので注意が必要です。
反対に、営業メールに効果的な時間帯も存在します。一般的に、業務開始直後やお昼休憩後、終業時間直前などが、メールが開封されやすい時間帯だといわれています。あらかじめメールを作成しておき、メールソフトの送信予約機能を利用するのが便利です。
丁寧に自己紹介をする
初めての相手に営業メールを送る際には、丁寧な自己紹介をすることで好印象を残せます。「◯◯の展示会でお名刺をいただきました」「◯◯セミナーにてお話を伺いました」「貴社の◯◯を拝見しました」のように、何がきっかけで連絡したのかを伝えた上で、自己紹介をします。メールでは相手の顔が見えないため、自分がどのような人物で、なぜ連絡をしたのかを丁寧に説明し、警戒心を解くことが大切です。
何をしてほしいのか目的を明確にする
相手にとってほしい行動を明確に記載しておくことも、営業メールで良い印象を残すコツです。「興味を持っていただけましたら、ご連絡ください」のような書き方では、なかなか次のアクションにつながりません。「興味を持っていただけましたら、詳細なご説明をいたしますので、下記URLからお申し込みください」のように、わかりやすく明確なアクションに相手を誘導するのがお勧めです。
相手にとって有益な情報を必ず入れる
好印象を残す営業メールを書くコツは、相手にとって有益な情報を盛り込むことです。ただ自社商品のすばらしさを書き連ねたところで、それが相手にとってどのようなメリットをもたらすのかが伝わらなければ、次のアクションにはつながりません。例えば、どのような課題が解決できるのか、どのくらいのコストカットにつながるのかというような、明確なメリットを提示することが重要です。
アポイントなどの日時は具体的に書く
本文にアポイントの候補日を書いておくことも、好印象を残す営業メールのポイントです。アポイントの候補日を書く場合は、複数の候補を記載するようにします。例えば「◯月◯日(火)13~14時」のように、具体的な日時を3つほど提示すると、次のアクションにつなげやすくなるため有効です。また、商談の場所には見出しをつけ、正式名称を書くなどしてわかりやすく記載します(オンラインの場合はURLを記載)。
営業メールの注意点
営業メールは、商談につながる可能性のある重要な営業活動です。相手に失礼のないように営業メールを送信するためには、次のような点に注意が必要です。
宛名やメールアドレスなどを何度も確認する
宛名やメールアドレスなどは、間違いのないように何度も確認します。社名や役職名、名前の表記などを間違えてしまうと失礼にあたります。特に初回は間違えやすいので注意が必要です。メールアドレスについては、間違えても誰にも届かないだけだと思うかもしれませんが、意図せぬ第三者に届いてしまうことがまれに起こります。商談のチャンスを失うばかりか、受け取った人にも迷惑をかける上、情報漏洩をしたことで情報セキュリティの観点からも信頼を著しく損なってしまいます。
間違った日本語表現を使わない
営業メールで間違った日本語を使わないよう、注意が必要です。例えば、ビジネスメールでよく使われる「お世話になっております」という表現は、初回の連絡では使いません。「おっしゃられる」「拝見させていただく」のような二重敬語も、正しい日本語ではありません。営業メールを送信する前に誤字脱字はないか、表現は適切であるかを確認するよう心掛けることが大切です。
添付資料を忘れない
営業メールを送る際には、必要な資料を添付し忘れないよう、注意が必要です。また、添付資料のファイル容量が大きすぎると、送信エラーが起こることがあります。メールに添付するファイル容量の目安は、最大で2MB程度です。営業メールを送信する前に、資料の添付忘れがないか、添付ファイルの容量は適切か、確認することが大切です。
返信メールにはなるべく早く対応する
営業メールに対して返信があったら、なるべく早く対応することが重要です。ビジネスにおいて、スピード感のある対応は、顧客の信頼を高める一つの要素です。返信が遅いと、それだけで信頼を失いかねません。営業メールが功を奏し、せっかく相手が興味を持ってくれたのですから、その気持ちが冷めないうちに連絡をすることで、少しでも商談につなげるよう心掛けることが大切です。
営業メールの例文集
営業メールは、テンプレートを作成しておくことで、労力を大幅に削減することが可能です。テンプレート作成時の参考として、シチュエーション別に営業メールの例文をご紹介します。
新規開拓メール
まずは、新規の顧客に対して初めて送る営業メールの例文を紹介します。自社の商品やサービスを知ってもらい、その後、アポイントをとるために送る最初のメールです。この段階ではアポイントに関する記述をせず、主に商品やサービスについて紹介します。
件名:
効率化とコスト削減に活かせる◯◯ツールのご提案【株式会社◯◯ ◯◯(自分の名前)】
本文:
株式会社◯◯
ご担当者 様
初めてご連絡差し上げます。
◯◯というサービスを提供しております
株式会社◯◯ ◯◯部の◯◯と申します。
突然のご連絡、誠に恐縮ではございますが、
ぜひ当社との新規お取引をご検討いただきたく、メールを差し上げた次第です。
弊社では、『◯◯(商品名)』という◯◯ツールを提供しております。
貴社の事業における◯◯業務につきまして、大幅な効率化とコスト削減が期待できます。
ぜひ一度、貴社へお伺いし、
弊社のサービスについてご紹介させていただければと存じます。
弊社の事業内容につきましては、資料を添付させていただきます。
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、
詳細をご希望の場合には、お返事くださいますようお願いいたします。
略儀ではございますが、メールにてご挨拶申し上げます。
アポイントメール
アポイント依頼を伴った、新規顧客への営業メールの例文は下記のとおりです。具体的なアポイントの候補日時を記載しておくことがポイントとなります。
件名:
効率化とコスト削減に活かせる◯◯ツールに関して面談のお願い【株式会社◯◯ ◯◯(自分の名前)】
本文:
株式会社◯◯
ご担当者 様
初めてご連絡を差し上げます。
◯◯というサービスを提供しております
株式会社◯◯ ◯◯部の◯◯と申します。
突然のご連絡、誠に恐縮ではございますが、
ぜひ当社との新規お取引をご検討いただきたく、メールを差し上げた次第です。
弊社では、『◯◯(商品名)』という◯◯ツールを提供しております。
◯◯業界のお客様を中心に、100社以上の企業様に弊社の◯◯をご導入いただいております。
半年間で30%の◯◯改善を達成した実績もございます。
貴社の事業における◯◯業務につきましても、
業務効率化とコスト削減に貢献できることと存じます。
ぜひ一度、貴社へお伺いし、
弊社のサービスについてご紹介させていただければと考えております。
下記の日程でご都合の良い日時はございますでしょうか?
◯月◯日(◯)◯~◯時
◯月◯日(◯)◯~◯時
◯月◯日(◯)◯~◯時
※所要時間は1時間程度を見込んでおります
上記以外にも、ご都合のよろしい日程がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
お忙しいところ大変恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
既存顧客への営業メール
続いては、これまでに取引のある既存顧客への、営業メールの例文をご紹介します。なお、ここでは新規サービスに関する提案を例にしています。
件名:
新サービス『◯◯』に関するご提案
本文:
株式会社◯◯
◯◯ 様
いつもお世話になっております。
株式会社◯◯の◯◯です。
このたび弊社では、『◯◯』という新サービスの提供を開始いたしました。
貴社の◯◯業務の効率化とコスト削減に貢献できるのではないかと考え、
無料トライアルをご検討いただきたく、ご連絡差し上げた次第です。
1か月の無料トライアル期間中は、すべてのサービスをご利用いただけます。
無料トライアルのお申し込みにつきましては、下記のURLからご確認ください。
URL:https://××××××.com
また、『◯◯』に関する詳しい資料を添付いたします。
ぜひ、ご検討ください。
ご不明点などございましたら、下記の連絡先までお気軽にお問い合わせいただきたく存じます。
×××@××××××.com
今度とも、何卒よろしくお願いいたします。
商品提案メール
商品を提案する際の営業メールの例文をご紹介します。サンプルなどを無料で試し、品質を確認してもらうためのメールです。
件名:
新商品『◯◯』のご案内【株式会社◯◯ ◯◯(自分の名前)】
本文:
株式会社◯◯
ご担当者 様
突然のご連絡、失礼いたします。
株式会社◯◯ ◯◯部の◯◯と申します。
弊社ではこのたび、『◯◯』という商品の販売を開始いたしました。
この商品の特長は、◯◯と◯◯です。
従来の商品の◯◯というデメリットを克服し、
さらに◯◯という価値を付与した商品となっております。
ぜひ、◯◯様にサンプルをお使いいただき、品質をご確認の上、
貴社でのお取り扱いをご検討いただきたく存じます。
ご依頼いただきましたら、すぐにサンプルをお送りいたしますので、
お気軽にご利用ください。
ご多忙の中、大変恐縮ではございますが、
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
リマインドメール
営業メールでのアプローチに対して返信が来て、アポイントが決定した場合、商談の数日前~前日に、リマインドメールを送信します。下記に、アポイントに対するリマインドメールの例文をご紹介します。
件名:
◯月◯日の『◯◯』に関するご面談について【株式会社◯◯ ◯◯(自分の名前)】
本文:
株式会社◯◯
◯◯ 様
いつもお世話になっております。
株式会社◯◯の◯◯です。
先日お約束しておりましたご面談につきまして、
当日が近づいてまいりましたので、あらためてご案内申し上げます。
日時:◯月◯日(◯)◯時より
場所:貴社オフィス
◯◯様にお会いできることを楽しみにしております。
当日は、よろしくお願いいたします。
フォローメール
商談や打ち合わせをした際には、フォローのメールを送って感謝の気持ちを伝えることが大切です。できれば当日のうちに送ることをお勧めします。ここでは、フォローメールの例文をご紹介します。
件名:
本日はお打ち合わせありがとうございました【株式会社◯◯ ◯◯(自分の名前)】
本文:
株式会社◯◯
◯◯ 様
いつもお世話になっております。
株式会社◯◯の◯◯です。
本日はお忙しいなか、お時間をいただき、誠にありがとうございました。
貴社の事業課題や現状につきましてお聞かせいただき、心より感謝申し上げます。
弊社のサービスにつきましてご説明いたしましたが、
疑問やご要望などございましたら、お気軽にご相談ください。
貴社のお役に立てるよう、ますます精進してまいります。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
セミナー参加依頼メール
セミナー参加は、プロダクトやサービス導入における重要な導線となっています。ここでは、セミナー参加を促すためのメール文例をご紹介します。
件名:
◯◯セミナー開催のお知らせ【株式会社◯◯】
本文:
株式会社◯◯
◯◯ 様
いつもお世話になっております。
株式会社◯◯の◯◯です。
このたび、弊社の新サービス『◯◯』を使った業務効率化セミナーを開催する運びとなりました。
先日のお打ち合わせで、貴社の課題が◯◯であると伺いました。
今回のセミナーがお役に立てるのではないかと思い、ご連絡差し上げました。
ぜひ、ご参加をご検討いただきたく、お願い申し上げます。
日時:◯月◯日(◯)◯時より
会場:◯◯ホール ◯◯会議室
セミナー詳細およびお申し込みURL:https://××××××.com
◯◯様のご参加を心よりお待ちしております。
何卒よろしくお願いいたします。
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