営業トークは、営業活動に不可欠な業務です。営業トークの出来が、商談の成否を決めるといっても過言ではありません。しかし、営業トークに苦手意識を持つ営業担当者は少なくありません。この記事では、営業トークに求められるスキルや営業トークがうまくいかない理由、営業トークの流れ、トークスクリプト作成のコツなどについて解説します。
営業トークが上手な営業担当者の特徴
営業活動は、会社の収益を支える基盤です。そして、その営業活動において重要な役割を担うのが営業トークです。とはいえ、営業トークがなかなか上達せず、成果につなげられないと悩む営業担当の方も多いのではないでしょうか。ここでは、営業トークが上手な営業担当者に共通する特徴についてご紹介します。
価格交渉に落ち着いて対応できる
営業トークが上手な営業担当者は、商談の席で顧客から価格交渉を持ちかけられても、落ち着いて対応できます。それは、価格に見合った価値の製品・サービスが提供できることを知っているからです。優れた営業担当者は、提供する製品やサービスそのものに自信があることに加え、自身の提案やフォローによって、顧客自身が気づいていなかった課題・解決策の提示や、顧客の業界に関する最新情報など、顧客にさらなる価値を提供することが可能です。このような高い付加価値を示す自信があるため、成果を出せる営業担当者は、価格交渉を切り出されても落ち着いて対処することができるのです。
顧客との合意形成を重ねている
顧客との合意形成をしっかり重ねている営業担当者も、営業トークが上手です。成果を出せる営業担当者は、顧客との対話を大切にしており、製品やサービスのことを一方的にまくしたてるようなことは、まずしません。一方で、成果を焦るばかりに、顧客と十分な合意形成を行わずに商談を進めてしまい、結果につながらないといった営業担当者も少なくありません。
成果につなげるためには、商談に臨む前に、顧客の課題や事業の展望をヒアリングし、仮説を立てて提案を用意することが重要です。地道な事前準備を行い、顧客の理解を深めてから商談に臨むことで、顧客の課題解決を中心に商談を進め、しっかりと合意形成を重ねることができるようになります。合意形成を重ねてから契約することで、契約後にすぐ解約されたり、クレームにつながったりするリスクが大幅に軽減されます。
製品やサービスを利用するメリットをしっかりと伝えている
営業トークの基本は、顧客に製品やサービスを利用した際に生じるメリットを、しっかり伝えることです。成果を出している営業担当者は、この基本をきちんと踏まえています。メリットを伝えるというのは、製品やサービスの仕様や用途を伝えることだけではありません。その顧客が製品・サービスを使うことで、抱えている課題がどれだけ解決するか、コストや労力をどれだけ削減できるか、安全性や精度がどれだけ高まるかなど、具体的なかたちで伝えることが大切です。
その上で、顧客自身も把握できていなかった課題を見つけ、そのソリューションを提案できれば申し分ありません。自社の課題とニーズを理解してくれる営業担当者は、「売り込んでくる人」ではなく「相談できる人」「助けてくれる人」として、顧客から信頼を得ることにつながります。
営業トークで求められるスキル
営業トークは、ただ売り込めばいいというものではありません。成約につながる営業トークには、相応のスキルが必要になります。ここでは、営業トークで求められるスキルについて解説します。
コミュニケーション能力
営業トークが上手になりたいと思ったとき、トークの技術ばかりを磨くのでは不十分です。営業トークには、双方向のコミュニケーション能力が求められます。顧客の課題やニーズを引き出し、その解決策を提案することが、営業の基本です。課題やニーズを引き出すためには、顧客との会話のラリーを続けることが重要で、聞く力と話す力のどちらも欠かせません。会話のラリーから課題の共有、解決策の提案へと導くコミュニケーション能力を培うことが、営業トークを上達させるポイントです。
顧客を理解し、課題を引き出す力
顧客の課題やニーズを理解することなしに、適切な解決策や価値を提供することはできません。まず、顧客の背景や状況を理解し、その顧客が直面している課題や問題点を引き出すことが重要です。顧客の課題やニーズを引き出すことは、営業担当者が顧客にとって本当に価値のある提案を行うための土台となります。顧客が抱える課題やニーズを理解し、それに基づいて適切な解決策や製品・サービスを提案することで、顧客の期待に応えるだけでなく、顧客のビジネスに成果をもたらすことが可能となります。
顧客の課題解決につなげる提案力
営業トークでは、顧客のニーズや課題を的確に把握し、それに対して適切な解決策を提案する力が必要です。顧客の課題・問題に理解を示し信頼関係を築いた上で、顧客の課題を深く掘り下げ、その背景や実情を把握することで、自社の製品・サービスが持つ機能や特性を生かした適切な解決策を提案することが可能となります。提案力は、顧客との長期的なビジネス関係を構築する上でも、営業トークに欠かすことのできないスキルといえます。
顧客の購買意欲を高める力
顧客が商談の席についているということは、何かしら現状に不満がある、または解決したい問題があるということです。その課題解決となり得る製品やサービスの活用法を伝え、課題を解決した未来を顧客が思い描くことができれば、顧客の購入意欲は高まります。そのためには、課題解決のための提案だけでなく、他社での具体的な成功事例などを示すことも有効です。また、顧客の関心や疑問に丁寧に対応し、顧客の立場に立って提案する姿勢が大切です。ただ製品・サービスの価値を強調するのではなく、顧客とのコミュニケーションを通して購買意欲を高める力が、営業トークには欠かせません。
営業トークがうまくいかない・失敗する原因
自身では営業トークを頑張っているつもりでも、なかなか成果につながらないことがあります。営業トークがうまくいかないとき、そこには失敗につながる原因が必ず存在します。ここでは、営業トークがうまくいかない原因について解説します。
顧客に興味を持っていない
営業トークがうまくいかない原因の一つとして、顧客に興味を持っていないことが挙げられます。商談の席に着く前に、顧客の事業課題や業界動向などを調べ、「ここに困っているのではないか」と仮説を立てておくことが重要です。この準備を怠ると、どの企業にも当てはまるような一般的な話に終始してしまいます。これでは顧客から、「うちにあまり興味がないのだな」と受け取られてしまいかねません。
顧客に対して興味があるかないかは、事前にどれだけ調べたか、どれだけ準備をしたかで表れます。しっかり調べて準備をしたからこそ、的を射た質問やタイムリーな提案ができます。従って、商談相手となる顧客に興味を持つことは、営業トークの成功に欠かせない要素の一つといえます。
顧客の課題やニーズを引き出せていない
顧客が抱える課題やニーズを引き出せていないことも、営業トークがうまくいかない原因の一つです。提案の場では、自社の製品やサービスの良さを伝えたい気持ちが先走り、顧客の声に耳を傾けることが疎かになってしまいがちです。しかし、顧客から課題やニーズを引き出すことができなければ、営業トークもうまくいかず、成約につなげることはできません。
顧客は製品・サービスのスペックや機能だけを聞いても、それを自分たちがどのように生かし、自分たちの悩みがどのように解決されるのかわかりません。自分たちの課題解決につながる提案を受けたときに、初めてその製品・サービスの価値を感じることができるのです。
顧客視点になっていない
顧客視点に欠けた営業トークも、成約に至らない原因の一つです。顧客は、製品やサービスの機能そのものを知りたいのではありません。それを導入することで、自分たちの課題がどう解決し、どのようなメリットがあるのかを知りたいのです。そのためには、顧客の視点に立った営業トークでなければ、相手の心に刺さりません。もし、契約してほしいとばかりに自分本位な営業トークに終始してしまうと、契約に前向きだった顧客が「この人から買うのはやめよう」と離れてしまう可能性すらあります。優れた営業トークを実現するためには、顧客の視点に立って、有益な情報の提供や課題解決の提案を行うことが何よりも大切です。
意思決定者と会話ができていない
顧客が大企業であったり、大きな金額の商談であったりする場合、窓口となる担当者と購買の意思決定者が異なることがあります。担当者への営業トークはスムーズに進み、良好な関係を築けたとしても、意思決定者と会話ができなければ、成約には至りません。成約に向けて次のステップに進むためには、決裁権を持つ意思決定者に会わせてもらい、営業トークを行う必要があります。
断られることを恐れている
営業トークが成約に結びつかない要因として、営業担当者が「顧客に断られるのを怖がっている」といったことも考えられます。過度な恐れは自信のなさにつながり、顧客にその気持ちを見透かされてしまうと、営業トークにも影響を及ぼしかねません。しかし、営業活動において断られることは避けては通れない道といえます。どんなに成績の良い営業担当者でも、顧客に断られるのは当たり前のことです。断られることを恐れず、自信を持って営業トークを行うことが、成約への一番の近道といえます。
沈黙してうまく話を切り出せない
営業トークにおいて「沈黙してうまく話を切り出せない」ことも、商談がうまくいかない原因の一つです。特に最初の商談では、まだお互いの信頼関係ができていないため、沈黙が相手に与えるマイナスイメージは大きくなります。話をなかなか切り出せないのは、事前準備が不足していることも一因といえます。しっかり準備をしておけば、多少たどたどしかったとしても、話を切り出せないことはないはずです。事前に顧客の企業研究や、抱えていると思われる課題、潜在的なニーズなどを十分に調査・検討してから、商談に臨むことが大切です。
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営業トークの流れ
営業トークは通常、顧客それぞれに合わせて組み立てていくものですが、その大まかな流れは共通しています。ここでは、営業トークの基本的な流れについて解説します。
1. あいさつ・アイスブレーク
営業トークの最初のステップは、あいさつとアイスブレークです。まずあいさつでは自己紹介をして、商談の場を設けてくれたことに対するお礼を伝えます。あいさつが終わったら次にアイスブレークです。アイスブレークとは、場を和ませるための軽い雑談を指します。緊張感のある場をアイス(氷)に例えて、それを壊すという意味でアイスブレークといわれています。商談の場でのアイスブレークでは、天気や直近のイベントの話題などが無難です。ここで、共通の興味や関心を見つけられると、ぐっとなごやかな雰囲気で本題に入ることができます。とはいえ、これらは高度なテクニックなので、慣れないうちは、軽く場を温める程度の雑談ができれば問題ありません。
2. ヒアリング・リサーチ
アイスブレークの後はヒアリングを行い、顧客の悩みや不安、課題などをリサーチします。顧客の課題がわからなければ、提案のしようもありません。そのため、まずは顧客の声に耳を傾けることが大切です。どれだけ精度の高いヒアリングができたかが、その後の商談を左右するといっても過言ではありません。自社の製品・サービスに関してヒアリングシートを事前に用意しておくことで、漏れや無駄なくヒアリングが行えます。
3. 情報提供とストーリーの提示
ヒアリングによって顧客の課題が見えてきたら、その課題解決に役立ちそうな情報を提供していきます。ここは、事前の調査や業界研究が生きてくる部分です。有益な情報を提供することで、顧客に「もっと話を聞きたい」と感じてもらうことがポイントです。顧客の気持ちが前向きになってきたら、次に似たような課題を持つ企業の導入事例などを基に、ストーリーを提示します。「この製品・サービスを使うと、こんなふうに問題が解決するのか」と、顧客に導入後のイメージを思い描いてもらうことが大切です。
4. 解決策・打開策の提示
顧客に情報を提供し、ストーリーを提示したら、ようやく製品・サービスの話に入ります。ここで顧客の課題を解決するための対策や、現状の打開策を提示します。自社の製品やサービスを使うことで、いかにスムーズに課題が解決できるか、時間や労力、金銭的なコストメリットを絡めて提示できるとより効果的です。「買ってください」とお願いするのではなく、「一緒に課題を解決しましょう」といったパートナーとしてのポジションで提示することがポイントです。
5. クロージング
営業トークの締めは、クロージングです。これまでに商談を重ね、顧客の気持ちも固まってきているなら、契約締結がクロージングになります。また、状況によっては、購買意思がないことを確認することが、クロージングになることもあります。もし、まだ結論を出すような段階でない場合には、次回のアクションを明確にすることでクロージングとすることも一案です。
営業におけるトークスクリプトを作成するコツ
営業におけるトークスクリプトとは、営業担当者が顧客との対話や提案を効果的に行うための、テキストやガイドラインのことです。営業トークスクリプトには、営業担当者が製品やサービスを顧客に紹介して成約に結びつけるための基本的なフレーズや、踏むべきステップなどが含まれています。ここでは、営業のトークスクリプトを作成する際のコツを解説します。
目的やゴールを明確にする
営業トークスクリプトを作成する際には、目的やゴールを明確にすることが大切です。目的やゴールが明確になっていることで話の方向性が定まり、焦点を絞ったスクリプトを作成することができます。
ペルソナを作成する
ペルソナとは、想定する顧客像やターゲット層を具体化したものです。ペルソナは、顧客の特性やニーズ、好みなどを理解するためにも欠かせない要素です。ペルソナを作成することで、より実践的なトークスクリプトに仕上げることが可能になります。
顧客が抱える課題や悩みを聞く
顧客の抱える課題や悩みを理解することで、その課題解決につながる営業トークスクリプトが作成できるようになります。もちろん、顧客の悩みはそれぞれ違いますが、自社の製品・サービスで解決できる課題には共通項があるはずです。基本となるトークスクリプトは、代表的な顧客の悩みに沿ったかたちで作成することが重要です。
顧客の反応に備えて複数のトークパターンを用意する
顧客の反応を予測することは難しものです。そのため、複数のトークパターンを事前に用意しておくことで、顧客のさまざまな反応に対して適切な対応を行い、柔軟に会話を展開できるようになります。また、複数のトークパターンを営業担当者が読んでおくことで、さまざまな状況のシミュレーションにもなり、臨機応変な対応力が培われます。
具体的な数字やデータを用意しておく
営業トークスクリプトを作成する際は、具体的な数字やデータを用意しておくことが重要です。これは、抽象的な説明よりも具体的な数字やデータを用いたほうが提案内容の信ぴょう性が高まり、説得力を持つためです。顧客は、投資や購入を検討する際にリスクやリターンを考慮します。その際に参考にするのは、具体的な数字やデータです。製品やサービスに関する具体的な数字やデータを入れることで、顧客の意思決定を後押しする営業トークスクリプトになります。
顧客の興味を引く内容で考える
営業トークスクリプトを作成する際には、顧客の興味を引く内容に焦点を当てることも大切です。興味・関心の高い情報やトピックを提供することで、顧客の「話を聞きたい」という気持ちを引き出し、その後の会話や提案をスムーズに進められるようになります。
「SKYPCE(スカイピース)」を活用して、売れる営業トークを実現
成約につながる営業トークを行うためには、事前の調査や顧客へのヒアリングによって得た情報を基に仮説を立て、課題解決に導く提案をすることが重要です。そのために膨大な顧客情報を営業トークに生かすためには、緻密な情報管理が必要になります。営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」なら、案件化する前からの顧客への営業活動を記録する機能や、顧客の企業や業種に関連するニュースを表示する機能など、成果につながる営業トークを実現するための機能が充実しています。
営業担当者の営業トークを成果に結びつけるためにも、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」の導入をぜひご検討ください。
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