日々の営業活動において、「営業トークも資料の質にも問題はないのに、成約につながらない」と悩んでいる営業担当者の方も少なくないのではないでしょうか。その悩みが「製品・サービスの説明をしても、なぜか顧客に響かない」「商談までは行くのに失注してしまう」といった場合、そもそも受注できる可能性が限りなく低いターゲットにリソースを割いているのかもしれません。この記事では、受注する可能性が高い顧客を絞り込むのに有用な受注確度とは何か、受注確度を管理するメリットや手順についても詳しく解説します。
受注確度とは、顧客が自社商品を購入する可能性を数値で表したもの
受注確度とは、顧客から受注できる可能性の高低を表す指標です。営業担当者として自社の製品やサービスを販売するとき、顧客の反応や口ぶり、態度などから「これは発注してくれそうだ」または「このまま粘っても発注してくれなさそうだな」と感じることがあるかもしれません。こうした「発注をもらえそう」「発注をもらえなさそう」といった目に見えない感覚を数値化したものが受注確度です。見込み顧客が自社に発注してくれる可能性が高い場合を「受注確度が高い」、どんなに頑張って話をしても快い反応が得られず、発注の可能性が低い場合を「受注確度が低い」と表現します。
受注確度を把握しないままやみくもに営業活動をすると、期せずして受注確度が低い顧客にばかりアタックしてリソースを割いてしまい、結果として受注確度が高い顧客を他社に奪われかねません。従来、受注確度は個々の営業担当者の感覚値で測られてきましたが、情報技術が発達した現在は、統一された基準を基に確度を判断できるようになりました。組織全体で受注確度の出し方を統一しておけば、売上予測を精度高く算出することが可能です。
受注確度を管理するメリット
営業担当者やチーム全体で受注確度を把握することで、営業活動には具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。受注確度を管理するメリットは、下記のとおり大きく3つあります。
売上の向上につながる
受注確度を管理するメリットの一つは、売上の向上につながることです。営業活動にかけられる時間は無限ではありません。受注確度を管理すると、自社の製品やサービスが好きな顧客、何らかの課題解決を自社の製品・サービスに期待している顧客などのいわゆる優良顧客により多くの時間を割けるようになります。それと同時に、受注確度が低い顧客に割いていたリソースを減らしたり、施策を変更したりといった判断がしやすくなるでしょう。このように、受注確度に基づいて営業活動に強弱をつければ、全体のアプローチ数は少なくても成約率が高くなり、結果として売上の向上につながります。
売上予測の精度が向上する
売上予測の精度が向上することも、受注確度を管理するメリットです。売上予測は、過去の売上データに基づいて、これから始まる一定の期間の売上を予測することです。売上予測が正確であれば、将来必要になる人件費や原材料費、仕入れ代などの見通しをつけることができるでしょう。また、ほぼ確実に受注できる売上をチーム全体で共有できるため、チームの目標に対する見込みを確認しやすくなります。「目標達成までに、あとどれくらい売上が必要なのか」を随時確認・判断しながら営業活動を行うことで、精度の高い売上予測につながります。
営業戦略を立てやすくなる
営業戦略が立てやすくなることも、受注確度を管理するメリットです。顧客の受注確度を把握する精度が上がれば、例えば受注確度の高い顧客数が少ない場合には新規開拓をしたり、受注確度の高い顧客数が多い場合には売上単価を向上させる施策を検討したりするなど、現場レベルで営業戦略を立てやすくなります。
また、受注確度の高い顧客と低い顧客とでアプローチに強弱をつけたり、アプローチ方法を変えたりして、営業手法を最適化できるのもメリットです。例えば、すべての顧客に訪問営業をしている場合、受注確度が低い顧客への営業手法は電話やメール、ダイレクトメールなどに変えて、時間的なコストを削減したほうがよいかもしれません。一方、受注確度が高い顧客には、コストをかけてでも直接訪問することで信頼感が得られ、よりスピーディーな成約につながります。
受注確度を管理する手順
受注確度の管理にはさまざまなメリットがありますが、具体的にどのような手順で行えばよいのでしょうか。ここでは、受注確度を管理する手順についてご紹介します。
1. BANTを基準に受注確度を決める
まずは、「BANT」と呼ばれる条件を使って、受注確度の基準を設定します。BANTとは、営業活動において確認すべき4つの項目をまとめたフレームワークのことです。4つの項目とは、「Budget(予算)」「Authority(決裁権)」「Needs(ニーズ)」「Timeframe(導入時期)」で、それぞれの頭文字を取ってBANTと呼ばれています。
受注確度を管理する際、確度の基準を統一しておかないと、「A社はいけそうです」「B社は60%くらいの確率で成約できると思います」「C社は反応がかんばしくないので見込みから外してください」などと営業担当者それぞれが勘や経験値だけで確度を申告することになり、管理するのに期待する効果が得られません。まずは、「どんな条件のとき、確度を何%とするか」を決めてから、受注確度の運用を始めることが大切です。
そこで、BANT条件を共通の指標として受注確度を設定すると、公正・平等な基準で受注確度を管理できます。BANTの条件ごとに受注確度を判断する基準は、下記のとおりです。
Budget:プロジェクトの予算はいくらか
自社の製品やサービスが相手の予算内に収まっている、もしくは許容できる範囲の金額超過であれば、受注確度は高くなります。一方、予算が確保されていなければ、どれだけ顧客担当者が前向きでも導入は期待できません。
Authority:プロジェクトの決裁者は誰か
アプローチしている担当者に決裁権があると、最終決定まで速やかに話が進むため、受注確度は高いと判断できます。反対に、担当者に決裁権がない場合は、決裁ルートや稟議手順をさりげなく聞いて決済者を推測することが重要です。
Needs:プロジェクトにとって自社の製品・サービスは必要か
顧客が抱えている課題に対して、提案中の製品やサービスが有用であるか否かを確認します。このとき、担当者個人ではなく、組織としての意向を把握することが大切です。ヒアリングした時点で課題やニーズが明確でなくても、関係性を作りながら話を深掘りすることで、潜在的な需要が表に出てくることもあります。
Timeframe:プロジェクトの導入時期はいつか
予算とニーズがあっても、導入時期がかなり先だったり、決まっていなかったりすると、すぐには受注できません。リソース配分を正確に把握するためにも、具体的なスケジュールを確認することが大切です。
2. 顧客をグループ分けする
受注確度が決まったら、確度の高い順に3~5段階程度に分けてリストアップします。下記のように、ABC分析などを利用するのがお勧めです。
ABC分析による顧客のグループ分け例
- A:受注確度高(BANT条件の3つ以上を満たしている)
- B:受注確度中(BANT条件の2つ以上を満たしている)
- C:受注確度低(BANT条件のうち1つを満たしている)
例えば、顧客担当者が決裁者であり、予算が取れていて、導入までのスケジュールが数か月~半年以内であれば「A」に分類され、受注確度がかなり高くなります。そのため、Aのグループに対しては、すぐに営業をかけて商談を設定すべきと考えることが可能です。一方、「B」「C」のグループには、それぞれ少し時間をかけてアプローチする必要があるといえます。
3. グループ分けしたリストを管理する
最後に、グループ分けしたリストを一元的に管理します。通常、リストの管理は表計算ソフトウェアなどで行われることが一般的ですが、表計算ソフトウェアはリストのフォーマット作成から行う必要があったり、入力に手間がかかったりするなど、現場の工数が増えかねません。その点、ITツールは入力した情報を可視化して確認することができるため、受注確度を適切に管理することができます。
また、テレワークなど働き方が多様化している昨今は、社内や自宅、シェアオフィス、営業担当者であれば外出先からといったように、あらゆる場所からリストにアクセスする可能性が考えられます。情報のリアルタイムでの更新や一元管理に長けたITツールなら、どこからでも最新の受注確度を把握・共有できるようになり、さらに確度の高い受注管理につながります。
受注確度を高めるポイント
成約を増やすためには、受注確度を管理するだけではなく、高めていくことも重要です。ここでは、受注確度をさらに高めるための、3つのポイントをご紹介します。
自社および顧客の情報を整理する
受注確度を高めるポイントの一つは、自社および顧客の情報を整理することです。顧客の受注確度を高めるためには、ヒアリングを重ねて、顧客が抱えている顕在的・潜在的な課題を把握し、得られた情報を使って提案を最適化する必要があります。「顧客が何に悩んでいるのか」「どのような状態を望んでいるのか」がわかれば、自社のサービスがどのように顧客の課題解決に貢献できるかをしっかり説明することができ、成約につながる可能性が高まります。
顧客とのコミュニケーションを活性化する
顧客とのコミュニケーションを活性化し、信頼関係を構築することも、受注確度を高めるポイントの一つです。顧客に切迫したニーズがあり、そのニーズに自社の商材の強みがよほど強く合致した場合を除いて、顧客との関係性が浅い状態で大きな受注につながるケースはあまりありません。受注確度が高い顧客を優先して積極的にコミュニケーションを取ることで、自然と受注確度が高まります。
顧客管理に有効なツールを導入する
顧客管理にITツールを導入するのも、受注確度を高めるポイントの一つです。顧客情報を表計算ソフトウェアのシートで管理している場合、名刺交換や資料請求などで得た顧客情報を手作業で転記し、受注確度なども一つひとつ手入力していかなくてはなりません。手作業による入力は時間がかかる上にミスが起こりやすいため、ITツールで効率化することがお勧めです。それにより、顧客情報の管理作業にかかる時間を短縮すれば、営業が本来行うべき業務により多くのリソースを割くことができ、受注確度を高めることにつながります。
受注確度の管理を効率化するのにお勧めのツール
受注確度の管理をスムーズに行うためには、前述のとおりITツールを活用して効率化することが大切です。ここでは、受注確度の管理に役立つお勧めのツールを4つご紹介します。
CRM
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。CRMの目的は、顧客の基本的な属性をはじめ、行動履歴、これまでの顧客とのやりとり、購買頻度などを一元的に管理することによって、顧客との関係性を良好に保つことです。各部署、各担当者が持っている顧客情報をCRMの中で統合することで、成約に至る確度が高い顧客のピックアップに活用できます。
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MA
MAはMarketing Automationの略で、マーケティング活動の自動化・省力化を実現するツールです。見込み顧客の属性に応じて配信したメールの開封状況、Web上の顧客の行動履歴などをデータにより把握することで、確度の高い顧客を判別できます。
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SFA
SFAはSales Force Automationの略で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれます。営業が商談を始めてから受注に至るまでの各フェーズを一元管理し、営業活動の進捗を可視化することが可能です。SFAを見れば、顧客への提案状況や訪問履歴などから受注確度を推測することができます。
名刺管理ツール
名刺管理ツールは、顧客と交換した名刺の情報をデータ化し、組織的に管理して営業活動や顧客との関係性強化に活用するための営業支援ツールです。既存顧客や見込み顧客への訪問状況、前回までの商談内容、担当者からヒアリングした課題・ニーズといった情報を名刺情報に付随して記録する機能を備えています。その記録によって、顧客への提案内容や資料を改善することもできるなど、受注確度の向上につなげることができます。
受注確度の管理に役立つ営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」
受注確度を組織的に管理することで、売上予測の精度や売上の向上、営業戦略の最適化など、営業活動を効率化することが可能です。Sky株式会社が提供する営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」は、スキャナーやスマートフォンから名刺画像を取り込んで素早くデータ化し、社内で顧客情報を共有できる名刺管理ツールです。案件化する前から顧客とのやりとりを名刺情報にひもづけて記録・管理することができるため、顧客への提案や商談の状況、受注確度などを的確に把握し、営業活動に生かすことができます。また、これらの顧客情報をデータベースとして蓄積し、社内で共有することで、営業活動の精度向上にも役立てることが可能です。
受注確度の管理にも活用できる営業支援ツールとして、営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」の導入をご検討ください。
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