顧客管理や営業DX・業務効率化など、企業の営業活動やマーケティング活動に役立つ情報を随時掲載しています。

Sky株式会社

公開日2024.06.12更新日2024.09.27

売上予測とは? 売上目標との違いや精度の高い予測の立て方を解説

著者:Sky株式会社

売上予測とは? 売上目標との違いや精度の高い予測の立て方を解説

企業が継続的かつ着実に成長していくためのカギは、営業部門の売上が握っています。将来的な売上予測が立てば、設備投資や新規事業計画、採用計画などの経営判断を最適化することができるからです。しかし、せっかく売上予測を立てても、予測の精度が甘ければ意味がありません。では、売上予測の精度を高めるためには、どのようにすればよいのでしょうか。この記事では、売上予測を立てる上で役立つ基本的な知識や、精度の高い予測の立て方などについて解説します。

売上予測とは、過去情報から将来的な売上の予測を立てること

売上予測とは、自社の将来的な売上を予測することです。予測といっても、経験や勘、慣習などに基づく属人的な想定ではありません。売上予測は、過去の売上データや営業実績、自社を取り巻く市場の環境や外的要因といった客観的な情報から算出されるものです。算出した売上予測は、事業計画の策定や、経営資源の適切な配分といった社内的な運用に用いられるほか、投資家への説明や金融機関の融資判断にも利用されます。よって、売上予測はデータに基づいた根拠のある数字であることが重要です。

売上予測と売上目標との違い

売上予測と似た概念に「売上目標」があります。売上予測は、過去の実績や市場動向など、客観的な数値の根拠に基づいて想定される将来の売上のことです。統計的に算出され、計算する人によって変わることがありません。売上予測は、現実的に達成できる数字であることが重要です。

一方の売上目標は、成し遂げてほしいという期待値や要望を含めて設定される、定量的な目標のことです。一般的には、前年や前月を上回る数字が設定され、設定する人の期待の大きさや必要性などによって変動することがあります。

売上予測の重要性

売上予測は、経営に直結する社内外の判断に用いられるものであり、会社の存続と成長に関わる重要な役割を果たします。ここでは、売上予測の重要性について解説します。

経営戦略や販売戦略を立てる際の指針として活用できる

売上予測の重要性は、経営戦略や販売戦略を立てる際の指針として活用できる点があります。売上予測が高ければ、プロモーション戦略を強化して販売機会を増やすなどの先行投資に取り組むことができます。また、売上予測が低ければ、売上予測の高い部門に予算や人材を多く割くことで業績の向上が見込めます。

生産調整や在庫管理などの最適化を図れる

売上予測によって、生産調整や在庫管理などの最適化を図れることも重要な点です。正確な売上予測があると、無駄な在庫を持たないよう、また在庫切れによる売上機会の損失を招かないよう、生産数や在庫数などをコントロールすることができます。

ステークホルダーの信頼が得られる

売上予測の重要性は、正確な売上予測を公表することによって、株主や取引先などのステークホルダーの信頼が得られる点も挙げられます。数的根拠に基づき、ステークホルダーとの信頼関係を強化しておくと、事業拡大や、それに伴う資金調達をスムーズに進められる可能性が高まります。

売上予測に必要なデータ

売上予測が、客観的で根拠のあるデータから導き出すものであることは前述したとおりです。精度の高い売上予測に必要なデータは、業界やビジネスモデルによって異なりますが、一般的には以下のようなデータが使われます。

売上予測に必要なデータの例

  • 見込み顧客からの成約率:見込み顧客のうち、実際に商品やサービスを購入している割合
  • 案件化してから受注するまでのリードタイム:案件が生まれてから、実際に売上に計上されるまでの期間
  • 商談数:営業がアポイントを取り、実際に商談をしている数
  • 営業パイプラインごとの通過率:初回のアポイントから提案、見積もりの提出、受注といったプロセスごとの通過率
  • 商品やサービスの過去の売上:各商品の月ごとの売上高や、直近何年かの売上実績
  • 市場動向や社会環境など:市況の様子、世界経済の状況など
  • 市場調査や外部環境に関するデータ:競合他社の動向、市場シェアの推移など

売上予測の立て

売上予測を立てるために必要なデータを集めたら、実際に売上予測を立てていきます。ここでは、過去の実績や営業パイプライン、そして商談ステージから売上予測を立てる方法を解説します。

過去の実績から売上予測を立てる

過去の実績から売上予測を立てる方法では、過去の売上に成長率を掛け合わせることによって、売上予測を導き出します。例えば、前年の同月売上が1,000万円、2年前の同月売上が800万円だったとします。今年の同月の売上予測を出したい場合の計算方法は以下のとおりで、今年の同月の売上予測は1,250万円と算出することが可能です。

過去の実績から売上予測を立てる際の計算式と計算例
(前年同月売上-2年前の同月売上)÷2年前の同月の売上=年間成長率
(1,000万-800万)÷800万=25%

前年同月の売上利益+(前年同月の売上利益×年間成長率)=今年の売上予測
1,000万+(1,000万×0.25)=1,000万+250万=1,250万円

営業パイプラインから売上予測を立てる

営業パイプラインから売上予測を立てる方法では、各フェーズの通過率などを用いて売上予測を算出します。営業パイプラインとは、初回の商談から始まって受注に至る一連の営業フェーズをパイプに見立て、時系列で可視化したものです。以下に、営業パイプラインのフェーズ例を示します。

営業パイプラインのフェーズ例

  • 初回説明のアポイント獲得
  • 初回説明
  • 提案
  • 見積もり
  • 受注

営業パイプラインから売上予測を立てる場合、フェーズからフェーズへの通過率や、通過にかかった所要時間などを基に計算を行います。以下は、1件50万円の商品における初回説明のアポイント獲得数を100件として、過去の実績からの通過率を基に受注見込み数を計算し、受注見込み数から立てた売上予測の例です。

■営業パイプラインからの売上予測

営業フェーズ 予測件数 通過率(過去実績) 予測件数の計算式
初回説明のアポイント獲得 100件 - -
初回説明 80件 80% 100件×80%=80件
提案 60件 75% 80件×75%=60件
見積もり 18件 30% 60件×30%=18件
受注 9件 50% 18件×50%=9件

通過率から受注見込み数を予測する計算式と計算例
初回説明のアポイント獲得数×各種工程の通過率の乗算=受注見込み数
100件×80%×75%×30%×50%=9件

受注見込み数から売上予測をする計算式
受注見込み数×商品価格=売上予測
9件×50万円=450万円

通過率から受注見込み数と売上予測を計算した場合、受注見込み数が9件となり、売上予測は450万円と試算できます。この営業パイプラインからの予測は、各フェーズを過去の通過率で通過できた場合に売上を予測するというものです。そのため、売上予測から不足した場合は、各フェーズのどの点に問題があったか、反対に大きく伸ばせた場合は、どこに成功要因があったのかを分析することも可能です。前項で解説した、過去の実績から売上予測を立てる方法が最もよく用いられますが、営業パイプラインから計算する方法は過去のデータが少なくても暫定的に売上予測を出せるため、販売から数週間や数か月程度の新規事業などにも活用できます。

商談ステージから売上予測を立てる

商談ステージから売上予測を立てる方法は、商談ステージごとの受注確度などから売上予測を算出します。営業パイプラインからの売上予測が営業プロセス全体の流れから売り上げを予測するのに対し、商談ステージからの売上予測では個々の商談ごとに細かく売り上げを予測する違いがあります。商談ステージごとに成約率から売上予測を立てるため、営業パイプラインに基づく売上予測よりも精度の高い予測ができますが、それぞれに有効な場面があるため、両者を補完的に活用するのもお勧めです。

また、商談ステージから計算する方法は、現在の状況から直近の売上予測を立てたい場合に活用できます。想定される商談ステージと、具体的な計算方法は以下のとおりです。

商談ステージ例

  • 提案
  • 見積もり
  • 検討
  • 受注

<商談ステージから売上予測を立てる際の計算方法> 営業フェーズを商談のステージで区切り、過去の取引データを基に受注確度による成約率を設定します。そして、顧客ごとに取引金額と成約率を掛け合わせ、概算の売上を予測します。

■顧客ごとの商談ステージとデータ例

顧客 商談ステージ 受注確度 成約率 取引金額 売上予測
A 提案 30% 50万円 50万円×30%=15万円
B 見積もり 50% 30万円 30万円×50%=15万円
C 検討 80% 80万円 80万円×80%=64万円

売上予測の精度を高める方法

売上予測の精度は、高ければ高いほど経営判断の最適化に役立ちます。売上予測の精度をより高めるには、次に紹介する2つの方法があります。

情報共有の体制を整える

売上予測の精度には、過去の売上実績や直近の販売データの精度が直結します。そのため、売上予測の精度を高める方法として、日々の営業活動で取得できる情報を正確に、かつリアルタイムで蓄積・共有することが重要です。各営業の商談数、顧客ごとのステージとその受注確度といった売上予測に深く関連する数値が属人的に管理されている場合、情報を迅速に共有できる仕組みを整える必要があります。各チームのリーダー、さらには営業部を統括する部長などに、営業担当者一人ひとりのスケジュールや進捗状況が一元的に集約される体制をつくることが大切です。

ツールを活用する

ツールを活用する方法も、より迅速に営業が持つ情報の可視化と共有ができるようになるため、売上予測の精度をさらに高める方法としてお勧めです。活用するツールには、営業支援システムのSFA、MA、名刺管理ツールがあります。

SFA

SFA(営業支援システム)はSales Force Automationの略で、営業活動の行動管理や進捗管理などを行うシステムのことです。案件や顧客の管理を自動化して効率化し、商談フェーズやアプローチ状況などを一元的に共有できます。また、営業担当者の日々の行動や商談の進捗状況、商談の内容などを可視化し、売上予測のデータとして活用することも可能です。

MA

MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動のプロセスの一部または全部を自動化し、マーケティング活動の効率化や売上の拡大、収益性の向上を図るシステムのことです。見込み顧客の動向やコミュニケーションの状況を参考に、売上予測の精度を向上させることができます。

名刺管理ツール

名刺管理ツールは、紙の名刺をデジタル化して効率的に整理・保存・検索できるようにするツールのことです。名刺情報と営業活動をひもづけることで、名刺の持ち主である個人、および所属する部署・会社などのセグメントと営業活動の進捗状況を管理でき、売上予測の緻密性が高まります。

SFAとの連携で売上予測の精度の向上に役立つ営業支援 名刺管理ツール「SKYPCE(スカイピース)」

売上予測は、経営判断を最適化し、企業の成長を持続させるために必要不可欠です。どれだけ正確に予測できるかが重要であるため、仕組みやツールを活用して予測精度を高めることをお勧めします。

営業支援 名刺管理ツール「SKYPCE(スカイピース)」は、営業支援システムのSFAとの連携により、名刺情報と顧客情報を速やかにひもづけます。組織内の誰かが新しい名刺を取得すれば名刺情報は更新されるため、最新の顧客情報に基づいて営業活動の状況を把握し、売上予測の精度を高めることが可能です。

売上予測の精度を向上させ、自社の売上拡大につなげていくためにも、「SKYPCE(スカイピース)」の導入をぜひご検討ください。

お問い合わせ・資料ダウンロード
営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」のお問い合わせ・資料ダウンロードはこちらから