営業活動においては、やみくもに顧客のもとへ足を運んでも、成果を出すことはなかなかできません。重要なのは、適切な営業計画を立てて、着実に実行することです。しかし、営業計画が必要な項目を満たしていなかったり、計画を立てるポイントを捉え切れていなかったりすると、せっかくの計画も水の泡です。実際、「営業計画の立て方がわからない」「営業計画を立てたけれど、思いどおりにいかない」と悩んでいる方も少なくないようです。この記事では、営業計画の立て方について、必要な項目や具体例、計画の際に意識するポイントなどを解説します。
営業計画とは、営業部門が目標を達成するために立てる計画のこと
営業計画とは、営業部門に課せられた目標を達成するために立てる計画のことです。営業部門にとって、売上増大を図ることは重大なミッションです。営業部門が売上を増やすことができなければ、企業の成長が見込めません。そのため営業部門は、経営陣が定めた経営目標からブレークダウンする形で定めた目標数値を、着実にクリアしていく必要があります。
営業計画は、月や四半期などの期間内で営業目標を達成するために、さまざまな視点から必要な営業計画をまとめます。さらに、営業部門としての目標を各個人に落とし込んだ数値目標をはじめ、顧客ターゲット、営業担当者のリソースの配分、具体的なアプローチ方法などを定め、営業担当者が迷わずにゴールにたどり着くためのアクションプランとして明示します。
営業計画を立てるメリット
営業計画を立てることで、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、大きく2つのメリットを紹介します。
企業の事業目標について当事者意識を持てるようになる
営業計画を立てるメリットには、営業計画によって営業部門および営業担当者が、企業全体の事業目標について当事者意識を持てるようになることが挙げられます。経営陣が綿密な経営計画を立て、それを推進しているにもかかわらず成果が出ない場合、営業担当者などの個々人が、自分のやるべき仕事と会社が目指している事業目標を結びつけて考えることができていない可能性があります。そこで営業計画を立て、それを個々人の目標として落とし込むと、事業目標と仕事とのつながりが見えて営業担当者のモチベーションの高まりが見込めます。
営業活動における課題が明確になる
営業計画を立てるメリットとして、営業活動の課題が明確になることも挙げられます。例えば、目標に対して受注数が不足していることがわかれば、そもそも商談のアポイントが足りていないのか、商談でのクロージング率が低いのか課題を明確にすることで、適切な解決策を選択できます。アポイント不足が課題なら、テレアポの質の向上やマンパワーの増強、インサイドセールスの導入などを検討します。クロージング率が課題であれば、トップの営業担当者の商談を教材として営業スキルの平準化を図るといった解決策を選択することが可能です。
営業計画に必要な項目
営業計画の内容は企業のビジネスモデルや扱う商材、方針などによって異なりますが、基本的に必要な項目は以下の7つです。ここからは、営業計画に必要なそれぞれの項目について、決めるべき内容の具体例を解説します。
ミッション
ミッションとは「使命」や「役割」のことで、ビジネスにおいては組織・個人が果たすべき任務や存在意義を表します。営業計画においては、営業部門のミッションを定めます。具体的には、何のために営業活動を行い、営業活動を通して何を目指すかといったことです。ミッションが明確だと、メンバーは数字以外のビジョンを持って活動することができ、結果として数字の達成に向けたモチベーションを維持できます。営業計画におけるミッションとしては、「お客様のビジネスチャンスに貢献するため、お客様のパートナーとして課題に並走する営業チームになる」のような例が考えられます。
メンバー構成
メンバー構成の項目では、営業計画の推進に向け、どの役割を誰が担うかを明確にします。この項目を立てると、営業計画の具体性が増すだけでなく、業務量に対するリソースの過不足が可視化され、必要に応じて人員の増強を図ることができます。営業計画推進に向けたメンバー構成の例は次のとおりです。
営業計画推進に向けたメンバー構成の例
- 部長(大型顧客のクロージング同行、全体統括):Aさん
- 新規営業担当:Bさん、Cさん、Dさん、Eさん
- 既存顧客担当:Fさん、Gさん、Hさん
- マーケティング部門との連携、リードナーチャリング:Iさん
- 営業アシスタント:Jさん
ターゲット
営業計画においてターゲットは、できるだけ明確なペルソナを設定することが重要です。ターゲットが企業なら事業領域、業種、規模、事業を展開している地域まで細かく設定します。個人なら、年齢から性別、収入、職業、職歴、居住地まで具体的に考えます。営業計画におけるターゲットの例は、次のとおりです。
営業計画における法人ターゲットの例
- 従業員100人以上
- IT企業
- 資本金1,000万円以上
- 本社が都内にある
営業計画における個人ターゲットの例
- 30~40代の男性
- 都内在住
- 妻、子ども2人と持ち家に住んでいる
- 年収600万円以上
- IT企業勤務
- 便利な情報収集ツールを探している
必要なツール
営業計画において、効率良く目標達成するために必要なツールを選定します。近年は多様なツールが登場しているため、自社の営業スタイルやITリテラシーなどに応じて検討することが大切です。営業計画で活用できる主なツールには、「SFA」「CRMツール」「名刺管理ツール」の3つがあります。
SFA
SFAはSales Force Automationの略で、営業活動における行動や商談の進捗状況などを可視化して効率化を支援する営業支援システムです。見込み顧客との商談がどこまで進んでいるのか、商談時にどんなやりとりをしているのか、営業先にどれくらいの予算を見込んでいるのかといった見込み顧客に関する情報を可視化できます。
CRMツール
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、「顧客関係管理」などと呼ばれます。顧客の属性や行動履歴などを一元管理し、関係構築を目的とした取り組みに利用できます。CRMを活用するためのツールをCRMツールと呼びます。CRMツールにより、顧客の行動履歴を分析して提案に生かすことが可能です。
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名刺管理ツール
名刺管理ツールとは、紙の名刺をデータ化し、社内で一元管理しながら情報共有するツールのことです。社内の人脈を可視化できるだけでなく、アプローチすべき顧客が把握しやすくなり、マーケティング活動や営業活動の効率を上げることが可能です。名刺の管理は名刺を受け取った人に一任され、企業の共有資産として活用されていないケースが見られます。名刺管理ツールを導入することで情報の効率的な整理・共有ができ、見込み顧客の発掘や、商談化率・受注率のアップが期待できます。
目標(KGI・KPI)
営業計画には、営業活動の目標として「KGI」と「KPI」の設定も必要です。KGI(Key Goal Indicator)は最終的に目指すべきゴールのことで、「重要目標達成指標」や「経営目標達成指標」とも呼ばれます。営業の場合、一般的には売上高や営業利益をKGIとして設定します。KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するための中間目標のことです。「重要業績評価指標」とも呼ばれ、営業の場合はアポイント獲得数や成約率などが挙げられます。営業計画における目標(KPI・KGI)の例は、次のとおりです。
営業計画における目標(KPI・KGI)の例
- KGI:売上高を30%アップさせる
- KPI:(KGIのために)新規顧客のアポイントを1か月に20社獲得する
アクションプラン
アクションプランとは、目標(KGI・KPI)の達成に向けた具体的な行動計画のことで、営業計画においては具体的な計画内容に相当します。5W1Hの「Why(なぜ)」「When(いつ)」「Where(どこに)」「Who(だれが)」「What(何を)」「How(どのように)」を念頭に置くと整理しやすくなるためお勧めです。営業計画におけるアクションプランの例は、次のとおりです。
営業計画におけるアクションプランの例
- Why(なぜ):新規顧客獲得目標を達成するために
- When(いつ):四半期中
- Where(どこに):休眠顧客に
- Who(だれが):営業部門の担当者(名前)
- What(何を):商談のアポイントを
- How(どのように):テレアポの数を1日10件増やす
予算
営業計画を実行するために必要な予算を策定します。人員の増加やツールの導入が必要であれば、その分のコストを算出して予算に計上します。人件費、設備費、販促費のように、項目ごとに予算を整理することが大切です。また、営業計画を実行する中で状況が変化した場合には、その都度予算を増減させる予実管理も行う必要があります。営業計画における予算項目の例は、次のとおりです。
営業計画における予算項目の例
- 人件費
- 設備費(営業用のツール導入、および利用料)
- 販促費
- コンテンツ制作費
営業計画を立てる際に意識すべきポイント
ここからは、営業計画を立てるにあたり、意識すべきポイントを解説します。次の4つのポイントを押さえて、営業計画に必要な項目を埋めていくことが大切です。
課題を把握してから計画を立てる
営業計画は、営業部門に課せられた目標を達成するために立てます。そのためには、現状の営業プロセスで目標を達成しようとする場合、何が課題になっているのか把握してから計画を立てることがポイントです。例えば、課せられた成約数を達成するために、各プロセスでクリアしなければならない数値を算出すると、現状と理想との間にギャップがある箇所が可視化されます。把握した課題の改善を前提として営業計画の各項目を考えていくと、より実践的な営業計画書を作成できます。
定量的に記載する
営業計画を立てる際、アクションプランや目標(KGI・KPI)の設定は、具体的かつ定量的に記載することもポイントです。「これまでより新規の商談を増やす」「できるだけ多くテレアポをする」といった漠然とした目標の立て方では、具体的な行動につながりません。「テレアポ数を月間300件から500件に増やす」というように、数字を入れながら計画を立てることが重要です。
達成可能な目標にする
営業計画を立てる際、達成可能な目標にすることも意識すべきポイントの一つです。特に数値目標は、現実的な数値にします。高過ぎる目標を設定すると、メンバーは「どうやっても達成できるわけがない」と感じて意欲を失いかねません。売上目標の達成に向けて高いKGIを設定せざるを得ないのであれば、KGIそのものを見直すか、達成可能なKPIを設定し、今あるリソースで対応できるよう計画を立てることがポイントです。
PDCAサイクルを回す
営業計画を立てる際、PDCAサイクルを回すことも意識すべきポイントです。営業計画は、立てて終わりではありません。計画を実行する過程で実際の数値との乖離(かいり)が出た場合、すぐにPDCAサイクルを回して改善につなげます。また、営業計画をひととおり実行して結果が出た後も、その結果を分析して改善点を洗い出し、改善のための具体的なアクションを考えます。改善策を次の営業計画に落とし込み、ブラッシュアップしていくことによって、目標に向けた営業活動をより効率的に行えるようになります。
営業計画の策定に役立つ営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」
営業計画は、経営陣が定めた経営目標の達成および企業の成長に欠かせない取り組みです。営業計画に必要な項目を網羅し、確実に目標達成ができるよう設定していくことが重要です。営業計画における目標を効率良く達成していくためにはツールの利用が不可欠ですが、中でもお勧めなのが営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE(スカイピース)」です。
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