
営業活動を成功させ、売上アップにつなげるために必要なことは、多岐にわたります。ここでは、営業力を向上させたい方に向けて、営業担当者が感じやすい課題から、実践に生かせる上達のコツ、実際に営業を行う際に事前に準備しておくべきことまで、営業の成功率を上げるために知っておきたいポイントについて詳しく解説します。
営業活動における課題
営業活動は、企業の売上に関わる重要な役割を担います。しかし、以下のような課題にぶつかり、なかなか売上を伸ばせなくなってしまうことも少なくありません。
契約につながらない
多くの営業担当者を悩ませる課題として、「せっかく営業をかけても契約につながらない」という状況があります。このような問題は、製品やサービスの魅力が説明しきれていなかったり、競合他社との違いが伝わっていないことなどが原因と考えられます。
また、営業部門全体の成約率が低い場合には、個人の能力とは別のところに問題がある可能性が高いです。例えば、営業とマーケティングの連携が取れていないと、契約できる見込みの薄い顧客にばかり営業をかけてしまい、成約率が低下することがあります。
顧客の課題をうまく聞き出せない
顧客は何らかの課題を解決するために、製品やサービスの導入を検討します。そのため、顧客が抱えている課題のヒアリングがうまくいっていないと、ミスマッチな製品を提案して契約のチャンスを逃してしまう恐れがあります。
かといって単刀直入に課題をたずねても、内容によっては軽率に打ち明けられないケースもあり、はぐらかされてしまう可能性も考えられます。また、顧客側の誰もが説明が得意とも限りません。営業担当者には、顧客との信頼関係を構築する力や、課題を巧みに引き出すヒアリング能力が求められます。
また、顧客の課題を引き出して終わりではなく、しっかりと解決につながる提案ができるかどうかも、成約率を上げるためには重要です。
商談の成約率を上げるポイント
実際に商談をする際に意識すべき点としては、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、商談の成約率を上げる実践的なコツを10個紹介します。
1.顧客の課題解決を第一に考える
もし自身が顧客の立場になったときに、「とにかく物を売りたい」という気持ちが先行した営業をされたら、どのように感じるでしょうか。押し売りのような印象を与える行動は、契約に結びつきにくい状況をつくってしまいます。営業を成功させるためには、「営業活動を行う目的は、あくまで顧客の課題解決のため」と念頭に置いておくことが大切です。
特に近年は、誰もが気軽に情報にアクセスできる時代です。製品の基礎的な情報やメリットを顧客自身で調べるのは難しくないため、ただ製品やサービスの特徴を紹介するのではなく、それらを活用した課題解決へと顧客を導くことが求められています。優秀な営業担当者ほど、単なるメリットではなく、その先にある課題解決を売っているといえます。
2.顧客に寄り添い信頼を獲得する
前述のとおり、営業活動においては顧客に寄り添い、導く存在となることが求められます。そのためには、自分中心で会話を進めず、良い聞き手となることを意識することのが望ましいです。特に商談の前半は、顧客についての理解を深めるためにも、相手の話をしっかり聞く必要があります。会話中は、アイコンタクトや相づちを挟むと、話を聞く姿勢が整っていることを伝えられます。
信頼関係を築くためには、「約束の時間を守る」「初対面から礼儀正しく接する」など、一つひとつの行動を通じて不信感を与えないように徹底することも大切です。目立った特徴はその人の全体的な評価を左右しますし、特に第一印象はその後の印象にも大きく影響します。商談を有利に進めるためには、最初の一歩目でどのような印象を与えるかがとても重要です。
3.ヒアリングのフレームワークを活用する
顧客について深く理解するために、商談に役立つフレームワークを取り入れる方法もあります。中でも「SPIN話法」は、顧客のニーズをとらえる上で有効なフレームワークです。SはSituation(状況を明らかにする質問)、PはProblem(問題を明らかにする質問)、IはImplication(解決の必要性を示唆する質問)、NはNeed-payoff(解決を決断させる質問)の頭文字です。
この順番どおりに質問を投げかけていくことで、ただ一方的に解決策を提示するのではなく、顧客自身に深く考えてもらえるよう誘導します。SPIN話法を活用する際は、一貫性があり、顧客が課題に気づけるような質問を事前に準備しておくのがよいとされています。
4.顧客の真のニーズを探る
適切な提案を行うためには顧客のニーズを知る必要がありますが、顧客が自身の要望について自覚できていない、というケースも少なくありません。こうしたケースで営業担当者にできることは、会話を重ねるなかで顧客の潜在的なニーズを一緒に探っていくことです。パートナーとして共に考えることは、より深い信頼関係を築くことにもつながります。
顧客にとって本当に必要なものは何かを探る際には、競合他社の状況や事例、市場の動向などを加味し、顧客のビジネスを俯瞰的に見ることが大切です。また、提案したサービスや製品を長く愛用してもらうためには、無理強いをしたり自分の考え方を押しつけたりはせず、お互いが納得できる着地点を見つけることも大切にしなければなりません。
5.具体的な事例を提示する
営業活動を実際の成約につなげるためには、顧客が「購入したい」という気持ちになれるようサポートすることも重要です。顧客の購入に対する不安を取り除くためには、具体的な購買イメージを持てるような事例を提示するのがよいとされています。
そのためには、「この製品やサービスを導入することで、課題解決ができる」ということが伝わる事例を用意しておく必要があります。日頃からあらゆるケースで使える最適な事例を収集し、営業担当者の間で共有しておけばスムーズに対応できます。
また、購入へのモチベーションや、検討する上でネックになっている部分などを細やかにヒアリングしておくと、「購入したい」という気持ちのサポートがしやすくなります。
6.既存の顧客の好みや傾向を知っておく
商談を成功させるためには、既存顧客の好みや傾向を知っておくことも重要です。既存顧客が契約してくれているのは、自社の商品に魅力やメリットを感じているためです。既存顧客の業種や年代などのほか、「商品のどこを気に入ってくれたのか」「どんなことに価値を感じたのか」といった情報を整理しておくことで、確度の高い顧客を見極められるようになるとともに、商品のアピールするべきポイントが明確になり、成約率を高めることにつながります。
7.失注した商談の原因を把握しておく
成功した商談の理由を把握しておくのが重要なのはもちろん、失注した商談の原因を把握しておくことも同様に大切です。なぜ失注してしまったのかがわかれば、今後はその反省を生かした提案をすることが可能になります。ただ、商談の振り返りを一人で行うと、考えが偏ってしまう可能性があります。可能であれば、同僚や上司などと相談しながら、さまざまな視点で振り返るのが望ましいです。
8.顧客の生の声を聞き、分析する
商談の成約率を上げるには、顧客の生の声を聞き、分析することも重要です。「顧客が何を求めているのか」「顧客はどんな体験に喜びを感じるのか」など、データを蓄積していけば、商談時にアピールするポイントや方法を洗練していくことができます。顧客の生の声を集めるには、アンケート調査のほか、カスタマーサポートへの問い合わせやSNSの投稿を確認するといった方法があります。
9.素早い対応をする
スピード感のある対応を取ることも、商談を成約につなげるコツです。例えば、顧客からメールが送られてきた際には、できる限り早く返信することで好印象を与えることができます。ささいなやりとりにも手を抜かずに対応することは競合他社との差別化にもつながり、顧客からの信頼を強固にして成約につながる可能性が高まります。
10.情報と感情の自己開示をする
顧客との信頼関係を築くには自己開示が有効です。自己開示には「情報の自己開示」と「感情の自己開示」の2種類があります。情報の自己開示とは、自分の出身地や家族構成、趣味などの私的な情報を伝えることであり、感情の自己開示とは、自身が業界に対して感じていることや事業に携わる思いなどを伝えることを指します。
多くの場合、自己開示をされた相手は「これだけ話してくれたのだから、こちらも何かを話さなければ」という気持ちになり、自然と自身の話をしてくれるようになります。顧客が自己開示をしてくれれば、抱えている不安や課題をより丁寧に聞き出すことができるとともに、信頼関係がより強固になることで成約率も高まります。
営業を上達させるコツ
営業力そのものを鍛えることで、成約率向上につながります。上達させるコツとして、例えば以下のような心掛けがあります。
営業活動量自体を増やす
営業スキルを身につけるなら、実際に商談の経験を積むのが近道です。多くの見込み顧客と接することで、顧客が抱えがちな課題やその解決策についての知識を増やすことができます。
とはいえ、手当たり次第に商談数を増やすのは、組織として非効率的な営業活動を行うことにもなりかねないため、あまり得策とはいえません。実践以外でスキルやノウハウを学ぶ方法としては、先輩や上司の商談に同行する、ロールプレーイング(役割演技)で練習するなどの方法もあります。実際に先輩や上司の振る舞いを見ることで、話の進め方や資料の使い方、限られた時間をどう使うかなど、実践的な学びを得ることができます。
商談内容の見直し・改善を繰り返す
商談を終えたら内容の見直しと改善を行うことも、上達のための重要なポイントです。成功したときだけでなく、失敗したときもきちんと振り返りを行い、成功した理由・失敗した理由を比較することで、改善すべき点が明確化されます。振り返りの時間を取ることを習慣化すると、継続的なスキル向上も期待できます。
また、自分一人で反省会を行っていると考え方が偏ってしまうため、上司や同僚に相談することも大切です。事例について共有や振り返りを行ったり、営業成績の良い担当者の振る舞いについて学んだりすることで、組織全体としてのスキル向上にもつながります。
商談における事前準備
ここまで説明した内容を意識していても、商談に臨む前の準備が不足していると、思うように成果を得られない可能性があります。実際に商談前に必要な準備としては、以下のようなものがあります。
顧客の課題を考えておく
スムーズに商談を進めるため、事前に顧客の情報をリサーチし、顧客の課題や提案すべき内容について仮説を立てておきます。まずは顧客に関する基本情報、業界や競合他社の情報などをリサーチしておいたり、商談を持ち掛けるまでの経緯や商談の目的、顧客への質問リストなども整理しておくと便利です。
情報を整理したら、「顧客の抱える課題」「課題の解決策」「自社商材がどのように解決に役立つか」について仮説を立てます。仮説を立てるための情報が不足していれば、さらにリサーチを行います。
自社製品やサービスの知識を深める
アピールポイントを明確に伝えたり、スムーズに顧客からの質問に答えられるように、自社の製品・サービスについての知識を深める必要があります。
製品・サービスの仕様や機能、料金システム、契約形態といった基本情報を把握することはもちろん、市場や競合他社についても調べておくと、「自社を選ぶ必要性」を客観的に説明できます。また、強みだけでなく弱みも理解しておいた方が、商談中に反対意見が上がった場合にも対応しやすいです。反対意見に冷静に対応できれば、信頼度を高められる可能性もあります。
アプローチすべきターゲットを見極める
どんなに製品やサービスの質を高めても、そもそもターゲットではない顧客というものは存在します。ターゲットに当てはまらない顧客にまで手当たり次第に商談を持ち掛けていては、効率的な営業活動を行うことはできません。成約率を高めるためには、まずアプローチすべきターゲット層を事前にきちんと見極め、購入する可能性の高い顧客から優先的に商談を行うことが大切です。
前述したように、既存の顧客の傾向や共通点、逆に成約に至らなかったケースに共通する特徴などを把握すると、ターゲットを絞るためのヒントが得られます。顧客からのリアルな感想を聞くことも、自社製品の価値や求められていることを理解する上で役立ちます。
また、優先順位をつける際の手順としては、顧客をさまざまなカテゴリで区分して判断する方法(セグメンテーション)などがあります。それぞれの区分について、ターゲットから除外すべきか、アプローチをするなら優先順位はどの程度かを検討します。区分する切り口は、企業規模や業種、業態、ビジネスモデル、部署・職種などが例として挙げられます。
営業支援ツールを活用する
営業支援ツールを導入しておくことで、営業活動を効率化することが可能です。見積書や日報の作成、名刺の整理など、顧客対応以外の業務に時間を取られてしまうと、営業担当者は肝心の商談の練習や振り返りに時間を割けなくなってしまいます。営業スキルを磨き、成約率を上げるためにも、営業支援ツールによって効率化を図ることをお勧めします。
また、近年ではリモートで商談を行うケースも増えているため、オンライン商談ツールも幅広く活用されています。単に映像や通話でコミュニケーションを取るだけではなく、自分だけに台本を表示したり、商談を録画したりする機能がついたツールもあり、営業活動の質の向上にも役立てられます。
まとめ
ここまで、営業活動のさまざまなコツについて紹介しました。やみくもに商談の機会を増やしても、スキルが不足していたり準備が不十分だったりすると、成約率は低くなってしまいます。そのため、スキルアップに向けた取り組みや事前準備を徹底することが大切です。また、効率化のために営業支援ツールなどを導入すると、結果として営業の質の向上にもつながります。
今回紹介した内容を参考に商談のポイントやコツを押さえることで、成約率をアップさせ、効率的な営業活動を行っていただければ幸いです。
名刺管理なら「SKYPCE(スカイピース)」
営業名刺管理「SKYPCE(スカイピース)」は、業務で得た名刺をスキャナーで取り込んだり、スマートフォンのカメラで撮影したりするだけで、名刺情報をデータ化して一元管理できるサービスです。名刺情報を個人ではなく組織全体で共有して活用できるほか、「一斉メール配信」や「活動記録」「ニュース連携」など、マーケティングや営業活動に役立つ機能を搭載しています。また、名刺情報をSFAやCRMなどのツールと連携して活用することも可能です。
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