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公開日2023.07.28更新日2024.01.05

CRM(顧客関係管理)とは? 導入メリットや選び方、注意点を解説

著者:Sky株式会社

CRM(顧客関係管理)とは? 導入メリットや選び方、注意点を解説

顧客の価値観や行動が多様化した昨今、新規の顧客を開拓することは簡単ではありません。そんな時代のなかで、企業において重要性を増しているのが、既存顧客との良好な関係を構築することです。そのためには、既存顧客との関係を深めて自社や製品のファンになってもらい、継続的な取引につなげていく必要があります。 このように、顧客が企業に「生涯のうちにもたらしてくれる利益」のことを「LTV(ライフタイムバリュー)」といい、このLTVを最大化するために注目を集めているのが「CRM(顧客関係管理)」です。このCRMに取り組むことで、顧客との関係を一元管理し、最適なコミュニケーションを行うことが可能になります。本記事では、CRMの基礎知識から導入メリット、ツールの選び方などについて解説します。

CRMとは、自社と顧客の関係構築のための取り組み

CRMとは「Customer Relationship Management」の略称で、日本語に訳すと「顧客関係管理」です。これは、ビジネスにおいて自社と顧客との関係を一元管理し、関係を構築することを目的とした取り組みであり、そのために利用されているツールを、CRMツールと呼びます。

ここでいう「顧客との関係」とは、例えば顧客の社名や部署名、役職などはもちろん、自社の担当者とどのようなやりとりを行っているのかという履歴や、顧客から寄せられた要望・クレームの内容などを指すのが一般的です。

CRMとMA、SFAとの違い

CRMツールと近い使われ方をするツールに、MA(マーケティングオートメーション)やSFA(営業支援システム)などがあります。これらは、一部の機能で重なる部分もありますが、本来の役割や活用の目的は異なるものです。

MAは、見込み顧客の獲得や育成を自動化するツール

MAは「Marketing Automation」の略称で、マーケティングの効率化や自動化のために用いられるツールです。マーケティングの目的は将来の顧客になる見込み顧客(リード)を獲得することですが、昨今では獲得の手法が多様化しており、担当者や部署ごとに情報が散乱してしまうケースが少なくありません。

そういった見込み顧客の情報を一元管理し、属性や興味関心のフェーズに合わせて最適なコンテンツを効率的に提供するのがMAツールの役割です。

SFAは、効率的な営業活動を支援するツール

MAで確度の高い見込み顧客のリストが出来上がったら、マーケティングチームはそのリストを営業担当者に渡します。ここから営業担当者による提案が始まりますが、その際に営業活動の状況を管理するツールがSFAです。「Sales Force Automation」の略称で、「営業支援システム」とも呼ばれています。

このSFAは商談から契約までの営業活動をサポートするためのツールです。見込み顧客との商談がどこまで進んでいるのか、商談時にどんなやりとりをしているのか、営業先にどれくらいの予算を見込んでいるのかといった見込み顧客に関する情報を可視化することができ、営業の属人化を防ぐというメリットがあります。営業担当者はマーケティングチームから引き継いだ見込み顧客の情報をSFAで管理することで、効率的な営業活動につなげられます。

CRMは、契約後の顧客との関係構築に主軸を置くツール

CRMもSFAと同じく、顧客情報を一元管理するためのツールです。ただし、CRMはあくまでも契約成立後の顧客との関係を主軸に置いている点で、SFAと異なります。

昔とは違い、現在は製品やサービスを販売すればそれで終わりではありません。技術の進歩などもあり、さまざまな業界で製品やサービスの品質が平準化しており、機能面だけで差別化することは難しい時代です。だからといって、価格を下げて勝負するのは利益が減るだけで得策とはいえません。

そこで重要になるのが付加価値です。他社とは違う付加価値をアピールできれば、顧客の自社に対するエンゲージメントは向上し、結果としてユーザーが製品や自社のファンの獲得へつなげられるはずです。

有効な付加価値となるのが、CRMを活用した顧客関係管理です。「売ったら終わり」のような姿勢で契約後に何のフォローもない会社と、契約後もこまめにコミュニケーションをとり、担当者の引き継ぎがあっても顧客からの要望やクレームなどがきちんと共有されている会社とでは、後者の会社に好感を抱く顧客が多いと思います。こうした顧客との関係性の構築に役立つのがCRMツールです。

CRMツールを導入するメリット

CRMツールを導入することで、顧客との関係性を向上させるだけでなく、自社の業務にもさまざまなメリットが生まれます。ここでは、CRMツールを導入するメリットを具体的に見ていきます。

顧客情報の一元管理により生産性が上がる

CRMツールを活用することで、顧客情報の一元管理が可能になります。当たり前のように感じられるかもしれませんが、意外とこれができていない企業も少なくありません。

例えば、営業担当者がMicrosoft Excelやスプレッドシートを使い、自分のPC内で顧客情報を管理している状態や、手帳にメモしているといった状態です。また、ひどいときには交換した名刺がそのままデスクの引き出しの奥に忘れられていることもあるかもしれません。

CRMツールを活用することで、こうした顧客情報の「入れ物」ができます。契約が成立したら顧客情報をCRMツールに登録する、顧客からの連絡やクレームが入ったら内容と対応状況などをCRMツールに登録する、といったようにCRMツールを「顧客情報を登録すべき場所」として明確に意識づけすることで、情報の一元管理が可能になります。

結果として「あの会社の情報はどこにあるのか」「あのクレームにどう対応したのか」などと迷うこともなくなり、生産性の向上につながっていきます。

部署間で顧客情報をリアルタイムに共有できる

CRMツールに入力された情報は、その瞬間から社内で閲覧できる状態になります。これにより異なる部署間であっても、顧客に関する情報をリアルタイムに共有することができます。また、異動や退職などに伴う担当者の変更があっても、普段からCRMツールで顧客情報を一元管理していれば過去のやりとりなどが参照できるため、引き継ぎに困ることもありません。

顧客対応の漏れやミスを回避しやすい

顧客の満足度やエンゲージメントに大きく関わるのが顧客対応です。例えば、顧客の成功支援を担うカスタマーサクセスチームと営業チームの部署間で、顧客から入った要望やクレームについて共有できていなかったとします。その後、新たな提案などで営業担当者が顧客を訪問した際に「あの件はどうなっていますか?」と聞かれて慌てるといった事態も起きかねません。

このような顧客対応の漏れやミスを防ぐためにも、CRMツールで顧客情報を一元管理し、CRMツールさえ見れば顧客の最新情報がわかる体制を整えておくことが重要です。

顧客の行動履歴を分析して提案に生かせる

既存顧客に対して新たな製品やサービスを提案する場合、それまでの顧客の行動履歴や営業担当者とのやりとりなどの情報が役立つこともあります。通常は、顧客の営業担当者と連携して情報を共有してもらい、提案の戦略を練ることになりますが、多忙な営業担当者であれば、お互いに都合よく打ち合わせのスケジュールを合わせられないかもしれません。

CRMツールを活用すれば、そうしたすり合わせや引き継ぎの手間もなく、顧客の行動履歴をチェックすることができ、新規提案にも役立てられます。

CRMツール導入の注意点

導入すれば多くのメリットをもたらしてくれるCRMツールですが、いくつか注意すべきこともあります。ここではCRMツール導入時に考えられる注意点をご紹介します。

必要以上のコストがかかる可能性も

CRMツールに限らず、さまざまなツールを導入するためには当然コストがかかります。問題はそのコストが成果に見合うかどうかです。多機能で高価なツールを導入したにもかかわらず、うまく使いこなせず、基本的な機能があれば十分だったという結果もあり得ます。

そうならないためにも、最初からどんな課題が自社にあるのか、その課題を解決するためにはどんな機能が必要なのかをしっかり考えた上でツールの選定を行うことが大切です。

すぐに成果につながるわけではない

CRMツールは、導入してすぐに成果が上がるものではありません。データを入力またはほかのツールと連携させ、営業担当者やカスタマーサクセスチームが使い方を覚えて、ようやく運用できます。

前段で挙げた「生産性の向上」や「顧客対応のミス防止」「新規提案の質の向上」といった目に見える効果が出るのは、さらにもっと先のことです。この点を理解していないと、「導入したのに効果が出ていない」と判断して、早々に活用を打ち切ってしまうことにもつながりかねません。そのため、CRMツールの導入には長期的な視点を持つことが重要です。

顧客データの入力、移行作業が必要

CRMツールは、顧客のデータがあって初めて意味を成すツールです。そのため、導入後は必ず顧客情報の入力作業が必要となります。

これまで自社が行ってきた顧客管理がどのような体制だったのかによって、この作業にかかる工数は大きく左右されます。営業担当者が個別に情報を持っており、データの形式も各自でバラバラというようなことがあると、データの入力に膨大な時間をかけることになってしまう恐れがあります。

ほかのツールと連携する際も同様です。ツール同士が連携に対応していればデータの移行も簡単ですが、そうでない場合は移行作業にかなり時間がかかることがあるかもしれません。

CRMツールを導入する際のポイント

一口にCRMツールといっても、さまざまなサービスが存在します。機能や使い勝手には開発元の考え方が反映されており、何が最適なツールなのかは自社の状況やビジネスの内容によっても変わります。ここでは、CRMツールを導入する際に、チェックすべきポイントについて解説します。

CRMツールが課題解決につながる機能を備えているか

CRMツールに搭載されている機能について紹介します。一般的にCRMツールには、顧客情報の管理機能やメール配信機能、レポーティング機能など、多くの機能が搭載されていますが、ツールによって機能性やカスタマイズ性などは異なります。

必ずしも高機能なツールを選べばいいというわけではありません。自社の課題にフィットしたツールを選ぶことが重要です。なぜなら、高機能かつ多機能なツールはその分、使いこなすのが難しい場合もあり、一般的に価格も高額になります。一方で、運用体制がしっかり整っていて、さまざまな機能を使いこなして大きな成果を上げたい場合などは、多機能なツールを選ぶのが良いと思います。

提供形態を自社の環境に合わせて選べるか

CRMツールには大きく「オンプレミス型」と「クラウド型」という、2つの提供形態があります。

オンプレミス型は自社内にサーバーを設置して運用する方法です。ネットワークが社内に閉じていてセキュリティ性が高く、自社専用に開発している場合はカスタマイズしやすいという特長があります。一方で、新たにネットワークやサーバーを構築することになるので費用は高額になり、導入までに時間がかかるほか、運用中もシステムのメンテナンスに工数がかかる点などがデメリットです。

クラウド型のCRMは、ベンダーがクラウドサーバー上にシステムを構築し、ネットワークを介してサービスに接続して使用する方法です。自社でサーバーを構築する必要がないので、導入に時間がかからず、導入時のコストも抑えられるというメリットがあります。 一方、クラウド型は汎用的なサービスのため、オンプレミス型に比べてカスタマイズ性がそれほど期待できないという点がデメリットです。

サポート体制が充実しているか

意外と見落としがちなのが、サポート体制の充実度です。すでにさまざまなITツールを使いこなしている会社から、CRMのようなツールを活用するのは初めてという会社まで、デジタルリテラシーは会社によってまちまちです。前者の場合は問題ないかもしれませんが、後者の場合は「ツールを導入したはいいが、使いこなせない」という事態に陥る可能性も否定できません。

その場合に頼りたいのが、サービスの提供元であるベンダーによるサポートです。うまく運用できるようになるまで手取り足取り丁寧に教えてくれるのか、それともそこまでのサポートは期待できないのか、サポートの充実度はツールの価格にも関係します。事前にしっかりチェックしておいてほしいポイントです。

セキュリティ対策は十分か

顧客情報という重要なデータを扱うため、CRMツールのセキュリティは何よりも大切です。導入を検討する際は、そのサービスがどのようなセキュリティ対策を行っているのかも確認すべきポイントです。 一つの判断基準となるのが、どのようなところで導入されているのかという点です。金融機関や官公庁などのセキュリティに非常に厳しい組織や機関などで採用実績のあるツールであれば、高いセキュリティ性を持っていることが期待できます。また、ベンダーがクラウドサービスに関する情報セキュリティ管理策のガイドライン規格である「ISO/IEC 27001」を取得しているかについても、セキュリティ対策が十分かどうかを見極める手段の一つです。

他システムと連携させることができるか

先ほども述べたように、CRMツールはまず顧客情報を登録しなければなりません。すでに顧客情報を何らかのサービスで管理している場合、そのサービスとの連携が可能かどうかもチェックしておくべきところです。

また、CRMツールはMAツールやSFAツールと連携させることで、さらに効果を高められます。現在はまだ導入していなくても、将来導入の可能性があるのであれば、先々の連携を見据えてサービスを選択するのが得策です。 それらのツールのほかにも、CRMツールはさまざまなツールと連携させることができます。CRMツールを導入するタイミングで、一度自社で使用しているサービスの棚卸を行っても良いと思います。

名刺管理サービスとの連携でCRMツールを最大限活用できる

CRMツールとほかのツールとの連携の中で、特に有効なのが名刺管理サービスとの連携です。名刺管理サービスは、社名や所属部署、肩書、連絡先といった貴重な顧客情報が網羅されている名刺を簡単にデータ化し、社内共有することで効率的な営業活動に生かすことができます。 ここでは、名刺管理サービスとCRMツールはどのような連携ができるのか、具体的に説明します。

名刺管理サービスとCRMツールのデータ同期

すでに名刺管理サービスを導入している場合は、CRMツールと連携することでこれまでに登録した名刺データを同期させることが可能です。名刺管理サービスに登録されている名刺データをCRMツールに一括で移せるため、導入から運用までの期間を短縮できます。そのため、CRMツールの導入を検討する際は、先に名刺管理サービスを導入するなどして準備を整えておくことも効果的です。

名刺から顧客データの抽出および自動登録

新たに交換した名刺は、名刺管理サービスと連携しておくことで、取り込んだ名刺データをCRMツールに自動的に登録させることが可能です。

手作業で入力する必要がないので、展示会やセミナーなどの大量に名刺交換するような場面では特に有効です。登録作業を自動化することで、その後の営業担当者の迅速な提案も可能になり、営業効率のアップにつながることが期待できます。

CRMツールを最速・最大限に生かすなら、名刺管理サービスと連携させよう

顧客との関係を管理するCRMツールは、自社の商品やサービスの付加価値を高め、顧客と長期的に良好な関係を築くことができます。

CRMツールはさまざまなツールとも連携できますが、特に名刺管理サービスとの連携がもたらす効果は多大です。前述のとおり、CRMやSFA、MAなど、各種ツールは導入して運用するまでの難度が高く、導入がうまくいかないケースも少なくありません。名刺管理サービスを前もって導入しておくことで、顧客情報をスムーズに移行・管理することができ、各ツールが持つ強みを存分に生かすことができます。

営業支援 名刺管理サービスである「SKYPCE」は、取り込んだ名刺データをCRMツールに同期できるほか、メルマガの一斉配信機能など営業支援機能が充実しています。単なる顧客情報の管理だけでなく、営業支援ツール活用の入口としても最適なツールです。CRMツールの導入をお考えの際には、ぜひ「SKYPCE」の導入も併せてご検討ください。

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