ビジネスシーンにおいて、欠かせないアイテムの一つが名刺です。コロナ禍の影響により、実際に会って交換する従来の紙名刺のほかに、最近では名刺情報をデータ化した「デジタル名刺(電子名刺)」もビジネスパーソンの間で注目を集めています。しかし、デジタル名刺の仕組みや活用方法に詳しい方は、実際にはまだ少ないのではないでしょうか。この記事では、デジタル名刺の概要や交換方法のほか、メリットやデメリットなどについて解説します。
デジタル名刺とは?
デジタル名刺は、簡単にいうと「紙の名刺に記載されている情報をデータ化したもの」です。主にオンライン上で活用することを前提としているため、「オンライン名刺」「電子名刺」と呼ばれることもあります。名刺情報をデータ化することで、実際に相手に会わなくてもお互いのプロフィール情報を交換できることが、デジタル名刺の大きな特長です。そのため、オンラインでの会議や商談でも、スムーズにお互いのプロフィール情報を交換できます。
デジタル名刺の注目が高まる背景
長年の商習慣として、紙の名刺での名刺交換が定着している国内のビジネスシーンにおいて、デジタル名刺に注目が高まっている背景には何があるのでしょうか? ここでは2つの側面から考えたいと思います。
リモートワーク・テレワークの浸透
コロナ禍を経て、国内においてもリモートワークやテレワークが浸透しました。多くの組織がオフィスへの出社を再開した現在でも、取引先などとの商談や打ち合わせはWeb会議システムを使ったオンライン会議が多くなっています。
なお、総務省の「令和4年通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、2023年時点でテレワークを導入している企業は51.7%と半数以上あり、コロナ禍のため緊急事態宣言が発出された2020年に47.5%と急増して以降に定着していることがわかります。これらの企業ではデジタル名刺を導入することで離れた場所にいる相手とも名刺交換が可能な環境を整えるケースが少なくありません。
参考:令和4年通信利用動向調査報告書(企業編)(総務省)を元に作成
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
近年、多くの企業がIT・デジタル技術を活用して、ビジネスモデルそのものを変革し、競争力を高める「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進に取り組んでいます。先述のとおりテレワークが一般的になり、オンライン上で交流や情報共有が日常的に行われるようになったことで、名刺に関してもDXの対象とする企業が増えています。また、リアル会場で行われる大型展示会の会場でも、デジタル名刺であれば端末でQRコードを読み取るだけで名刺情報が記録されるため、別途名刺情報をデータベースに登録する手間がかからず効率化という側面でもデジタル名刺の活用が増えています。
デジタル名刺の主なメリット
デジタル名刺を使うメリットは、デジタルデータならではの管理や活用における利便性です。その中でも主なメリットを3つピックアップしてご紹介します。
オンライン会議でも名刺交換ができる
デジタル名刺のメリットは、オンライン会議でもお互いの名刺情報を交換できる点にあります。オンライン会議の前にデジタル名刺を交換しておけば、その後の商談や打ち合わせをスムーズに進めることが可能です。名刺管理ツールを活用している場合、オンラインで名刺交換できる機能を備えたものもあります。営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」には、オンライン会議を通じて顧客との名刺交換を積極的に実施できる「オンライン名刺交換」機能が搭載されています。主催者がオンライン会議の開催情報を参加者に告知する際に、あらかじめ自社の参加者の名刺を登録しておき、相手にも名刺の登録を促すことで、事前に名刺交換を済ませた状態で会議を始めることが可能です。相手の役職や立場などを事前に把握できれば、より相手に合わせた提案も可能になります。
社内で効率的に情報共有できる
社内で効率的に情報を共有できることも、デジタル名刺のメリットの一つです。そもそも名刺は、取引先の担当者の情報が記載されたものであり、企業にとっての資産ともいえます。しかし、従来の紙の名刺は社内で情報を共有することが難しく、営業担当者同士であってもお互いの名刺情報を活用することが難しいケースも少なくありません。
その点、デジタル名刺なら、もともと情報がデータとして保存されているため、社内で効率的に顧客の名刺情報を共有できます。デジタル名刺で得意先の情報が社内に共有されていれば、営業担当者の異動や退職の際にも業務の引き継ぎが容易な上、部門間のコミュニケーションの活性化や営業力の向上にもつながります。
情報の管理や活用の幅が広がる
デジタル名刺は、情報の管理や活用の幅が広がるという点もメリットです。相手先からデジタル名刺を受け取ることで、手作業による名刺情報の誤入力を避けられる上、データ化せずに管理ができるため、名刺の管理にかかる手間が簡素化されて業務効率が上がります。また、受け取った名刺データをそのままメールマガジンの配信リストとして活用できたり、SFAなどのほかのツールと連携できたりするなど、情報活用の幅も広がります。
最新情報への更新が手軽にできる
例えば、役職の変更や部署の異動が発生した場合、紙の名刺の場合は既存の名刺を破棄して、新たな名刺を印刷する必要があります。デジタル名刺の場合、名刺に含まれる情報はデジタルデータのため、手軽に最新情報に更新できます。取引先などに名刺情報の更新を依頼する場合も、オンラインで名刺情報を送ることができ、直接訪問してあいさつをする前に連絡しておくこともできます。そのほか、営業の方ならキャンペーンや最新商品の情報など、その時々に最もアピールしたい情報をひもづけておくといった活用もできます。
デジタル名刺の主なデメリット
デジタル名刺にはさまざまなメリットがあるものの、デメリットも存在します。デジタル名刺を活用する上で生じる主なデメリットを3つご紹介します。
相手によってはデジタル名刺の交換が難しい場合がある
デジタル名刺は、相手によっては名刺交換が難しいケースもあるのがデメリットです。デジタル名刺は今注目されつつあるものの、誰もが使っている紙の名刺に比べれば、まだ広く浸透しているとはいえません。もし相手がデジタル名刺を使っていない、またはシステムを理解していなければ、「デジタル名刺で交換したい」と伝えてもうまくいかない恐れがあります。また、「デジタル名刺はなんとなく味気ない」と抵抗感を持つ方も一定数います。
情報管理やセキュリティ面への対策が必要となる
デジタル名刺のデメリットの一つが、情報管理やセキュリティ対策が必要になることです。デジタル名刺は交換した後で、当人のスマートフォンやPCに保存してあるだけでは紙の名刺と変わりなく、社内サーバーに保存して情報共有したりほかのシステムと連携させたりして活用することが一般的です。このとき、個人情報である名刺情報をどのように管理するのかが問われます。また、名刺情報をクラウド上で管理する場合、通信環境がなければ閲覧することができないという点にも注意が必要です。
デジタル名刺単体では情報活用が難しい
デジタル名刺だけでは、情報活用が難しい点もデメリットといえます。名刺情報は確かに会社にとっての資産ともいえるものですが、収集・蓄積するだけでは、紙の名刺を各自で保管している状態とほとんど違いはありません。そのため、収集した見込み顧客のデータである名刺情報を、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)などのツールと連携させた上で、営業活動に活用するのが理想的です。
しかしデジタル名刺の種類やサービスによっては、これらのツールに連携しておらず、結果的に名刺情報が有効活用できていないケースがありますので、そのあたりも事前に考慮しておく必要があります。
デジタル名刺の種類
デジタル名刺は、大きく分けて下記のような種類があります。
<デジタル名刺の主な種類>
- NFCカードやアプリなどを使用し、直接データをやりとりする形式
- QRコードやURLを使ってWebページなどにアクセスし、データをやりとりする形式
デジタル名刺を受け取った側は、基本的に専用のアプリやツールを使って管理します。ただし、単に名刺データを交換するだけなど、用途を限定する場合は、専用のアプリやツールを必要とせず、オンライン上のサービスを利用して管理できるものもあります。また、「対面での名刺交換を想定」「オンラインでの名刺交換を想定」「対面でもオンラインでも交換可能」など、デジタル名刺のサービスによって想定されているシチュエーションは若干異なります。
NFCカード型
NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)カード型のデジタル名刺は、NFCタグが埋め込まれた専用のカードに名刺情報を登録し、交通系ICカードのように、カードを相手の端末にタッチすることで名刺情報を共有できるタイプのデジタル名刺です。
QRコード型
QRコード(2次元バーコード)型のデジタル名刺は、自身の名刺記載情報を基に生成したQRコードを相手に提示し、スマートフォンなどでQRコードを読み取ってもらうことで名刺情報を共有するタイプのデジタル名刺です。例えば、紙の名刺にQRコードを記載したり、オンライン会議システムのバーチャル背景に含めるといった幅広い活用の方法があります。
アプリ型
アプリ型のデジタル名刺は、共通のアプリケーションやサービスを利用する相手と、対面でもオンラインでも名刺情報を共有できるタイプのデジタル名刺です。同じアプリケーションなので、名刺交換するだけで自動的に情報が整理されるというメリットがあります。
URL型
自分の名刺情報が記載されたWebページを生成してURLを伝え、Webページにアクセスしてもらうことで名刺情報を共有するタイプのデジタル名刺です。NFCカードやQRコード、アプリとは違い、読み取り用の機器やアプリが必要なく、相手の環境に依存しないのが特徴です。名刺情報をvCaed形式のファイルでダウンロードできる仕組みもあり、スマートフォンなどでファイルをダウンロードするだけで連絡先を登録することができるのも利点です。
デジタル名刺はどうやって交換する?
デジタル名刺は、実際にどのような方法で交換するのでしょうか。「対面」と「オンライン」、それぞれの一般的な方法を解説します。
対面でのデジタル名刺の交換方法
対面でデジタル名刺を交換するには、お互いが同じデジタル名刺アプリを持っている状況であれば、アプリを介してスムーズに名刺情報を交換することができます。一方、NFCカード型のデジタル名刺の場合は、専用のカードをスマートフォンにタッチすることで相手と名刺情報を共有することが可能です。また、相手にスマートフォンでQRコードを読み取ってもらい、専用のWebページにアクセスしてデジタル名刺を交換する方法もあります。
オンラインでのデジタル名刺の交換方法
オンラインの場合は、専用のURLを発行することでデジタル名刺を交換できます。オンライン会議ツールやチャットツールなどで発行したURLを送信し、相手がURLをクリックすれば交換が完了します。URLは発行後にリンクを変更しないこともできるので、会議やミーティングの前に作成しておくとスムーズです。
また、Sky株式会社が提供する営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」のように、URLを相手側に送り、名刺情報を画像またはvCard形式でダウンロードしてもらう形で名刺情報を交換する方法もあります。vCardとは連絡先データを格納するデジタル名刺の標準規格フォーマットのことで、情報として名前や住所、電話番号、URLなどを含めることも可能です。
デジタル名刺の強みが生かせる活用方法
デジタル名刺にはさまざまな種類がありますが、いずれも「自分のプロフィール情報を相手に伝え、確実に登録してもらえる」という点に強みがあるといえます。デジタル名刺の強みを生かすための具体的な活用方法をご紹介します。
直接会えない相手にオンラインで名刺情報を渡す
デジタル名刺の持つ強みの一つが、対面で会えない相手にもオンラインで名刺情報を渡せることです。働き方改革やコロナ禍を機にビジネスシーンでリモートワークが一般化したことにより、イベントや打ち合わせ、商談などが従来の対面形式に加え、オンラインで行われることも珍しくなくなりました。そのため、離れた場所から参加している相手にも、デジタル名刺を使えばオンラインを介して自分のプロフィールを手軽に伝えることができます。
ショップカードとして活用し、来店客に店舗情報を登録してもらう
デジタル名刺をショップカードとして活用する方法もあります。ショップカードとは、住所や電話番号、メールアドレス、WebサイトのURLといった店舗の情報を集約したカードのことです。これまで、ショップカードといえば紙でしたが、デジタル名刺に変えれば、来店したお客様に店舗の情報をその場でスマートフォンに登録してもらうことが可能になります。
フリーランスの人が自分の連絡先やポートフォリオなどを紹介できる
フリーランスの人がデジタル名刺を活用すれば、連絡先やプロフィール、ポートフォリオなどを相手に手軽に紹介できます。従来の紙の名刺では、それほど多くの情報を掲載できませんが、デジタル名刺を使えば、自分自身の特長、経歴、得意ジャンル、これまでに手掛けてきた実績などの細かい情報を、瞬時に相手に伝えることが可能です。初対面であってもスムーズにコミュニケーションを取ることができる上、相手に強い印象を残すことができます。
営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」で効率的な営業活動を推進
デジタル名刺はオンライン会議の場でも名刺交換ができ、商談や会議が進めやすくなるほか、社内で効率的に名刺情報を共有できるといったメリットがあります。一方で、デジタル名刺単体では営業活動への活用が難しい上、SNS連携などで情報漏洩が起きないようにアプリの機能や設定を慎重に確認する必要もあるなど、情報管理や安全面の懸念もあります。
営業支援 名刺管理サービス「SKYPCE」は、データ化した名刺情報はすべて暗号化されるほか、組織内のPCを一括管理して情報セキュリティ対策を図る「SKYSEA Client View」や、仮想環境の利用で重要データの漏洩リスクを低減する「SKYDIV Desktop Client」といったほかの自社サービスと組み合わせることで、高度な情報管理やセキュリティ機能を実現します。
また、オンライン会議上で名刺交換できる「オンライン名刺交換」機能や、名刺交換した相手の企業の組織図を自動生成する「組織図ツリー」機能など、営業支援のための機能が豊富に備わっています。コロナ禍を経て珍しくなくなった顧客とのオンライン会議で名刺を交換し、生成された組織図ツリーを見ながら次のアプローチ機会や提案内容を考えるなど、これまで以上にスピーディーかつ効率的な営業活動を行うことができます。
営業活動の活性化において、大きな効果を発揮することができる「SKYPCE」の導入を、ぜひご検討ください。